シームレスダウン、シームレスマスクのように、アパレル業界でよく耳にする「シームレス」。IT業界や交通、建築業界といった別の業界にも広がり、少しずつ違う意味で使われています。

そこで、シームレスの基本的な意味を紹介した後、業界ごとにどのような場面で使われるのか、用法も交えて解説します。一般的なビジネスシーンでの使い方や、類義語もまとめましたので、ぜひご一読ください。

  • 各業界におけるシームレスの意味と使い方

    シームレスの意味、理解していますか?

シームレスの意味と由来

シームレスは、「縫い目がない」という意味を持つ言葉です。英語由来で、「seem(継ぎ目)」+「less(無いこと)」と分解できます。

例えばアパレルの「seamless pantyhose または seamless stockings(シームレスストッキング)」は、縫い目がないという意味のままでの使用例です。

この意味が元となり、現在ではさまざまな業界で「複数の機能やサービスを、境目を意識することなく利用できる」という意味に用いられます。

また、現在ではシームレスの持つ意味は、主に以下の3つにまとめられます。

  1. 継ぎ目のないこと。また、そのもの。「シームレス構造」。
  2. 《seamless stockingsの略》後ろ中央に縫い目のない婦人用長靴下。
  3. 複数のコンピューターシステムやネットワークサービスを統合したものに対し、それぞれの違いを意識せずに利用や管理ができること。
    (引用元:goo 辞書「シームレス 出典:デジタル大辞泉(小学館)」)

継ぎ目のない構造そのものを指す場合、シームレスストッキングの略については、もともとの意味に近くイメージしやすいでしょう。3番目の意味は、かなり広範囲に適用できる意味のため、各業界で使われるようになりました。

さまざまな業界で使われるシームレス

シームレスという言葉は、現在「別個の機能やサービスが統合化され、利用者側でその違いを意識せずに使えるようになった」という意味として、以下のような業界で使われるようになっています。

  • IT業界
  • 医療業界
  • 金融業界
  • 建築業界
  • 交通業界
  • 物流業界

これらの業界では、具体的にどのような意味でシームレスを使っているのかについて、もう少し詳しく解説します。

各業界におけるシームレスの意味と使い方・例文

  • シームレスの基本的な意味は「縫い目がない」「継ぎ目がない」

    各業界におけるシームレスの意味と使い方をチェックしましょう

各業界におけるシームレスの意味を、例文を交えて紹介します。

IT・医療・金融業界や、ビジネス用語として

IT・医療・金融業界での「シームレス」は、サービス間の垣根をなくし、利用者が複数のサービスを巨大な一つのシステムとして使用することを指します。

扱うサービスは各業界で違いますが、利用者がそれぞれのサービスの違いを意識しなくて済む、という点では同じです。

またこれらの業界に限らずビジネス用語としても、仕組みや人々の間の垣根をなくす、といった意味で社内外のコミュニケーションにおいて使われます。

  • 社内の業務システムと顧客情報管理システムと営業システムをシームレスにつないで、シングルサインオンで利用する(IT業界)
  • シームレスケアとは、急性期と回復期、リハビリ期を一つの病院で行うことだ
  • プリペイドからの支払いとポストペイがシームレスに使えるスマホ決済が便利だ
  • 部署間の垣根をなくし、シームレスな関係を目指そう

建築業界

建築業界では、屋外と屋内の境目・間取りのように、本来は区切られている空間を、連続した空間と感じられるようにする場合に「シームレス」と表現します。

また、床全面の目地をなくして仕上げることを「シームレスフロア」というように、本来の「継ぎ目がないもの」という意味合いで用いる場合もあります。

  • 内装と外装をつないで、敷地や施設の内と外をシームレスにする
  • スキップフロアで各居室をつなげることで、家族がシームレスな関係を保てる

アパレル業界

アパレル業界では、元の「継ぎ目のない」「縫い目のない」という意味そのままで使用されます。

  • シームレスの肌着は、縫い目が身体に当たらないのでストレスが少ない
  • シームレスパンティはアウターに縫い目が響かず安心してはける

交通業界

交通業界でシームレスという言葉は、スムーズな乗り換えや、交通ターミナルでの移動のしやすさを表現するときに使用します。「交通のシームレス化」という場合は、「出発地から目的地までの移動を、総合的にスムーズなものとすること」を指します。

