歌手の中島美嘉が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、27日に放送された『あの日 妹を殺されて 前編 ~罪を憎む男が選んだ道~』のナレーションを担当した。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った中島美嘉

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った中島美嘉

■「そこまでできる人がいるんだ…」

今回の主人公は、最愛の妹・福子さんがアメリカ人の夫に殺された犯罪被害者の遺族でありながら、刑務所や少年院から出てきた元犯罪者の身元を引き受け、仕事と住居を提供して“親代わり”になっている草刈健太郎さん。中には再犯に走ってしまう者もいるが、「加害者を減らせば、妹のような被害者も少なくなる。この取り組みは妹に『やれ』と言われている気がする」という思いを胸に、活動を続けている。

ナレーションを読みながら、自身の姉のことを思い浮かべたというが、もし同じ立場になったら「恨みのほうが強くなっちゃいますよね」という中島。

草刈さんの姿を見て、「悔しさや許すことができない気持ちを、人を助けるということに切り替えているのがすごいと思いました。おっしゃる通りだと思うんですけど、そこまでできる人がいるんだ…」と驚かされた。

■つらいシーンを思い出して涙

特に印象的だった草刈さんの言葉を聞くと、「軽々しく物事を言わない方なのに、『俺が家族になってあげる』と言っていたことです。言われた相手の方も泣いていて、そうなるよねと思いました」とのこと。さらに、「『過去は変えられないけど、未来は変えられる』という言葉も、本当にその通りだなと思いました」と心に刺さった様子だ。

  • 『ザ・ノンフィクション』の密着を受ける草刈健太郎さん (C)フジテレビ

また、78歳になった草刈さんの母親が「もうすぐ福子に会える」と言うのが口癖になっている場面や、ある母親から少年院に入った息子へ宛てた手紙のシーンは、ナレーションを読むのがとてもつらかったという。このインタビュー中にも思い出して、涙ぐんでしまうほどだった。

一方で、映像では福子さんの元夫が精神疾患の主張を退けられ、有罪判決を言い渡された瞬間、机に頭を何度も打ちつける衝撃の場面もあり、「痛いという感情が本当のところではあるのですが、それをナレーションに出して物語を壊したくなかったんです」と、なんとか耐えた。こうした恐怖を感じるシーンや、前述の精神的につらいシーンでは、「ずっと深呼吸していました」と、心を落ち着かせるのに精いっぱいになりながら原稿を読んでいたことを明かした。

■言葉を1つずつ見てほしい

次週10月4日に放送される『後編 ~15年後の涙と誓い~』では、加害者である元夫の素顔を草刈さんが初めて知らされるほか、草刈さんの元から独立して順調に更生の道を歩んでいたはずの青年に起こるまさかの展開などが待っている。

中島に注目点を聞くと、「もう膨大すぎて、1つ1つを挙げるのは難しいですね」と悩みながら、「やっぱり、草刈さんの言葉を1つずつ見てほしいです」と視聴者に呼びかけた。

●中島美嘉
1983年生まれ、鹿児島県出身。01年、ドラマ『傷だらけのラブソング』にヒロインとして抜てきされ、その主題歌「STARS」で歌手デビュー。その後、「雪の華」の大ヒットや、映画『NANA』では主演を務めるなど、歌手・女優・ファッションリーダーとして、アジア各国でも注目される。10月7日にはニューアルバム『JOKER』をリリース予定。今年デビュー20周年を迎える。