「古民家に住む」と聞くと、心揺さぶられる人は少なくないのでは? ただ古民家も千差万別。

実際見ると単なる古い家屋だったり、もはや人より獣が住むべきでは? というものまでさまざまで、なかなか「コレ!」というものは少ないでしょう。もちろん、そうした家探しも楽しみの一つですし、素敵な家とめぐり合う縁というものもあります。

ところが、ツイッターに投稿された鹿児島枕崎市にある古民家は、ジブリ作品に登場しそうな佇まいで、エモさ満開。まさに理想と言えるのでは!?

  • ジブリ作品に登場しそうな佇まい ※タップで拡大

この素敵な家屋を紹介したのは、同市の地域おこし協力隊、りっか@REHOME DELI.@licca_898こと、篠塚立夏(しのづか・りっか)さんです。

【エモすぎる古民家物件情報】 鹿児島県枕崎市の住居付き旧郵便局が売りに出ました!!! 築およそ100年。明治時代の面影を残す素敵な建築物に住んでみませんか、、! リノベしてカフェなんかやっちゃったりしませんか、、!!! なんと土地付き100万、改修しても500万ほどです (@licca_898)より引用

この建物は元々「旧鹿籠(かご)金山郵便局」として使われていたもの、一時期は住居として利用されていたそうですが、その後は空き家となり、今回物件として販売されるのだそう。

篠塚さんに今回の古民家に関するお話を伺いました。

――販売前はどのような使われ方をしていたのでしょう

篠塚さん「枕崎市史によると、明治37年(1904年)~昭和56年(1981年)、三等郵便局として使われていました。そして、昭和62~63年(1987年)頃まで所有者が居住し、その後は空き家状態でした」

  • 建物の歴史を解説した資料 提供:篠塚立夏さん

三等郵便局ですが、明治政府が郵便事業を全国に普及させるため、地方の有力者を郵便取扱人として採用し、取扱人の自宅を局舎として無償提供させて郵便局経営を委託したもの。1872年1月26日(明治4年12月17日)の大蔵省議により決定したのが始まりです。 ※戦前期三等郵便局の経営実態 : 滋賀県山上郵便局の事例より抜粋

歴史をひも解いてみると、建物ができた明治37年は日露戦争が開戦した年。そんな大きな転換期に建てられたと聞くと、歴史の重みをさらに感じますね。

なお、篠塚さんによると「鹿児島大学工学部建築学科の教授が2015年頃に建築年月の調査をされました。その結果、『局舎は昭和初期に建て替えられたもの』という見解を出しましたが、特にエビデンスがなく、所有者の方(高齢)にはそのような記憶はなく、正確な情報は分かっていません」とのこと。

いずれにしても、あちこちにあるような建物ではありませんね。ただ、ここまで古いと住居にするにせよ、手直し工事があちこち必要そうです。

――改修費用500万円程度と投稿されてますが、この金額は正確なのでしょうか?

篠塚さん「私はあくまで紹介者でリノベーションの専門家ではありません。ただ、所有者の方、建築会社の方交えて物件を見に行った際、天井・屋根・外壁など住むために必要な最低限の改修に300~400万円は必要でしょうと概算してもらっています」

当然、リノベーションの範囲で金額は前後するでしょうが、おおよその金額として考えればよいみたいですね。なお、この貴重な歴史ある物件、販売情報は篠塚さんのTwitterとInstagramのみで情報発信しているそうです。

  • 建物の間取り図 提供:篠塚立夏さん

篠塚さんに建物の間取り図も紹介いただきましたが、かなりゆったりとした造りで、使い方はいろいろ考えられます。自身の住居とし、日々を過ごすもよし、例えば飲食店として地元注目のお店にするもよし。夢が広がりますねー。

実際、この投稿を見た読者からは「あああ今すぐ宝くじ当たってほしい」「素敵すぎます」「確かにこれはエモい」「トトロの家やん!!(語彙力)」「素敵な建物だわ~」「これは欲しい」「とっても雰囲気が良いですね!!!!! ゲストハウスとかやりたいですね」「襖絵も可愛いし欄間も素朴で良い。和洋折衷建築の良さを残したままでいてほしい」などたくさんの共感した声が寄せられていました。