■挫折からの再起「絶対に見返してやる」

――帝京高校サッカー部でプロを目指すも、ケガで断念。それ以前に覚えている挫折はありますか?

挫折はそれが初めてだと思います。もちろん、ポイントポイントでテストで悪い点とったとかありましたよ(笑)。家庭環境は恵まれていた方だと思いますし、サッカーの才能はそこそこあったので、“蝶よ花よ”で育てられてきた僕にとっての初めての挫折でした。

卒業後すぐにホストになったのは、「人生変えたい」と思ったから。やっぱり最初は喪失感というか、夢が叶わなくて落ち込みました。自分はこんなに努力してプロになれなかったのに、片やプロになった奴がいる。自分にとっては、人格否定をされたような大きな出来事で。だから、「絶対に見返してやろう」と固く誓いました。

そして、「もう人生変えるなら、歌舞伎町だ!」みたいな(笑)。拙い人生経験だったからこそ、決断できたんでしょうね。「ここに行ったら人生変わる」という直感で行動しましたが、事実、水商売って裸一貫で成り上がることができる数少ない業界の1つ。そうやって、反骨心や悔しさが自分を動かしてくれました。青春をあれだけ犠牲にしたのに、高校生活を彼女とイチャイチャして過ごしていた奴に負けたくない。そういう気持ちでしたね。

■「言葉」を大切にするワケ

――ホストにとって言葉はとても重要だと思いますが、常日頃からどのように向き合っていらっしゃるんですか?

もともと言葉はすごく大事にしていました。同じ意味でも言い回しで、相手の受け取り方が変わってしまうものなので。例えば、「楽してここまで来たわけじゃない」と「左うちわでここまで来たわけじゃない」は、やっぱり後者の方が少しインテリジェンスな意味合いで伝わる。「愛してます」という気持ちを月に例えたり、日本語ってすごく奥深くて奥ゆかしくて、ステキですよね。

だからこそ、“しゃべる専門家”として新しい表現も追求していきたい。たぶん、趣味なんでしょうね。「努力しててすばらしいですね」と言われことがあるんですけど、「努力」という概念がない。言葉遊びが好きだったり、新しい格言に触れたり考えたりするのがすごく好きで、努力というよりも「生きがいの一環」という感じですかね。

「言葉」を仕事にしてお金をもらうようになってから、そういう自覚が生まれたのかもしれません。よりシビアになりましたし、もっと勉強しなければいけないとも。人前で喋る仕事をしている以上、美しい言葉を使いたいですよね。スラングもたまに意識して使うこともありますよ。でも、基本的には「ら」抜き言葉を使わないとか「美しい言葉」はすごく意識します。

「どんな女性が好きですか?」と聞かれたら、やっぱり言葉遣いが美しい人や言い回しや表現が美しい女性は、外見的な要素を抜きにしてすごく惹かれるものがあります。僕も100点じゃないので、間違った使い方があったり表現をしてしまうことはあると思うんですけど、出演した番組とかを見て「この言葉は、もう少しこの言い回しができた」とか、日々勉強ですね。

――「話す仕事」といえばテレビ出演もありますね。そういった芸能の仕事は、どういう位置付けでしょうか。

正直言うと、僕はテレビに関してはあまり好きではないというか、興味がないんです……と言ったら誤解与えてしまうと思うんですけど(笑)。ホスト出身ということもあって、「派手なライフスタイル」とか、そうやって歪曲して使われることが多くて、あまりテレビに執着しなくなりました。僕が出ている番組を見て、少しでも前向きな気持ちになってくれる人がいたらいいですが、昔は「数千万円のホスト」みたいな扱われ方が多かったので。

でも、最近は人間性にフォーカスを当てて出させて頂くことも増えたので、そういう媒体を選んで出演させて頂いています。正しく、「ローランド」が伝わる媒体は出てもいいかなと。「テレビに出て目立ちたい」とかは、一時期は自己顕示欲が強かったのであったんですけど、「正しい自分」を伝えてくれる媒体だったら出たいなとは思います。