きょう28日から新たなメーンキャスターの加入や放送時間の拡大など、大きく変化するフジテレビ系ニュース番組『Live News イット!』(平日版 毎週月~金曜15:45~19:00)。リニューアルのポイントは、同局が重視する視聴者層の1つである「キー特性」(13~49歳)だ。
この新たなターゲットを報道番組としてどのように捉え、夕方のニュース戦争にどう挑んでいくのか。上田平吉弘チーフプロデューサーに聞いた――。
■イジられ役だった榎並アナが“変身”
同番組では昨年4月の放送開始時点から、F2層(女性35~49歳)を中心の視聴者層と捉えて制作。「もちろん、あまねく幅広い層の方に見ていただきたいのですが、番組の輪郭がぼやけてしまわないように、F2層の皆さんにより強く発信したいと始まった番組なんです」といい、結果として、F2層が多くを占めるキー特性を意識した番組づくりが行われてきた。
夕方のニュース戦争で、世帯視聴率・個人全体視聴率では民放横並び4位に甘んじているが、実はキー特性で見ると、日本テレビ『news every.』に次いで2位につけるという違った勢力図が見えてくる。しかし、この数字の差が大きいため、そこに迫るべく実施するのが、今回のリニューアルだ。
その象徴的な施策が、榎並大二郎アナウンサーのメーンキャスター加入。引き続きメーンキャスターを務める加藤綾子とはフジの入社同期で、2人のコンビネーションも期待されるが、「キー特性の方々には、将棋の藤井聡太二冠や、ゴルフの渋野日向子選手などの明るいニュースが、他の話題に比べてすごく響くんです。そこに、榎並さんや加藤さんが持っている前向きさや清潔感が非常にシンクロして、キー特性の方々にもっと響くのではないかと思い、起用しました」と説明する。
榎並アナといえば、これまでお昼の『バイキング』で、坂上忍に随所でイジられていた印象が強いが、「『イット!』では、ある意味“変身”してもらおうと思います。これからは、自ら主体的にニュースと向き合い、訴えかけていく存在になってもらおうと思っているので、『イット!』の初回に立ったときに、これまでのイメージをいい意味で覆したいです(笑)」と期待をかける。
■キャスター自身が感じたことを伝える
番組のキーワードに「フレッシュ&アクティブ」を掲げているが、これは2人のメーンキャスターを体現したもの。見た目の新鮮さに加え、加藤も榎並アナと同様に、「自分が感じたこと、思ったことを画面を通して視聴者の方々に伝え、一緒に考えていくというのを、“アクティブ”という言葉に込めました」と狙いを語った。
最近では、『Live News α』のフジ三田友梨佳アナや、『every.』の日テレ藤井貴彦アナなど、局アナであってもニュースに対して自らの言葉で視聴者に語りかけるスタイルが支持を集めており、2人の発信力にも注目が集まるだろう。
夕方のニュースでは、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』が同じタイミングでキャスターを渡辺宜嗣アナから小松靖アナに交代して若返りを図る。また、日テレも「コアターゲット」(13~49歳)、TBSも「ファミリーコア」(13~59歳)という視聴者層を重視する戦略をとっているが、「加藤さんと榎並さんのコンビは、各局と戦う上で強力な武器だと考えています」と自信。
「偉ぶらないし、まっすぐな2人なので、若い2人の成長をリアルタイムで見守っていただけるキャスターだと思っているんです。キー特性というのは未来志向の指標だと思うのですが、そういった意味でも、この2人の持っているキャラクターは、他局と差別化できる大きな魅力です」と信頼を寄せている。
■幅広い世代へ心強いガチャピン
ほかにも、木村拓也アナが、その名も「アクティブキャスター」に就任し、「毎日、ニュースの現場や旬な現場に出動して、ライブで伝えていきます」。かつて夕方のニュースで、人力車を引いて回った各地から毎日天気予報を伝えていた木村アナだけに、“アクティブ”なレポートはまさに適任と言える。
お天気キャスターは、人気キャラクターのガチャピンと三井良浩気象予報士が続投する。時折、生放送で突拍子もない動きをし始めるガチャピンと、それに対して全く動じない三井予報士という何とも絶妙なコンビネーションを見せているが、「ここも、キー特性を考えたときに重要な要素なんです」とのこと。
「キー特性を意識しながら、あまねく幅広い層の方に見ていただくためには、親子でご覧いただくというのが大事になってきます。それによって、世代の幅が広がっていくので、小さいお子さんから大人の方にも人気のガチャピンは、とても心強いキャラクターです」と頼りにしている。これまでの天気予報の時間帯の毎分視聴率を見ても、手堅い数字をマークしているという。