  • 相互直通運転やバリアフリー構造は、交通をハード面でシームレス化する
  • 共通乗車券や連絡ダイヤの設定、運行情報共有化は、交通をソフト面からシームレス化する

物流業界

物流業界では、企業同士で異なる物流ターミナルの運営や作業システム、各国間で違う法制度が、物流を阻害する要因となっています。これらの要因を統一化し、物流をスムーズにすることを「物流のシームレス化」と呼んでいます。

  • 物流ターミナルの運営や法制度等に関する物流のシームレス化が必要だ
  • 多品種・小ロットに対応するため商品識別方法や、作業システムの共通化による物流全体のシームレス化を図る

改めて、表にまとめます。

業界名 シームレスの意味
IT業界 顧客管理システムや営業システムといった機能・システム間の垣根をなくす
医療業界 急性期・回復期医療や介護サービス間の垣根をなくす
金融業界 金融サービス間の垣根をなくす(ex:資産運用、資産活用)、各国間の金融サービスの垣根をなくす(フィンテック)
ビジネス用語 仕組みやシステム、人々の間の垣根をなくす
建築業界 継ぎ目のない構造や間取り全般(ex:シームレスフロア)
アパレル業界 継ぎ目のない構造の衣料品
交通業界 スムーズな乗り換えといったハード・ソフト面の改良により、出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること
物流業界 物流ターミナルの運営や法制度、商品情報の垣根をなくす

ビジネス用語としてシームレスを使うときの注意点

前述のようにシームレスは、一般的なビジネスシーンでも使われる言葉です。ここでは想定されるシーンとして、部署間と上司・部下間で使われる「シームレス」の意味について深掘りして確認しましょう。

部署間で「シームレス」が使われるのは、お互いに協力関係を結んだり、同じプロジェクトで働いたりするなど、垣根をなくして仕事をするときです。

上司・部下間で「シームレス」を用いる場合は、ジェネレーションギャップを乗り越えてお互いを尊重する関係性を築く際に用いられます。

どちらのパターンにおいても、シームレスは、「組織上の境目・垣根を超越し、スムーズな関係を構築する」という意味で用いられることの多い言葉です。

ただし注意する点として、どういう意味で相手が言っているのかを慎重にくみ取る必要があります。意味がわからない場合は、相手にどういう意味かを確認してから話を進め、勘違いのないようにしましょう。

シームレスの類義語と対義語

シームレスの類義語は、「縫い目・継ぎ目がない」「混然一体となって」です。ここまで解説してきたように、「サービス間の境目を感じることなく一つのシステムとして使える」ことや、「スムーズな関係」という意味にも置き換えられます。

対義語は「レス」を除いた「縫い目」になります。「継ぎ目がある」「縫い目がある」と言えば、反対の意味になります。ただし、業界によっては、反対の表現を別途考える必要があります。

その他のシームレスの使い方

シームレスという言葉は、ほかにも特殊な場面で使われます。その例をいくつか紹介します。

  • シームレス地質図

独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターが無償で公開している地質図で、正式名称は「20万分の1日本シームレス地質図」です。従来は各研究者が作成していた日本の地質図を日本全国で統一化したため、このように命名されています。

  • シームレスドール

ワイヤーフレーム内蔵・シリコン製で、関節がないのにポーズを形成できるドールのことです。関節がなく滑らかな構造が「シームレス」と表現されています。

「シームレス」はさまざまな業界で使われる言葉

シームレスの基本的な意味は「縫い目のない」「継ぎ目のない」です。しかし、現在ではさまざまな業界で「境目のないこと」「複数のサービスをあたかも一つのシステムのように使えること」といった意味に発展してきました。

ビジネス上で「シームレス」という単語が出てきたときは、その単語が使われている業界がどこで、どういう意味合いで使われているのかを慎重に判断しましょう。