俳優の佐野岳が、あす14日(21:00~)に最終回を迎えるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『探偵・由利麟太郎』の見どころなどを語った。

  • 吉川晃司(左)と佐野岳=カンテレ提供

7日放送の第4話から、2週にわたって描かれる最終章は、“由利麟太郎シリーズ”の中で最も有名であり、横溝正史が世に送り出した戦後初の本格長編小説『蝶々殺人事件』が原作。ドラマ版では「マーダー・バタフライ」と作品名を変えたが、舞台は小説と同じく、国の重要文化財でもある大阪市中央公会堂がメイン。撮影も今年2月、実際に中央公会堂にて行われた。

前編である第4話では、オペラ界のスター女優・原さくら(高岡早紀)が何者かに殺され、謎の怪事件が幕を開ける。さくらの夫・原聡一郎(大鶴義丹)、さくらのマネージャー・土屋恭蔵(鈴木一真)、マネージャー助手の雨宮順平(水沢林太郎)、若手女優の相良千恵子(吉谷彩子)、テノール歌手の小野竜彦(佐野岳)ら関係者が一堂に会したオペラ会場で、さくらの遺体が発見され、それはなぜかコントラバスケースの中に詰め込まれていた。

オペラ会場に来ていた由利麟太郎(吉川晃司)もさくらの死を確認するが、その後、死んだはずのさくらの亡霊をみたと、聡一郎や楽団員たちが奇妙なことを言い出す。そんな中、今度は、宿泊先のホテルで、雨宮順平(水沢林太郎)が転落死する事件がおきて…というストーリーだった。

スター女優の死を引き金に、次々と明らかになる楽団の真実。希代の名探偵・由利が最後に導き出した答えとは。登場するすべての関係者が、さくらにほれ込んでいるという共通点があり、愛憎渦巻く複雑な人間関係が事件のカギを握る。さくらに一方的に思いを寄せる1人が、佐野岳演じるテノール歌手の小野だ。レディーキラーの異名を持ち、また、さくらと親密な関係を疑われるモテ男。最終回で明らかになる“楽団の知られざる過去”を知るキーパーソンでもある。


――「マーダー・バタフライ」の台本を読んだ時の感想をお願いします。

1回読んだだけでは、すぐに理解できないくらい難解で、さまざまな事実が複雑に絡みあうストーリーでした。複雑さの度合いが、ミステリー好きの人にも満足していただける内容になっているのではないかと思います。ミスリードを誘うような場面がいくつもあるので、そこにも注目していただければと思います。

――歌手・小野竜彦を演じるにあたり意識したことはありますか?

高岡早紀さん演じるさくら先生への愛情を一番大切にしたいと思いました。小野のすべての原動力が、さくら先生なので、まずは“さくら先生像”を自分の中で作り込んで演じました。

――横溝ミステリー『探偵・由利麟太郎』について。

横溝作品ならではの世界観がしっかりと表現されているのが、映像としても伝わるのではないかなと思います。

――吉川晃司さんの印象や、撮影現場での様子をお教えください。

吉川さんとは『下町ロケット』で共演させていただいて以来2度目です。あと、実は僕、吉川さんのライブにも1度行かせていただいたことがあるんです。僕の人生で初めて行ったライブが吉川さんのライブでした。そのライブの時、吉川さんが指輪をなくされたんですよ。舞台上で、「ちょっと待ってくれよ。オレの指輪とれたよ!」っておっしゃって(笑)。思い出深いです。すごく強いオーラを放ってらっしゃるので、緊張しちゃうかなと思っていたんですけど、とてもチャーミングな方で、おどけてみせてくれたり、男でもその魅力に魅せられます。

――志尊淳さんとの共演はいかがでしたか。

志尊君は、常に作品を良いものにしようと現場のことに気を配っていて、柔和な雰囲気とはギャップもあり、とても魅力的だなと思います。

――京都・大阪での撮影について。

京都はすごく好きです。京都東映撮影所は、役者とスタッフさんというより、人と人が仕事をしているというイメージで、変な隔たりがなくて、僕はやりやすいなと思います。田舎出身なので、京都の落ち着いた感じは好きですね。

――最終回のみどころ、視聴者へのメッセージをお願いします。

いろんな愛情の形があって、それゆえにどんどん複雑にこじれていく。単に愛情って、響きはいいですけれど、少し道を外すと、憎しみにもつながる危ういものだなと感じます。今回、複雑な愛情というものをキーポイントとして演じたので、そのあたりを楽しみにしていただければと思います。