東京・両国国技館から無観客で生放送される、今年の日本テレビ系大型特番『24時間テレビ43』(8月22~23日)。6日に行われた制作発表会見後に取材に応じた総合プロデューサーの吉無田剛氏は、日々変わる状況に柔軟に対応して番組作りに臨む姿勢を示した。
今年のテーマは「動く」。吉無田氏は「決めたのははっきり覚えていますが、緊急事態宣言中のゴールデンウィークでした。コロナ禍のリモート会議で『24時間テレビ』というものがどういうテーマだとメッセージとして伝わるのかと考えていると、この考えていること自体も、“動く”ということなんじゃないかと思ったんです。とにかく思考停止に陥らないで、何か人の助けになることがあるんじゃないかというのを日々考える、という意味を込めました」と狙いを明かす。
メインパーソナリティーを務める、V6の井ノ原快彦、NEWSの増田貴久、Kis-My-Ft2の北山宏光、ジャニーズWESTの重岡大毅、King & Princeの岸優太の5人には、年明けにオファー。その時点では、直前に東京オリンピックというリアルなイベントがある中で、「リアルなものを等身大で誠実に伝えられるメンバーがいい。しかも日本中が盛り上がるので、各世代から代表して、グループの垣根を越えてスペシャルなメンバーが集ったらいいのではないかという気持ちで5人を選ばせてもらいました」という。
しかし、その五輪が延期となり、コロナの状況での放送となった今でも、「結果的に本当にこの5人で良かったと思います。特別な『24時間テレビ』を伝えるにあたっては、安心感や笑顔を届けるオーラがある5人が、このご時世になっていろんな形でメッセージを伝えることができると感じています」と自信を見せた。
恒例のチャリティーマラソンは、例年のように公道では実施しない方針が決定しており、「『24時間テレビ』の風物詩になっている公道を使ってのマラソンは、どうしても3密を生んでしまう。応援してくださる方が沿道にいることで、コロナ感染のリスクになるというのが真っ先にありましたので、その時点であの形でのマラソンというのはできないと判断しました」と経緯を説明。
一方で、「それをネガティブに考えるのではなくて、このタイミングで新しい企画というのを作れないかと、すぐに前向きになりました。まだ皆さんにお伝えできるものはないんですけど、今まさに一緒にチームになって、安全・安心というのが担保できることを大前提に、新しい見応えのあるワクワクした企画を考えようと思っています」と、代替案を検討している。
また、「日本列島ダーツの旅」や、さまざまなチャレンジ企画など、ロケを行うコーナーも例年欠かせない要素になっているが、「レギュラー番組でも、自分たちに厳しいルールを課して番組制作をしております。コロナの状況が厳しくなればそのルールも厳しくして、国の方針で地方に移動しても大丈夫となったらそれに合わせて番組も作っていく形になっています。この数日間で非常に感染人数も増えて、また厳しくなっている状況ですので、その時その時のタイミングにおいてでき得ることという形で、企画を作っていこうと思っています」という方針。
その上で、「場合によっては、日本テレビが脈々と撮り続けてきたアーカイブやフッテージ(映像素材)みたいなものも有効利用させていただく」としつつ、この数カ月間で知見をためたリモートでの打ち合わせや取材、新しい演出方法を駆使して、番組を構成していく考えを示した。
国技館では観客を入れず、対面募金も行わず、「キャッシュレス募金」を強化。それでも、メイン会場を広い国技館とすることについては「スペースとして広くて換気もよく、日本テレビのスタジオよりも安全・安心にできること。去年初めて国技館を使用させていただいて、国技館に宿るパワーも今回お借りしたいなと思いまして、その2点から決めました」と理由を語っている。