大ヒットマンガ『鬼滅の刃』には、学べることがたくさんあります。今回は、仕事で成果を出し、負けない心で頑張っている人には、いくつかの習慣があるということを、このマンガから考えてみたいと思います。

  • 『鬼滅の刃』から学ぶ自分を強くする習慣とは?

    『鬼滅の刃』から学ぶ自分を強くする習慣とは?

『鬼滅の刃』には社会を生き抜くヒントがある

今、日本や世界は近年稀に見る未曽有の事態に襲われています。新型コロナウイルスの影響は大きく、不条理を感じて滅入っている方もいるのではないでしょうか。仕事においても、理不尽なことが多いことでしょう。

『鬼滅の刃』は、理不尽極まりない世界が描かれており、事柄は違えど同じように読み取れます。そして、この理不尽に打ち勝つための努力をする人たちが大勢出てきます。このマンガから、負けない心で強くなるにはどうしたら良いかのヒントを探してみたいと思います。

このマンガに出てくるキャラクターたちの多くは、事態に変革をもたらすために、命をかけ努力し、負けずに折れない強い心を持っています。逆に、心が折れてつけこまれたことによって、強さを履き違えた姿を現したのが鬼たちです。

読んでいると、鬼の過去に同情や共感ができることもあります。鬼たちは人間の持つ愚かさや浅ましさ、心の弱さを表現していると言っても過言ではなく、反面教師になると考えられます。

タフな人がやっている自分を強くする習慣

鬼から学ぶこともできるのですが、負けずに折れずにいる強い人たちからの学びを考えてみたいと思います。強い彼らが行動で示している習慣はいくつかありますが、ここでは2つを紹介します。

(1)目の前の課題にすぐに取り組む習慣

まず、主人公の炭治郎や人間を襲う鬼を倒すために結成された鬼殺隊のリーダーである「柱」たちは、目の前にある“課題”に対して、すぐに取り組む姿勢を持っています。やれるかやれないか、好きか嫌いか、楽しいか楽しくないかなどを判断して決めつけずに、目の前にきた課題をクリアするための行動を起こします。

課題を「仕事」と読み替えると良いでしょう。時間や状況が切迫していても、今、しなければならいことの優先順位を即座に考えて、取り組んでいきます。物事が山積すると、身動きがとれなくなって、結果的に目の前のことに集中できず散見してしまいがちです。

でも、素直に目の前に来たものから取り組んでいこうとすれば、重たい仕事で時間がかかっても、クリアしている自分がいます。面倒なことをクリアするほど、知恵も能力も上がり、その先に役立つ手助けもあるかもしれません。

炭治郎が機能回復訓練で、うまくいかなくても先に与えられた課題に取り組んでいるときに、お手伝いの、なほちゃん・きよちゃん・すみちゃんが呼吸法のアドバイスをくれました。それを参考にして続けることで難関の課題をクリアできたのです。得られた成果は、「全集中・常中」。その後の活動に影響を与える大きな能力を手にしました。

お互いに独立して活動していた柱たちも、「痣を出現させる者を増やす」というテーマが目の前に出てきたときに、隊員を訓練すること、柱稽古(柱同士で模擬戦闘)をすることを行いました。結果的に鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)との戦いで、それが活かされ上弦の鬼を倒し、無惨を追いつめることにつながりました。

仕事のできる強い人(有能で折れない人)は、習慣的に物事を後回しにしないのです。物事を素直にすぐに取り組むことが、さらに知識や技術、能力を向上させ、強い自分にしていけることをわかっているのかもしれません。

(2)自分で考える習慣

仕事をしていると、知らないことやよくわからないことにぶつかることはありませんか? そのときに、どのような行動をとることが多いでしょうか。『鬼滅の刃』に出てくるキャラクターたちの多くは、自分で考えることを習慣にしています。

仕事のできる強い人も同じです。「自分で考える」習慣は、物事を成し遂げて成果を上げ、自信を持っていくことに不可欠なのです。「何かわからないことがあったら聞いて」と言われて、実際に聞いてみると「そんなこともわからないの?」と言われたり、きちんと教えてもらえなかったりという経験もあるでしょう。理不尽ですね。

また、「何を聞いていいかわからない」ということもあります。だからと言って、そのままにしておいて良いものでもありません。

幼児や小学生であれば、わからないことがあれば聞いて、教えてもらえることが多いでしょう。しかし、社会人になって同じことをしていて良いとは限りません。聞いても教えてくれないとすねたり、1~100までを教えてもらえると思ったりしてはいけないでしょう。

わからなかったり、できなかったりした場合は、まず、自分で調べて考えて、ある程度の「答え」を持つ。その後に、確認のために聞いていく。そうすると、聞かれた方もそれに対して応答をしてくれます。わからないことの丸投げは、大人として避けたいところです。聞ける相手がいないこともありますから。

『鬼滅の刃』の炭治郎は、13才のとき、鬼にトドメを刺す方法がわからず、師匠・鱗滝(うろこだき)に聞きます。すると、鱗滝はこう言いました。

  • 1巻 第3話「必ず戻る夜明けまでには」より

    1巻 第3話「必ず戻る夜明けまでには」より

「人に聞くな 自分の頭で考えられないのか」
(1巻 第3話「必ず戻る夜明けまでには」より)

鋭い言葉です。「教えてくれたっていいじゃん!」と思いそうなところですが、炭治郎は焦りながらも考えます。結果は、間に合わず。太陽が昇り日の光が当たることで鬼は死に、トドメは刺せませんでした。このときから、炭治郎は「考えること」を習慣にしていき、その後の戦闘中でも考えに考えを巡らせて好機を掴んでいます。

「自分で考える」ことを習慣にできると、現状分析をすることが可能になり、自分のリソースを点検して、創意工夫できるようになり、自信が持てて「強い自分(タフ)」への成長につながります。

「答え」を聞くだけでは、本物の強さにはなっていけないでしょう。仕事をしていく上でも全く同じことが言えるのです。『鬼滅の刃』は、読み方によって、非常に優れた仕事の仕方や生き方の教科書になります。

『鬼滅の刃』から読み解く、強い自分になるための方法は、拙著『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』で他にもいろいろ紹介しています。マンガと合わせて読んでいただくと、炭治郎たちの発している、自分に必要なメッセージが、断然くみ取りやすくなるのではないでしょうか。よかったらぜひ、こちらの本も読んでみてください。

新刊『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』

炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか……。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。強い心のつくり方を『鬼滅の刃』から学ぼう!アスコムより上梓されており、価格は税別1,300円。

井島由佳(いじまゆか)

大東文化大学社会学部社会学科助教。心理・キャリアカウンセラー。1970年東京生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科人間生活学専攻修了。博士(学術)。専門は教育心理学、キャリア心理学。ライフキャリアと漫画に関する研究を行う。キャリアデザイン、チームビルディング、メンタルヘルスなどの専門家。自治体や企業等で研修講師を務める。最新著に 『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(アスコム)