コロナの第2波が第1波以上の勢いを見せつつあります。年内どころか来年も収束しないとも言われている昨今です。今回のコロナが収束しても、また再び新たな流行が来ないとも限りません。

そうした中で、多くの方々が大なり小なり経済への影響を受けていると思います。本稿では、私たちの生活でかかっているお金、家賃や携帯代の支払いについて注目し、金銭的に難しい場合にどのような対処方があるのか考えてみたいと思います。

  • コロナの影響で支払いが難しい時の対処法

シーン別の対処方

2020年7月20日時点の、新型コロナ感染症に関する支援としてどのようなものがあるかを、下図にまとめてみました。今後新たな支援や内容変更があるかもしれません。常に新しい情報と詳細を確認ください。

■生活費の確保が難しい
食費や子どもの教育費など最低限の生活費の確保が難しくなっている方もいるかと思います。自分に該当する制度は積極的に利用するようにしましょう。

「特別定額給付金」
すでに受け取られている方や申請した方が多いでしょう。申請期限は郵送方式の申請受付開始日から3カ月以内ですので、申請用紙が届いていないなどの場合は早急にお問い合わせください。

「緊急小口資金(特別貸付)」・「総合支援資金(特別貸付)」
申請先は同じですが同時には申請できません。緊急の場合は支給が早い緊急小口資金(特別貸付)を申請し、状況を見て総合支援資金(特別貸付)を検討ください。無利子で保証人も不要ですが、あくまで貸付なので返済しなくてはなりません。

「ひとり親世帯臨時特別給付金」
対象者
(1)令和2年6月分の児童扶養手当の支給を受けている方
(2)公的年金給付等を受給しており、令和2年6月分の児童扶養手当の支給が全額停止される方
(3)新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変するなど、収入が児童扶養手当を受給している方と同じ水準となっている方
(4)上記(1)(2)のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が減少した方

支給額
「児童扶養手当受給世帯等への給付」……1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円
「収入が減少した児童扶養手当受給世帯等への給付」……1世帯5万円

■家賃が支払えない
支出の中でも家賃は大口ですし、住むところがなければ直ちに路頭に迷います。また、新たな仕事を見つけることが難しい場合がほとんどです。こんな時は「住居確保給付金」制度を検討しましょう。

対象は離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し、住居を失うおそれがある方に原則3カ月、最大9カ月、家賃相当額を自治体から家主さんに支給されます。本人が受領するのではなく、家主に支払われます。申請窓口は各地の社会福祉協議会等ですが、最寄りに窓口がない場合は市区町村で申請窓口を問い合わせてみてください。

■住宅ローンが支払えない
「フラット35の見直し」
全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う“全期間固定金利型住宅ローン”「フラット35」の返済方法を見直してみましょう。今回のコロナによる返済の特例は次の3つのパターンがあります。これらを組み合わせることも可能です。
1.返済期間の延長
2.一定期間だけ返済額を軽減(中ゆとり制度)
3.ボーナス返済の見直し

「民間金融機関への相談」
緊急相談窓口を設置したり、条件変更による手数料を免除したりと金融機関によって対応はまちまちです。格段に対応措置がない場合でも、支払いが困難になりそうであれば、早急に相談してみてください。その際に大切なことは、返済方法を変えれば返済継続可能であるという根拠です。金融機関はそれぞれ返済の基準等はありますが、実際はその人の計画性を判断する部分も少なくありません。

住宅ローンは、返済方法を変えても返済が難しいと想定される場合は、早期に売却か賃貸にすることも考えましょう。返済できずに低い金額で競売落札されてしまってからでは、売却額が残債に満たず破綻が大きくなります。早い段階で任意売却して生計を立て直せば、いずれ再び住まいを取得することもできるかもしれません。変わり身の早さも大切なのです。

■クレジットカードが支払えない
クレジットカードは払えない期間が長くなると強制解約され、借金残額の一括返済を求められます。こうなっては生活の立て直しもより難しくなるでしょう。そのような事態を解決するために国が作った制度が「債務整理」です。借金等の返済が困難になった個人又は法人が債務を整理するために裁判所を利用する手続としては,(1)特定調停手続(2)再生手続(3)破産手続が用意されています。

もし家族等の支援が受けられるのであれば、この際支援を受けましょう。ただし、生活スタイルが健全で、そのクレジット利用が妥当なものであり、今後十分リカバリーできると周囲が納得できることが前提です。

■携帯電話代が支払えない
ドコモでは、2020年2月末日以降の料金について、期限までの支払いが困難な方から申し出があった場合、7月末まで支払期限を延長するなどの対処をとっていました。その他の携帯会社でもコロナの影響を考慮し同様の対応がされているところがあります。自分の使っている機種はどうなのか一度調べてみてください。また、今後のことも考えて、サービス内容の見直しや格安スマホへの乗り換えなど、最小限の支出になるような対処も大切です。

状況の早期解決と身の丈にあった生活を!

コロナの影響などで収入が減り支払いが難しいと感じた場合は、いち早く対処して、少しでも早く立て直すことが大切です。おかれた状況は様々であっても、対処が遅れるほど改善が困難になるので、早くリカバーするようにしましょう。その際に心掛けるべき点は、変わり身の早さです。あきらめるものはすっぱりと切り捨てて出直す覚悟が必要です。

私が深く印象に残った記事のひとつに、一部上場会社の部長を務めていて、給与も恵まれていた方の住宅ローンの破綻例があります。妻は専業主婦、義務教育年齢の二人の子供は私立の学校に通い、習い事もさせていました。購入したマンションは子供たちの通学を考慮して都心に近い、いくらか贅沢なものだった様です。ぜいたくな暮らしではありましたが、収入からすると維持できないものではありませんでした。しかし、リーマンショック等で会社の業績が極端に低下し、ボーナスが少なくなってしまった際に住宅ローンが返せなくなってしまったのです。

その際に、一時習い事をやめる、区立の学校に転校する、妻が働く……等の対処方法はいくらでもあったのですが、この方は生活を変えるのはプライドが許さなかったようです。結果、退職金目当てで転職しても追いつかず、マンションも売却することになってしまったとのこと。

恵まれた生活であっても、対処を間違うとあっという間に失うものが多くなってしまいます。無駄なプライドは捨てモノに執着しすぎないよう、日ごろから心がけましょう。

本来は、数カ月間収入が少なくなったり、最悪失職したりしても、しのげるだけの貯蓄は用意しておくべきです。コロナの蔓延がなくても病気になることもあるでしょうし、人生には何かしらのアクシデントがつきものだからです。貯金がなく数カ月の間をしのげないということは、収入以上に生活が広がってしまっていることを意味します。

そのため、今すぐ生活を徹底的に絞り根本的なこの問題を改善することが必要です。もちろん何かしらの要因で今だけ余力がないケースもあるでしょう。しかし多くは、身の丈にあっていない生活を送っているのです。