「第20回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の授賞式が15日、東京・六本木のテレビ朝日で行われ、大賞作品が発表された。

  • (前列左から)谷口佳奈子さん、池上ゴウさん、長島清美さん  (後列左から)井上由美子氏、両沢和幸氏、岡田惠和氏=テレビ朝日提供

20回目となる今回は、テレビドラマ部門「サスペンス」、配信ドラマ部門「25歳」と、部門別にテーマを設けて作品を募集。

計1,078篇(テレビドラマ部門641通、配信ドラマ部門437篇)の応募があり、6月17日に選考委員の井上由美子、岡田惠和、両沢和幸の選考委員3氏による最終選考会の結果、池上ゴウさん(35)の『池田』(テレビドラマ部門)が大賞を授賞した。

池田さんは「結構ムチャなことをやっているなと思っていまして、こういう作品はドラマを制作している方々からしたらイラつかれるのではないかなと思っていたのですが、選んでいただいてうれしいです」と受賞の喜びを語り、賞金の使い道については「パソコンを買います。ボロボロなので、高いヤツを買います」と宣言した。

選考委員の両沢氏は「先ほど大賞受賞作『池田』をお書きになった池上ゴウさんが、『こんな作品はイラつくんじゃないか』とおっしゃっていましたが、私は“ぜひイラつかせていただきたい”というのが本音です」と明かし、「そういう意味で、『池田』は発想の面白い風変わりな作品で、それが大賞をお取りになった要因かと思います」と講評。

岡田氏は「『池田』は見たことのないタイプのものだった、ということがポイントとしてあったように思います。第2回で大賞をとった古沢良太くんのような雰囲気のある作家で、次にどんなものを書くかなと楽しみがあります」と期待を寄せた。

井上氏は「池上ゴウさんの作品はブラック企業の描き方に新しさがあって、人物の妙と配置やセリフにチャレンジがありました」と分析。さらに、「毎年、授賞式には記者の方がたくさん来られて、賞状だけでなく花束や盾が渡されたり、『賞金は何に使います?』なんて記者さんに聞かれたりする華やかなセレモニーがあるんです。今回はそれがなくて、とても残念ですけども、逆に言えばとても印象と思い出に残る授賞式だと思います」と語り、「これから20年経ったとき、“あの脚本家の最初の作品は、あのマスク着用の授賞式で受賞したシナリオだったんだな”と、語り草になるような脚本家になっていただければと思います」と呼びかけた。

優秀賞(賞金100万円)は、谷口佳奈子さん(33)の『深林トンネル』(テレビドラマ部門)、長島清美さん(52)の『カラハフッ!』(配信ドラマ部門)が、それぞれ受賞した。