芸能プロダクション・スターダストに所属する役者や映画監督が、脚本をリレー形式でつないでいく企画「リレー空想映画」を5月10日よりスタートさせ、2つの脚本が完成。このたび、その2つの脚本を完全リモートでサウンドドラマ化し、デジタルコンテンツとしてリリースすることが決定した。北村匠海、中川大志らが参加した『嘘とマーガレット』は6月18日、葵わかな、中村ゆりか、清原翔らが参加した『もう一度逢えたら必ず』は6月25日にリリースされる。
「リレー空想映画」は、ステイホームの時間を少しでも楽しんでもらいたい、そして自分たちも楽しめるコンテンツを作りたいと考えた企画。1つの脚本をリレーで書いていくことで、それぞれの解釈や好みが加わり、思いもよらない方向へストーリーが展開し、見ているひとや脚本を書いている筆者自身もその過程を楽しむことができる。
サウンドドラマ化に際しては、映画監督・役者・アーティスト・ナレーター・芸人・作家など、多彩な才能が集まるスターダストならではの、所属者だけで完成させることができるコンテンツに。なお、ステイホームにより生まれた企画という思いから、デジタルコンテンツの収益の一部を公益社団法人日本医師会へ寄付する。
第1弾の脚本リレーに参加したのは、北村匠海、中川大志、三木孝浩監督、中島良監督の4人。三木→北村→中川→中島の順番で、1日1話(500文字程度)更新し、リレー2周して完成させた。タイトルは、候補3つを挙げ、投票数が一番多いタイトル『嘘とマーガレット』に。
一切の打ち合わせもなく行われたリレー。自分の番が来たらその日に脚本の続きをアップしないといけないというプレッシャーのなか、次の人にバトンを渡す際に無茶ぶりをするなど、それぞれが楽しんでいる様子がうかがえる。
北村は脚本の中に新キャラクター「アヤミ」を登場させてすぐに中川へバトン。必然的に中川は「アヤミ」のことを書かないといけなくなる。中川が担当の日になかなか脚本がアップされない様子が気になり聞いてみると「1000文字ぐらいになった・・・笑」と、筆が止まらなくなったようだ。
最終話を書くにあたり、2つの終わり方を思いついた中島は、フォロワーの皆さんへアンケートを実施。「爽やかなハッピーエンド」「切ないハッピーエンド」のうち「切ないハッピーエンド」が多数となり、その意見を取り入れてストーリーをしめくくった。
サウンドドラマのキャストは、リク役を北村、シュウヘイ役を中川が担当。そしてアヤミ役は田辺桃子、ミサキ・ナギサ役は高橋春織が一人で二役にチャレンジ。リクとミサキの幼少期は谷垣有唯と柴山愛理が担当した。ナレーションには、男性キャスターユニット、イケキャス.の川津武大が抜てきされた。収録は完全リモートで、和気あいあいとした雰囲気で行われ、三木の編集により完成させた。
第2弾は、葵わかな、中村ゆりか、清原翔、三木監督、中島監督の5人が参加。中島→清原→葵→中村→三木の順番で行われた。タイトルも同じくSNSの投票システムを使い、3つの候補の中から『もう一度逢えたら必ず』に決定した。
第2弾の脚本リレーは居酒屋でヤケ酒する失恋女子トークからのスタート。2番手の清原のストーリーがやけに短いのはある理由があった。そして新キャラクター「いしかわ」を登場させた意図は、リレー終了後に各チームで開催した座談会で明らかに。
葵と中村の書くセリフはリアルな女子トークになっており、特にセリフ部分は清原においても役者であることが生かされているようで、数々の台本を読みこなしているからこそ書ける脚本になった。
サウンドドラマでは、脚本リレー当初から皆が思っていた配役になり、くるみ役は葵、つき役は中村、そうた役は清原に。さらにヒロ役には渕野右登、いしかわ役は小柳心がユニークに演じた。そしてナレーションにはロックバンド・FLOWER FLOWERのyuiがあの琴声で初挑戦した。
