マッキンゼーで新人時代を過ごし、コンサルティングの最前線で成果をあげてきた、人材戦略コンサルタントの大嶋祥誉さん。ハイレベルの仕事を入社1年目からこなせたのは、新人の成長に必要な “仕事の型”を、しっかり身につけられたからだと言います。中でも評価を高める要因になったという、問題解決のアイデアを上司や周囲の人たちにうまく伝えるためのスキルについて、聞いてみました。

■言いたいことは3つにまとめ、1分で話す!

マッキンゼーに入社した1年目から、必死で取り組んだ問題解決法。その内容を簡単に紹介すると、多くのデータや情報などの事実を分析して、「これが真の問題だ!」という仮説を自ら立て、その根拠を明示。そして、問題が発生している現状と、あるべき姿とのギャップを埋める施策を、問題の解決案として主張する、というものです。

この内容が評価され、重要な仕事を任されたのは、考えたことを上司や周囲にうまく伝えられたからです。どんなに素晴らしい解決策を導き出し、ミーティングなどで伝える機会をもらっても、うまく伝えられないと解決策が採用されることはありません。信頼できる人材として評価されることも、なかったでしょう。

では、問題解決法によって考えた内容を、どうすればうまく伝えることができるのか。そのために使用しているフレームワークが、〈主張〉〈その根拠3つ〉〈問題解決の実施案〉という3項目を1枚の紙にまとめ、1分以内に伝えられるようにすることです。〈これは、○○だと思います。〉→〈その理由は、この3つです。〉→〈だから、こうすべきだと思いますが、いかがでしょうか。〉 このように、内容を簡潔に、端的に表現することで、伝わりやすさは格段に高まるのです。

■I(私)ではなく、We(私たち)を使う!

そしてもうひとつ心がけているのが、「I」ではなく「We」を意識して話すことです。

ミーティングは、それぞれの参加者が、自らの意見を完結させる場所ではありません。個々の意見や質問をきっかけに参加者を巻き込み、もっと高いバリューにつながる考えや意見を皆から引き出すための場所です。

そのため、「私が考える重要テーマは」と言うより、「私たちの重要なテーマは」と話したほうが一体感は強まり、「この課題に皆で取り組んで成果をあげよう!」という共通認識も生まれてくる。こうして皆とのつながりを強くするきっかけをつくったことで、存在感も高まるのです。

誤解しがちなのが、存在感を高めるためには「目立つことが必要」だと考え、自分中心の発想でスタンドプレーに走ってしまうこと。でも、そうした行為は返って評価を下げ、信頼されなくなります。この点は、本当に気をつけたいポイントです。

■与えられたミッションは、とにかく全力でこなす!

また、上司との信頼関係が出来上がっていない新人時代は、言いたいことがうまく伝わっても、残念ながら話が進まないことも少なくありません。そこで、新人が上司との信頼関係をつくるために、必要なこととは何か? 大前提となるのは、身だしなみをきちんとすることです。そのうえで、指示されたことには「ハイ!」と返事して取り組み、全力でこなすこと。まずは、この姿勢で仕事に取り組みましょう。

もし、自分の考えと違うことを指示されても、「でも」「だって」「しかし」は封印。まずは、「おっしゃる通りですね」と肯定したうえで、「一方で」、「こんな意見はどうなんでしょうか?」、「こういうアイデアもあるようですが……」といった言葉使いで話してみましょう。

■人生100年時代。あせらず基礎固めに徹する!

人生100年時代を迎えたことで、従来なら集大成となる成果を求められた50歳になっても、新人世代の皆さんの場合は、まだまだ中間地点です。さらなる成長に向かって、50年も歩める時代になったのですから。

なので、あせる必要は、まったくありません。この状況を踏まえ、若くて、脳も極めて柔軟で、いろいろなことが吸収できるいまという時間を最大限に活用し、社会人としての基礎になる“仕事の型”を着実に、徹底的に叩き込みましょう。