三井化学は、大牟田工場にて2020年5月に運行を停止した炭鉱電車(三井化学専用線、旧三池炭鉱専用鉄道)のラストランイベントについて、9月末をめどに実施することで検討を進めてきたが、開催中止を決定した。

  • 炭鉱電車の最終運行の様子

1997(平成9年)年の三井三池炭鉱の閉山とともに、その多くの路線は廃止されたが、一部区間(1.8km)は三井化学専用線として引き継ぎ、当時の車両を大切に整備しながら、三井化学大牟田工場の原料の物流に活躍し続けた。

その三井化学専用線が5月7日をもって運行終了したことを受け、9月末にラストランイベントを計画していた。あわせて「ありがとう炭鉱電車プロジェクト」と題し、未来に向けたレガシーとしての活用を検討しており、炭鉱電車の映像と音を楽しめるコンテンツも製作されていた。

しかし今年7月、九州地方を中心に大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」により、炭鉱電車の車両(5両)もすべて冠水し、稼働できない状況になったため、ラストランイベントは中止に。イベント会場として予定していた宮浦駅周辺も、来場者を安心・安全に案内することが難しい状況だという。イベントの開催予定地区において、7月以降から新型コロナウイルス感染症の拡大がみられるなど、不透明な状況が続いていることもラストランイベント中止の一因となった。

なお、ラストランイベントに併行して検討・制作していたメモリアル映像については、オンラインで映像を公開するとともに、完成した映像は大牟田市や関係団体へ寄付・提供される。今後の新型コロナウイルス感染症の収束や、炭鉱電車の活用方針の決定などの状況により、同様のイベントを別途実施することを引き続き検討していくとのこと。