劇伴音楽も所属アーティストがリモートで制作。『嘘とマーガレット』は、ドラマ『1リットルの涙』の主題歌「Only Human」が大ヒットし、昨年公開された映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』で書き下ろした主題歌「光るソラ蒼く」では多くの感動を与えたシンガーソングライター・K、『もう一度逢えたら必ず』は、嵐への作詞提供やw-inds.、Little Glee Monsterなど数多くのアーティストへの楽曲提供、アレンジを行っているクリエイター・JUNEが手掛けた。
また、『嘘とマーガレット』のジャケットイラストは、ナンセンスコメディをベースにしたコントを展開するコントグループ「テニスコート」のメンバーである神谷圭介が担当。『もう一度逢えたら必ず』の脚本リレーにも参加した中村ゆりかは、キャラクターの動きや心情、情景などの演出を説明する“ト書き”で情緒豊かな表現をしており、そのイメージでイラストを描いてみてはということでオファーし快諾した。
参加メンバーからコメントも寄せられた。
【北村匠海】
サウンドドラマという形で芝居をするのは初めてでした。リモートで実際距離は遠いものの、三木監督の下、心の距離は近く作品をみんなで作れたかなと思います。
自分たちの関わった脚本だし、とっても愛着がある物語です。ふんわりマーガレットのように優しく包んでくれるものになっていると思います。
【中川大志】
初めて現場から長い期間離れ、家で多くの時間を過ごしていた時に、こんな時だからこそ何か発信できないかと声をかけてもらったプロジェクトでした。
頭を抱えながらストーリーを繋いでいった経験は、表現者として沢山の学びもあり、めちゃくちゃ楽しかったです!
この時代を過ごした記憶と共に、この作品が残っていったら嬉しいです。
【葵わかな】
自分に物語を作っていくことが出来るのかどうか、始まる時は不安の方が大きかったのですが、いざ始まってみると本当に楽しかったです! みんなで物語を作っていくのが、自分にはない世界を見せてもらえるようで、ワクワクしたし、どう書いたら自分の思う情景を伝えることができるんだろう、と言葉について考える時間もたくさん持てました。
サウンドドラマでキャラクターとしても参加させていただけると聞いた時はとても嬉しかったです! 収録しながら、今まで以上に作品やキャラクターに愛着が湧いていくのがわかりました。全てリモートで行った新しい形のエンターテイメントが、どんな形で皆さんに受け取っていただけるのか、とても楽しみです。
【中村ゆりか】
撮影がストップし、自粛生活をしている中「リレー空想映画」という新しい企画に参加できてとても嬉しかったです。リレーがあっという間に終わってしまい、まだ書きたいなと思うほど本当に楽しみながら行うことができました。
画面越しで声の収録をした際に離れているので声の距離感が掴めなかったり、回想と現在のテンションの変化が難しかったです。今回初めてなのですが、三木監督の優しい丁寧な演出にとても助けられました。
完全リモートでのサウンドドラマを是非、皆さんにも楽しんで頂けたら嬉しいです。
【清原翔】
今まで文章を書くということが苦手で逃げていたので、この企画を頂いてどうしようかすごく迷いましたが、意外にも好評価を頂けました(笑)。リレー形式ならではの、ストーリーが自分の考えの範疇から超えていくのがすごく面白かったですし、参加させて頂けて本当に良かったです。
【三木孝浩】
世界規模で大変な状況が続く中、出来ることが限られた状況下で、少しでも皆さんにエンタテイメントをお届けできないかと、始まったこの『リレー空想映画』。でもひょっとしたら創った僕たちが一番楽しんでたかもしれません(笑)。
想像は力になります。未来を暗いイメージで埋めるのではなく、明るくワクワクするような空想をすることで明日がちょっとでも楽しみになってくれたら嬉しいです。
【中島良】
これまで物語を作るときは、結末からの逆算で作ってきました。しかし、リレー形式で作っていくということで、他の皆さんがどんな続きを描くのか、毎日ドキドキしながら取り組みました。
そしてリレーに参加されたキャストの皆さんがサウンドドラマにも出演されたことで、より物語の面白さが表現されていると思います。
ネットで読んでくださった方々の応援によって作られた部分も大きいと思います。ありがとうございました。ぜひお楽しみください。