大豆由来の食品・おからは安価で購入できるヘルシーな食材として広く知られており、スーパーや惣菜店などで「卯の花あえ」といった名称で販売されているのを見かけたことがある人も少なくないだろう。そんなおからは非常に高い栄養価を誇る優れた「高コスパ食材」であり、健康増進への寄与が期待できる成分も含まれているなど、良いこと尽くめだ。

本稿では、管理栄養士の真野稔子さんの解説のもと、おからの栄養価や有用成分、レシピへの活用法などを紹介していく。

  • おからの栄養パワーに迫る

おからの栄養価

おからは「卯の花」とも呼ばれ、豆腐を作るときに大豆をこして豆乳を絞った後に残る絞りカスを指す。タンパク質と脂質、炭水化物という三大栄養素のバランスがとれた食材であり、大豆の加工食品の中ではカロリーが低いのが魅力。ダイエット時の栄養補給にも適した食材だ。

「おからの定番レシピといえば、ひじきやにんじん、しいたけなどを加えて仕上げる『卯の花あえ』です。最近では健康やダイエット志向から、おからクッキーやおからケーキなど、スイーツの材料としても使用されており、手軽に使えるおからパウダーなども市販されています」

食べ物に含有されている成分などを網羅的にまとめている「栄養五訂増補日本食品標準成分表」によると、おからの100gあたりの栄養成分は以下の通り。

■おから
カロリー: 111kcal / 炭水化物: 13.8g / タンパク質: 6.1g / 脂質: 3.6g

この数字だけを見てもピンとこないかもしれないので、他の代表的な大豆由来食品と比較してみよう。

■木綿豆腐
カロリー: 72kcal / 炭水化物: 1.6g / タンパク質: 6.6g / 脂質: 4.2g

■絹ごし豆腐
カロリー: 56kcal / 炭水化物: 2.0g / タンパク質: 4.9g / 脂質: 3.0g

■豆乳
カロリー: 46kcal / 炭水化物: 3.1g / タンパク質: 3.6g / 脂質: 2.0g

豆腐をつくるための絞りカスに該当するおからが、実は豆腐や豆乳よりも高い栄養価であることが上記の数字よりわかる。

「そのほか、ビタミン・ミネラルではビタミンB1とカルシウム、カリウムなどの成分が高いですし、豆腐には少ない食物繊維を11.5gと豊富に含んでいます。また、微量成分としてはサポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどが含まれています」

おからに含まれる有用成分

続いて、おからに含まれる有用成分について以下にまとめた。

・セルロース……不溶性の食物繊維・セルロースは水に溶けにくく、腸のぜんどう運動を促進し便量を増やしてくれるので、便秘予防に期待が持てるという。腸の掃除もしてくれるので、大腸がんの予防にもつながるとのこと。

・大豆イソフラボン……フラボノイドの一種。強い抗酸化作用を持ち、女性ホルモンと似た働きがある。骨粗しょう症の予防や更年期障害の解消に有効と考えられている。

・サポニン……血圧低下やがん予防の働きがあるとされている。

・レシチン……記憶力向上やアルツハイマー型認知症の予防に効果があるという。

おからを活用したレシピ例

栄養価が高く、有用成分も多数含むおからは、できるだけ普段の食事から摂取するようにしたい。スタンダードな卯の花あえとして食べるのももちろんいいが、ひと手間加えてアレンジレシピにすると、より食が進みやすくなるだろう。

「おからは特別な味や香り、クセがないので他の食品と簡単に組み合わせることができます。炒ったものをトッピングとしてサラダにかけてもいいですし、ポテトサラダのポテトの代わりにおからを使用した『おからサラダ』もヘルシーな一品です。茹でた野菜とあえた和え物、みそ汁の煮えばなにおからを加えた『おから汁』なども手軽にできますよ」

最近では手軽に使えるおからパウダーも市販されており、ハンバーグやコロッケに混ぜたり、クッキーやケーキの下地に混ぜたりするのもおすすめだという。

緊急事態宣言に伴う外出自粛によって、料理への関心が高まったという人も増えている。この機会におから料理づくりにトライしてみるのもいいだろう。