――そして、中央には大きな狛犬がいますね。

狛犬さんは、人々の心や魂を守る守護の象徴なんです。

――大英博物館に所蔵された作品も「狛犬」ですよね。趣味も「狛犬研究」ということですが、どういったところに魅了されるのでしょうか?

狛犬さんは寺社仏閣、中国のお寺にもあるし、他の国にもいっぱいいらっしゃるんですよ!中国の狛犬さんはネコ科で、日本はイヌ科だったり違いがあって面白いんですけど……何の話でしたっけ?

――狛犬に魅了されるところです(笑)

すいません(笑)。狛犬さんっていうのは、基本的に目を合わせようとしてもできないんですよ。神社にいる力強い狛犬さんと目を合わせてみようと思ったことありますか?

――いや、ないですね。

ぜひやってみてください! どうやっても目が合わないんですよ。そのとき、私は「人の魂を見てるな」と思ったんです。要するに肉体ではなく、心とか魂とか見えない部分を守ってくださってるんですよ。

それと、やっぱりギョロッとした目が怖いんですけど、怖いからこそ魔を祓(はら)うことができるんですよね。そういった存在で役割を果たす狛犬さんを描かせていただこうというのは、出身の長野にいた頃からずっと決めていました。

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■「私なんか、狛犬さんの下々なんです」

――全国津々浦々の狛犬、いや失礼、狛犬さんをご覧になっているそうですが、一番好きなのはどこの狛犬さんですか?

それはないんですよ。すべての狛犬さんが素晴らしいんです! 例えば、101匹ワンちゃんを飼っていたとして、ダルメシアン101匹の中で優劣つけられますか? そういうことなんです。

――建造物や芸術作品ではなく、動物として見ているんですね。

いえいえ。私よりも高貴な方という形です。私なんか、狛犬さんの下々なんですよ。とても比べられるような方々ではないんです。

――『深イイ話』の密着でおっしゃっていた、「大嫌いを作ることを怖がらず、作品を発表し続ける」という言葉が印象的なのですが、『24時間テレビ』という非常に多くの視聴者が見る番組に関わる場面でも、そのポリシーが揺らぐことはないのでしょうか。

私の絵っていうのは、好き嫌いがハッキリするものだと自覚していますし、人間って自然に対しても恐れを感じることってあるじゃないですか。でも、恐れを感じることってすごく大切なことだと思うんです。怖いと思い、怖い形を知っているからこそ悪を祓うことができますので。だから、一貫して目の大きな狛犬さんを描いて悪を祓うということを、スタッフさんも良いと言ってくださったので、私はいつも通りやるだけという気持ちです。