俳優の唐沢寿明が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『24 JAPAN』(毎週金曜 23:15~ ※一部地域除く)が、きょう9日からスタートする。

同作は米国ドラマ『24』初の日本版リメイク。唐沢は「元の作品がヒットしていればしているほど、次にやる人は大変だろうね。どうしたって比較されてしまうから(笑)」と言いつつも、「でも、僕はキーファー(・サザーランド)さんのモノマネをするわけではないですから」と述べ、「どう乗り越えられるかが、俳優の面白さでもあると思います」と意欲を見せた。

また、ジャック・バウアーといえば、「24時間闘う男」であるが、唐沢自身を動かす原動力についても聞いた。

■「『嘘だろ』と思わせない世界観をどれだけ出せるか」

  • 唐沢寿明

    唐沢寿明 -テレビ朝日提供 (C)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

――放送が発表された際のコメントでは、リメイク作品を演じることについて、「『白い巨塔』のときも『唐沢にできるわけないだろ!』って、最初は言われましたから(笑)」とコメントされていましたね。

ハハハ、言われましたね(笑)。やっぱり、元の作品がヒットしていればしているほど、次にやる人は大変だろうね。どうしたって比較されてしまうから(笑)。オリジナルを知ってる人から見れば、いきなり僕が出てきたら、「違うじゃん」って。でも、僕はキーファーさんのモノマネをするわけではないですから。たとえば、『燃えよドラゴン』の仕事がきて、ブルース・リーの真似をするのかっていったら、できないですよね(笑)。だから違うアプローチで、考えないといけないなと。でも、それもまた良しで、どう乗り越えられるかが、俳優の面白さでもあると思います。

――今作では、どのように演じていきたいと考えていますか。

全体的に不自然さが漂わないように、気をつけてやりたいなと思います。日本は銃社会ではないですが、銃の持ち方とか銃撃戦のやり取りなどに不自然さがないようには、最低限したいです。たとえば撃つにしても、今までの日本のドラマって、前に向かってパンパンパンって撃つんですよ。これは絶対うそで、撃つと反動で手が後ろに動くんです。小さいことですけど、そういったことは気をつけています。「嘘だろ」と思わせない世界観をどれだけ出せるかが勝負じゃないかと思っています。

――もともと『24』の大ファンとのことですが、『24』の魅力をお聞かせください。

魅力はやっぱりストーリーでしょうね。知らず知らずのうちに引き込まれて、夜が眠れなくなるという分かりやすいパターンです(笑)。何十回も見てるのに、次も見たくなる、知ってるのにずっと見ちゃうという(笑)。今でも、携帯をCTUの内線電話の着信音にしてますからね。でも、この作品のオファーが来たときに、出演することがバレたら嫌だなと思って、一時期着信音を変えてました(笑)。

――ジャック・バウアーのキャラクターについてはいかがですか。

意外と強面の暴れん坊みたいなイメージでとらえている人が多いと思うんですが、全然普通の人なんですよ。ただ、いろんな状況に巻き込まれて、規則とか規定を破らざるおえないという。だから、今回演じる獅堂現馬も、ふつうの人が巻き込まれる感じでやろうかなと思ってます。

■アクション作品は「できるうちはやろうかな」

――吹き替え版だと、「約束する」や「本当にすまない」といった決めゼリフが印象的です。獅堂現馬も何か決めゼリフのようなものがあったりしますか。

僕は字幕版でしか見ていないので分からないですが、電話に出たときに「俺だ」「獅堂だ」とかは言いますね。でも、別に決めゼリフはないと思います。

――唐沢さんが演じる獅堂現馬についての印象はいかがでしょうか。

やっぱり人として、ちゃんと家族を愛しているところが良いですね。仕事に関しては、すごくストレートでマジメにやっていると思いますよ。そして結果的にルールを破ったりしますけど、基本的にはすごく普通の人です。

――今回、唐沢さんに獅堂現馬役のオファーが来た理由を、ご自身ではどう分析されますか。近年は、とくにこういったアクション作品が多い印象です。

最近アクション作品が多くなってきたんですが、若いときからやってるから、体が覚えているし、体力的にしんどい部分はトレーニングで補っていけばいいから、できるうちはやろうかなと考えてます。体は元気なんですよ、こう見えて。病気とは縁がないので、まだ大丈夫じゃないかなと思います。 ただこの先、どういう方向に進むのか、自分でも分からないですけどね。いつまで経ってもアクションものをやっていて、自分のキャリアが終わる可能性もあるし(笑)。だけどそれも人生だし、「俺は楽しかったな」と思えるんだったら、それでもいいかなって(笑)。

■他人からの評価は「100%当たっている」

――過去には、「自分自身が評価するよりも、他人からの評価(オファー)の方が当たっている」という旨の発言をされていました。

それは100%当たっているでしょ。だって自分への評価って、周りの人が示した評価が1番正しくない? 自分が「俺は100点だ」って言ったって、「お前は100点じゃないよ」って言われたらそれまでだし(笑)、自分で点数なんて出せないしね。

――ところでジャック・バウアーといえば、「24時間闘う男」とも呼ばれています。唐沢さんも長年、芸能界で闘い続けてきたわけですが、ご自身を動かす原動力は何ですか。

「やると決めたら、やらないと恥ずかしい」というだけじゃないかな。体が動かないとか言うぐらいだったら、最初からやらない方がいいしね。そっちのほうが潔いでしょ? やると決めたからには、努力は必要。最低限の努力をして臨まないと失礼にあたるし、終わるまでは最低限責任があるので、きちんとまっとうして、ちゃんとしたものをお客さんに届けるようにしないと。だから毎回、チャレンジするような作品の方が良いなと。向こうもそれを分かっていて、オファーしてくるのかもしれないけど(笑)。

――最後に視聴者の方々にメッセージをお願いします。

オリジナルを知らない方はなにも考えずに見ていただければ、ストーリーに引っ張られると思います。そして、オリジナルを見ている方も、最初からダメだと言わないで、1回見ていただけるとうれしいです。「よく頑張ってるじゃん」って思ったら、逆に応援してもらって、「日本人も頑張ってやってやるんだよ」っていう思いを共有してもらって、一緒に良い作品にしたいですね。

■唐沢寿明
1963年6月3日生まれ、東京都出身。1980年に「東映アクションクラブ」の一員となり、俳優としてのキャリアをスタート。スーツアクターや裏方も務めた後に、ドラマ『愛という名のもとに』(フジテレビ/92)で一躍人気俳優に。『トイ・ストーリー』シリーズでは、1作目から主人公・ウッディの日本語吹き替えを務めている。最近の出演作は映画『ラストコップ THE MOVIE』(17)、ドラマ『ハラスメントゲーム』(テレビ東京/18)、『グッドワイフ』(TBS/19)、『エール』(TBS/20)など。

■『24 JAPAN』(10月9日スタート/毎週金曜 23:15~ ※一部地域除く)
同作は米国ドラマ『24』初の日本版リメイク。唐沢寿明はテロリストによる女性総理候補暗殺計画を阻止するため、そして誘拐された家族を取り戻すために必死で戦うCTU第1支部A班の班長・獅堂現馬を演じる。

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