――メルトが頼もしくなったと感じた瞬間はどんな時でしょう。

その前に「まだまだダメだな」と感じたのが劇場版のときでした。劇場版はレッドがいなくなって、レッドの役をブルーが担って、みんなを引っ張らなきゃいけないという台本だったんです。でも作品を見ると全然引っ張れていなくて、むしろピンク・ブラック・グリーンに引っ張ってもらっていた。やっぱりそれはマネージャーさんにも言われたので、「ダメだな」と思っていたんです。

だからこそ、第44話「試されたキズナ」ではコウとアスナがいなくなるので、そこでは「劇場版みたいに引っ張ってもらってちゃいけない。俺が引っ張っていかないと!」という気持ちで臨みました。

――リュウソウピンク(アスナ 演:尾碕真花)がたくましいですからね……。

そうなんです、たくましい! キャラクター的にブルーとピンクの2ショットであることが多いんですけど、やっぱり持ってかれちゃうんですよね。ピンクの真花がいいお芝居をするんです。ナダ役の長田さんと飲みに行ったんですけれど、そこでいっぱいお芝居のアドバイスをいただいて、そこから僕自身も気が引き締まって意識が変わって、プロデューサーさんやマネージャーさんからも「変わったね」と言われることが増えました。あらためて、引っ張っていくメルトの姿も見ていただけたらうれしいですね。

――第33話「新たなる刺客」では長田さん演じるナダの最期が描かれ、『リュウソウジャー』のストーリーの一つの大きな山場となりましたね。

32・33話は、パイロットも担当してくださった上堀内佳寿也監督の組でした。上堀内監督の組は、こうした感情を表現しなければならない回が多い気がします。監督は内容的にもそうなんですけど、現場でも役者を一番大事にしてくれるんです。

物語では、ナダが死んで、最後にみんなでムービーを見て泣くというシーンがありました。そこでは僕ら一人一人の表情を捉えるためにカメラが5台くらい用意されていて、しかもその日はあえてナダ役の長田さんとできるだけ会わないように調整してくれていました。泣くシーンに入る前に気持ちを作る時間も数分でなく数十分もいただいて、役に入りやすい環境でしたね。そうしてお芝居を大事にしてくれるので、こちらもそれに応えないとという思いで取り組んでいます。ですから、撮影が終わると「やり切ったな~」と充実感、達成感も大きかったですね。

――リュウソウジャーのみなさんは舞台挨拶などでもチームワークのよさを感じますが、最初からそうだったのでしょうか。

最初のほうから仲良かったですね。ただ、仲がいいゆえに悪い意味で仕事の面で欠けてしまっていたところもありました。でも後半はみんな仕事とプライベートで意識を変えて、スイッチのオンとオフをしっかりやっているなという感じがあります。実は、終盤の組の撮影の時に食事会をしたんです。そこで「残りちょっとだし、頑張ろうぜ」ってみんなで話し合ったのがきっかけになって、みんなお芝居も集中して頑張れたように思います。

――撮影中、ファンからのメッセージでうれしかったものは?

トワと一緒に変な衣装で踊る第42話「決戦のステージ」では、たくさんのエキストラの方たちが参加してくださいました。その日、撮影が終わって感謝の気持ちをツイートしたんですけれど、それに対して「いつも笑顔が印象的な綱くんだけど、撮影のときはしっかり役に向き合って、現場でのたたずまいもしっかりしていて、頑張っているなと思いました。これからも頑張ってください」というリプをいただいたんです。300人参加してくださった方のなかで、僕を見てくださっている方もいるんだなって。そういう人が作品を見てくださるわけですから、満足していただける作品を作らなきゃなって思いました。

――今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、非常に残念なことに「ファイナルライブツアー」が全公演中止となってしまいました。しかし『リュウソウジャー』最終回の"その後"の物語といえるアクションショーの"音声"が「おはなしCD」という形でリリースされるのは、リュウソウジャーファンのみなさんにとってうれしいニュースではないかと思います。CD発売決定を受け、綱さんから改めてファンのみなさんにひとこと、メッセージをいただけますでしょうか。

CDの発売、本当にうれしいです。これが実現したのは、確実に皆さんのFLTに関する声がお偉い方々の元へ届いたからだと思います。ありがとうございます。

皆様も同じ気持ちかと思いますが、正直FLTがなくなったのはショックでした。本来であれば、FLTで皆さんと共に「騎士竜戦隊リュウソウジャー」としてまたお会いできたのにという気持ちが大きかったです。

しかし、今回このような形ではありますが、皆さんにお届けできるのはうれしい限りです。

改めて、1年間の応援、本当に本当にありがとうございました。

離れていてもソウルはひとつです。

そして何事も油断は禁物です。

手洗いうがいしっかり。

そして、必ずまた会いましょう。

ドラマCD『「騎士竜戦隊リュウソウジャー ファイナルライブツアー」おはなしCDスペシャルセット』は東映ヒーローネットにて予約受付中で、7月12日23:59予約受付終了(数量限定のため、早期に終了の可能性あり)。会場で販売される予定だった公演パンフレットに加え、ショーの台本、そして「ファイナルライブショー」の音源を収録したおはなしCDの3点セットとなっている。

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