久々の新たな大型コント番組に歓喜したのは、美術スタッフや技術スタッフも同様。その気合は相当なもので、「とにかくセットが細かく作り込まれていて、びっくりしました。飲み屋街の裏路地の感じとか、一人暮らしの大学生の部屋とか、細部までこだわっていますし、『YouTuber一家』でも家ごと台上げする大きな仕掛けがあります。バラエティのスタジオで、四方八方をセットに囲まれるということもなかなかないので、それにも驚きました」と興奮を隠せない。
さらに、「照明さんから『これは昼のライトで行く? 夜のライトで行く?』と言われたのも新鮮で。そこまで照明に気をつかうことは普通のバラエティではないですし、カメラマンさんもこうやってコントを撮るんだというのが分かって、勉強になりました」と目を輝かせた。
「『こういう画がほしい』とか『こう動いてほしい』とか『こんなことを言ってほしい』とかを台本にしていくので、バラエティの基礎や根幹が、コントには全部詰まっているんだと感じました。チーフプロデューサーの戸渡(和孝)さんに、『コントを撮るディレクターは大工と一緒で、くぎの打ち方を知らないと家を作れない』と言われたのですが、実際に見て教えてもらわないとできないことだと実感しました」と、学ぶことは本当に多かった様子。
「20代で本格的なスタジオコントを撮ったことのあるディレクターは、おそらく民放にはいないと思うので、これを経験しないままおじさんにならなくて、フジテレビに入って本当に良かったと思いました(笑)」
立ち位置などを確認するドライ、リハーサル、本番という流れで撮影していくのも、コント番組ならではの作業。今回は2時間の特番で、朝から晩まで1日中の撮影を3日間にわたって行ったが、ここまで収録に時間をかけるバラエティ番組は、最近ではどの局を見渡しても異例だ。
「時間もそうですし、お金もかかっていて、『本気だな』と思いました。偉い人もたくさん見に来ていましたし、編集作業でも意見が飛び交っています。ディレクターは僕が唯一20代で、脂の乗り切った30代や、40代もいて、“オールフジテレビ”で作っている感じがあります」といい、現場の雰囲気は「熱いです。激熱です!」と胸を張っている。
■向上心に火がついたSnow Man渡辺翔太
そんな大村Dは、不定期で放送されているバラエティ番組『7G~SEVENTH GENERATION~』で演出を担当。この番組で、四千頭身、さや香、さすらいラビー、宮下草薙という“お笑い第7世代”芸人と毎回体を張った対決を繰り広げる、ジャニーズのアイドルグループ・Snow Manも、『ただ今、コント中。』でコントに初挑戦している。
このうち、渡辺翔太は「YouTuber一家」に、福田の弟役で出演。大村Dは「コントが初めて同士だったので、お互いが意見を出し合って、切磋琢磨した感じでした」と渡辺との仕事を振り返りながら、「台本もすごい読み込んできてくれて、100点満点でした」と絶賛する。
だが、当の本人は「『もっとこうすれば良かった』『全然できなかった』と悔しがってました」とのこと。「いい意味でショックを受けたんだと思います。向上心にすごい火がついて、またやりたい気持ちがあふれていました」と、リベンジに燃えているようだ。
●大村昂平
1993年生まれ、福岡県出身。明治大学卒業後、15年フジテレビジョンに入社し、バラエティ制作に配属。主な担当番組は『ネプリーグ』『全国ハモネプリーグ』『新しい波24』『AI-TV』『7G~SEVENTH GENERATION~』など。