今、世の中がどのようなガールズグループを求め、そこから世界ヒットを生み出せるのか。『Nizi Project』には、そんなビジネス的な観点も込められていたことがクリアに見えていた。

番組スタート時の公式発表から「“虹”のようにメンバーそれぞれの個性が、様々な色を放つようなガールズグループを目指す」とある。ガールズグループでもボーイズグループでも、グループメンバーひとりひとりの個性重視は今に始まったことではないが、より具体的だった。それがこれまでの日本のオーディション番組にはなかった点のひとつでもあった。

どれだけ具体的だったのかというと、韓国のアイドルグループでは当たり前の条件にあるダンスも歌の実力も兼ね備えていること、スターという特別な存在になり得ることができる「人間力」も審査基準にあった。TwitterにInstagram、TikTokなど、SNS時代の今はあらゆる角度からアイドルの素顔を見せ、そして365日、24時間体制で全世界から見られる。だからこそ人間力が重視されていた。

「ダンス」「ボーカル」「スター性」「人柄」の4つの要素を総合的に見ていくことが、番組でも「ペンダント」というアイテムを使って分かりやすく伝えられていた。NiziUを象徴するものとしてペンダントのモチーフがロゴで起用され、ファンクラブではそのペンダントにリボンを加えたロゴが使われている。

  • ペンダント

その中の「人柄」が人間力を表すもの。番組でNiziUデビューメンバーに選ばれた理由を明かされたとき、マユカはトレーナー、スタッフの人柄評価でマコと同様に最高点を取ったことが大きかったと説明され、実際に人柄も重要であったことが分かる場面だった。

また、諦めずに真摯(しんし)にJ.Y. Park氏の言葉を受け止めながら、成長し続ける姿をみせていたリクやリオも最終メンバーに勝ち残った。人間力の高さはこうした行動でも示せるものでもある。