ビズヒッツが運営するビジネス上の問題解決を考えるメディア「Biz Hits」はこのほど、「リモートワークの悩みに関する意識調査」を実施し、そのデータをランキング化した。

同調査は2020年6月、バーチャルオフィスのワンストップビジネスセンターを運営するワンストップビジネスセンター代表取締役の土本真也氏監修の元、リモートワークをしている全国の男女961人(女性500人/男性455人/未回答6人)を対象に、インターネットによる任意回答にて実施。なお調査結果に対して、土本氏からの考察が寄せられている。

  • リモートワークをしている人の84.3%は悩みがある

リモートワークになり「ストレスが減った」「通勤がなくてラク」といった声がある一方で、「リモートワークって結構しんどい……」と感じている人も多いのではないだろうか。リモートワークをしている10〜60代の男女961人を対象に行ったアンケートによると、「リモートワークをするうえで悩みがある」と回答した人は961人中810人。全体の84.3%にのぼることがわかった。

リモートワークをするうえでの悩みを聞いたところ、「家族がいて集中できない」(163人)が最も多く、「コミュニケーションがとりにくい」(139人)、「集中力が続かない/やる気が出ない」(134人)が僅差で2位、3位に。次いで、「自宅ではできない仕事がある」(91人)、「仕事環境が整っていない」(84人)、「ネット環境が悪い」(84人)と続く。

  • リモートワークの悩み1位は、「家族がいて集中できない」

具体的にどんなところに困っているのかについては、第1位「家族がいて集中できない」には「子どもがいるため、度々仕事を中断させられ効率的に仕事ができない」(30代 女性 契約社員)、第2位「コミュニケーションがとりにくい」では「同僚とのコミュニケーションがとりづらい。連絡はできるが、ほんのちょっとしたことが話づらい、聞きにくい」(40代 男性 正社員)、第3位「集中力が続かない/やる気が出ない」には「家にいると他のことに頭がいき、集中力が続かない」(30代 女性 正社員)などの声が寄せられている。

土本氏の考察:「当社は10年以上、リモートワーク、在宅ワーク、オンライン会議を行ってきましたが、やはり、開始当初は社員や外注ワーカーさんなどのチームメンバーがこのアンケートと同じような悩みを抱えていました。今後はオンラインとリアルなオフラインを上手に使い分けることにより、効率化も進むと思われます。たとえば、オンライン会議は少人数、進捗確認のみにする、などが良いと思います。特に2020年の春は、突然在宅ワークを強いられ、自宅内でリモートワークの準備ができないまま仕事をしている方も多いので、このような結果になったと思われます」。

「リモートワーク中にさぼったことがあるか」質問したところ、「頻繁にある」(13.9%)と「たまにある」(49.4%)が合わせて63.3%という結果に。「気がついたら、YouTubeやSNSなどを見ている」(20代 男性 正社員)、「ペットが可愛くて遊んでしまう」(30代 女性 業務委託)など、「つい、〇〇してしまう」という声がたくさん聞こえてきた。誰の目もなく、テレビや漫画、ネット、いつでも横になれる……といった誘惑が多い環境で、自分を律することはなかなか難しいようだ。誰にも心当たりがあるのではないだろうか。

  • リモートワーク中にさぼったことがある人は6割以上に

快適にリモートワークをするためにどんな工夫をしているか質問したところ、ダントツ1位は「仕事時間と休憩時間のメリハリ」(268人)に。「通勤しているときと同じ時間に起きて仕事をする」「タイマーを使って仕事時間と休憩時間を管理する」「仕事前にコーヒーを淹れるなどのルーティンをつくる」など、メリハリをつけたり、仕事のモチベーションを高めたりする工夫をしている人が多くいた。10位の「身なりを整える」も、きちんとした服に着替えたり、化粧をしたりすることで、自分自身を仕事モードにするための工夫となっている。

  • 快適なリモートワークのコツは「メリハリ」と「環境づくり」

2位の「デスクや椅子の購入」(132人)、3位の「BGMをかける」(124人)、4位以降の「一人になれる空間を作る」(103人)、「部屋やデスク周りの整理」(78人)、「パソコン・ネット環境の整備」(62人)、「気が散るものの排除」(48人)などは、すべて快適にリモートワークをするための環境づくりと言えるだろう。

環境を整えることは、仕事のモチベーションを高めたり、作業効率を上げたり、気持ちよく働くためには非常に重要だとわかる。実際、「快適に作業ができるように、27インチのモニターとパソコン机、リクライニング付きの椅子を購入した」(40代 男性 正社員)、「好きな音楽を聴きながらやると集中できることに気づいた」(40代 男性 正社員)、「テレビや本がない部屋でリモートワークを行い、スマホをさわらないようにしている」(30代 女性 パート)など、環境を整えたことで格段に仕事がしやすくなったという声も多く聞かれた。

土本氏の考察:「やはり、自宅内での集中できるワークスペースがないまま仕事をせざるを得なかったために、みなさん苦労しながらいかに効率的に仕事を進めるか、悩ましかったことがアンケート結果から読み取れますね。今後は在宅ワークもどんどん進んでいくと思われますので、自宅内に集中できるワークスペースを作る、快適なオフィス家具やパソコン機器を揃える、高速なネットワーク環境を整えるなど、自身の集中できる空間を整備することで、より快適で効率的なリモートワークが進むのではないかと思われます。積極的な休憩も取り入れて、オンオフの切り替えをしていきたいですね」。

これまで、漠然と「リモートワークってラクそう」「羨ましい」と思っていた人は多いかもしれない。しかし実際に経験してみるとメリットだけでなく、「リモートワークならではの大変さ」を実感することもあったのではないか。

同時に、デメリットだらけだと思っていた「通勤」が、意外にも運動不足の解消や生活のメリハリに役立っていたこと、会社の快適さ、仲間と働く必要性やありがたさに気づいた人も多いことだろう。リモートワークをきっかけに、これまで当たり前だった仕事のやり方や会社のあり方、自分自身の働き方について、改めて見つめ直すのもよいかもしれない。

最後に土本氏は、「2020年7月現在で、日本全体がリモートワークを推し進めて数カ月が経過しました。リモートワークも慣れない点でかなり苦痛があったと思いますが、会社や仕事仲間が全体的に慣れてきますと、快適かつ効率的に成果につなげられると感じ始めた人も多いと思います」と指摘。

  • ワンストップビジネスセンター代表取締役 土本真也氏

続けて、「今後は会社自身のあり方、経営方針、フリーランサーの活用、雇用形態などを抜本的に見直していく会社も多いと思いますし、リモートワークに快適なツールやアプリもどんどん登場してくると思われます。それらを積極的に取り入れることで働き方を変えて、より効率的で価値を生み出す社会につながっていけばよいですね」との総括コメントを寄せている。