自粛生活で運動不足によるストレスを感じている人が多そうな昨今、筆者もジムに通う習慣があったので、体が運動による負荷を求めているのが分かります。ギブミー、エクササイズー。

そこで早朝1時間程度の街中ランニングを始めたのですが、普段のトレッドミル(ランニングマシン)と勝手が違う! 少し調べてみると、走り方や足への負担もまったく異なるみたいです。

これは足元から見直してもよいのでは? と思い始めた筆者にスイス生まれのランニングシューズ「On」から秋冬の新モデルの展示会案内が。渡りに船とばかりに行ってきました。

  • 「On」の2020秋冬モデル展示会は3密を避ける運用で開催

テニスのフェデラーがアドバイザーとして参加

Onは2010年に誕生したランニングシューズを中心に展開するブランド。都内では新宿の小田急ハルクやスポーツ専門店で取り扱いがあります。

ちなみに「史上最高のプレーヤー」と呼ばれるテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーが開発/マーケティングチームへ参加したことでも話題になりました。

  • ロジャー・フェデラーが2019年11月の就任発表会で履いていた「Cloudflow(クラウドフロー)」(税込16,830円)

その特徴は「クラウドテック」というアウトソールのテクノロジー。EVA素材でできた独特の形状により、着地時の足に加わる垂直方向や水平方向、斜め方向に衝撃をつぶれる形で吸収し、強いけり出しを生むのだそう。

ランニングシューズ用でよく見かけるのは、衝撃吸収材がアウトソールに埋め込まれたもの。例えば下のようなものが多い気がします。

  • ランニングシューズでよく見かける吸収材が埋め込まれたもの

ところが同じ役割でも、クラウドテックは見た目が大きく異なり、ボコボコとしたやつが、山の連なりのようにくっついています。

  • ブロックのような「クラウドテック」テクノロジーが特徴的な「Cloud」(税込1万5,180円)

ゴムホースの輪切りがアイデアの元

同社のPRリーダーである前原靖子さんは、「ランニングの走り方はそれぞれに違いがあり、地面に足を着ける際の着地面も左右など千差万別。その人に合わせてクラウドテックがクッションと反発を生んで、走りをサポートします」と説明してくれました。

ちなみに、元アイアンマンレース選手だった創始者の一人が、ゴムホースを輪切りにしたものを幾つもソールに貼り付けたシューズを思い付いたのがこの変わった形状が誕生したきっかけ。

そして、ソールとアッパーの間に板バネのような「スピードボード」が挟まれていて、ランニング時の着地の衝撃を溜め、その反発力を推進力(スピード)に変えるといいます。

  • 足形をしたスピードボード(赤線部分)がソールとアッパーの間に挟まれている

この2つの技術はOnのシューズすべてに搭載されています。また、スピードボードの硬さ(反発力)はモデルにより違いがあるとのこと。

ゴム紐で締めるランニングシューズ

シューレースも独特で、なんとゴム紐。前原さんによると、「緩いと感じる場合は紐を巻いて調整し、よりタイトにフィットさせたい方は付属した通常のシューレースに交換して締めてもらうこともできます」と説明してくれました。

  • シューレースはよくある紐でなくゴム紐

え、こんな細いゴム紐で締めるの? ランニング時は紐を固く締めて走ることが多いので、緩めに履いて走ると聞いて違和感を持つ筆者。

ピュアな気持ちをとっくに無くしたオジサンらしく、半信半疑で試し履きしたところ……、おや、かかと浮きなし! 適度なフィット感あり! 紐を締めなくても問題なし! と華麗な手のひら返しを披露できました。

前原さんによると、実際、ゴム紐のままランニングの大会に出るユーザーもいるそうです。

  • 適度なフィット感を得られました

「DOVER STREET MARKET GINZA」や「atmos」が取り扱う

同社のプロダクトは現在3つの軸で開発されていて、まずはランニングなどの運動パフォーマンスを上げるもの、2つ目がトレイルランニングやハイキングなどのアウトドア系のもの、最期がライフスタイル系、いわゆる街履きとして普段利用するスニーカーです。

そして先月発売された「Cloudnova(クラウドノヴァ)」(税込1万7,380円)はスニーカーとして開発されたもの。アウトソールにクラウドテックは使われていますが、見た目は他のモデルと比較するスッキリしたシンプルな印象です。

  • 「Cloudnova(クラウドノヴァ)」(税込1万7,380円)

前原さんは「見た目がクールでも長時間履くと疲れるものではなく、快適で足の負担が少ないスニーカーが求められると思います。そこはランニングシューズと同じではないでしょうか」と話します。

そうした背景から登場したクラウドノヴァはデザインにこだわりつつ、テクノロジーも備えたものだそう。筆者の目に付いたのはヒールカウンター部。ここは俗に「靴の命」と呼ばれるほど重要な部分で、体幹補助・かかとの安定性をサポートする役割を持っているのです。

  • ヒールカウンターが靴下のような構造

その大事な部分が靴下のような構造となっていて、足を包み込むことで足あたりがよく疲れにくいそう。

  • 柔らかい素材で足あたりがよい

ちなみにデザイン性の高さから、このスニーカーは「DOVER STREET MARKET GINZA(ドーバー ストリート マーケット ギンザ)」や「atmos(アトモス)」などファッション感度が高いユーザーがよく利用するショップで取り扱いされています。

また、発表前ということで今回は紹介できませんが、このモデル以外にも新モデルや新カラーも複数予定しているので楽しみです。


少し前からアウトドアギアを街中で普段着利用することが一般化し、さまざまなブランドがライフスタイル提案をしています。そうしたプロダクトは高機能なので確かに快適ですが、デザイン的に微妙なものもありますよね。

そういう意味では、機能性と見た目のバランスが取れた製品が増えるのは嬉しいですし、今後も期待したいです。