本記事では、年間120万円までの投資であれば、利益が出ても非課税となる制度のNISA、及びつみたてNISAについて基本的な解説をしています。NISA、つみたてNISAの違いや、それぞれのメリット・デメリット、また実際の運用の仕方までくわしく解説しています。またiDeCoとの比較も解説していますので、投資の検討にお役立てください。
NISAとつみたてNISAの仕組みの違い
まずは、NISAとつみたてNISAの仕組みについて紹介します。
NISAとは?
NISAとは、日本に住む20歳以上の方を対象にした、2014年から始まった少額投資非課税制度のことです。
通常の投資では、利益に対して所得税15% 、住民税5% 、復興特別所得税0.315% がかかります。
たとえば投資をして1万円の利益が出たとします。その場合、実際に得られる金額は 10,000×(1-0.2315)=7,685 となり、7,685円です。ところがNISAを利用すれば1万円がそのまま利益となります。
このように税制の面で有利なNISAですが、反面、以下の5点の制約があります。
1.NISA用に開設した口座でしかNISAは運用できない
NISA口座を開く前に一般口座で買い付けた銘柄をNISA口座に移すことはできません。
2.NISA口座を開設できるのは2023年までで、1年に1つしか開設できない
NISAは銀行でも証券会社でも、オンライン銀行やオンラインの証券会社でも開設することができますが、1年に1つだけと決まっています。1年ごとに金融機関の変更は可能です。
3.非課税で運用できるのは、最初の年も含めて5年間
5年後はその投資信託を売却するか、別のNISA口座に繰り越すか、税金のかかる一般の口座に移すかを選ばなければなりません。
4.年間投資上限額は120万円まで
仮に100万円で株式を購入したとしたら、その年は残り20万円までしか投資できません。仮にその株式を売却したとしても変わりはなく、また使わなかったとしても、翌年にその枠を繰り越すことはできません。
5.購入できる商品は決まっている
NISAを利用して購入できるのは、国内外の上場株式や投資信託、国内外のETF、国内外のREITなどになっており、非上場の株式や債券、FXや金・プラチナなどの金融商品に投資することはできません。
つみたてNISAとは?
2018年から投資初心者でも活用しやすい新たな選択肢として、つみたてNISAが誕生しました。つみたてNISAもNISA同様の非課税制度ですが、つみたてNISAと一般NISA(つみたてNISAに対してNISAは一般NISAと呼ばれます)が異なるのは以下の点です。
1.積立投資専用
一般NISAであれば、積立投資も一次購入にも利用できますが、つみたてNISAは積立しか行うことはできません。
2.非課税で運用できるのは、最初の年も含めて20年間
つみたてNISAは最長で20年間、積立投資を続けることができます。つみたてNISAは、より長期投資に適した制度といえます。
3.新規に投資できるのは2037年まで
つみたてNISAは20年間の積立投資を対象としているため、投資可能期間も一般NISAに比べ、長くなっています。
4.年間投資上限額は40万円まで
一般NISAに比べ、上限が低く抑えられているつみたてNISAは、毎月少額ずつこつこつ積み立てる投資家に向いています。
5.購入できる商品は限られる
金融庁が定めた一定の条件をクリアした投資信託と一部のETFに限られており、非課税制度を利用して株やREITの投資を行いたい場合は、一般NISAを利用することになります。
結局、NISAとつみたてNISAのどちらを選べばよいのか
非課税制度のNISAとつみたてNISAは併用することはできません。それぞれの違いを理解し、自分の目的に合った制度を利用しましょう。
NISAに向いているのはこんな人
ある程度は投資について理解している方が、節税のメリットを活かして積極的に運用したいと考える人が、NISAに向いています。以下のような目的を持っている人は、NISAをおすすめします。
- 投資に関心があり、積極的に投資がしたい
- 株式投資を行いたい
- 相場の動きに機敏に対応したい
- 自由に金融商品を選びたい
- 年間40万円以上は投資したい
つみたてNISAに向いているのはこんな人
投資の専門家におまかせしながら、貯金をするような感覚で毎月こつこつ積み立てたいと考える方はつみたてNISAに向いています。以下のような目的を持っている人はつみたてNISAをおすすめします。
- 安全に投資を行いたい
- 投資の知識がなく、研究に割ける時間もない
- 大きく儲けられなくても、貯金する感覚で長期間投資を続けたい
- 低コストで投資したい
- 年間40万円以上は投資するつもりはない
NISAもつみたてNISAも預金とは異なり、元本が保証されたものではありません。だからこそ、自分なりの投資の目的を立て、自分に合った投資のやり方で、手堅く運用することが求められます。