ドリーム・アーツが5月14日に発表した「テレワーク実態調査」の結果によると、テレワークを実施していて不便・困ったことがあるという回答者が90%に上り、その理由としては「オフィス保存の紙書類の確認・入手」(46%)や「書類へのサインや捺印」(28%)が多く、テレワークの遂行に紙とハンコが足かせになっているという。

同調査は、同社が4月18日と19日の両日に1000人以上の大企業に勤める1000人を対象にインターネットを通じて実施したもの。

自身が働く企業のテレワークの現状を聞いたところ、45%が新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレワークを導入している。

また個人についても、今回のコロナ禍を機にテレワークを初めて実施した人が53%を占めており、大企業でもパンデミック対策に備えて事前に万全のテレワーク環境を整えておらず、急遽テレワークを導入・推進することとなった現状が浮かび上がったという。

テレワークを実施してみて不便や困ったことがある人は、全体の90%に及んだ。

その理由として最も多かったのが「オフィスに保存してある紙書類の確認・入手ができない」(46%)であり、「書類へのサインや捺印がもらえない」(28%)が続く。紙・ハンコ業務が、テレワーク遂行の妨げとなる主な要因だと同社は推測する。

  • テレワークで感じた不便や困ったこと

不便さや困った点で紙・ハンコ業務に次いで多かったのが、「同僚とのコミュニケーション・雑談が減る」(26%)、「上司や同僚との業務確認の会話が減る」(24%)だった。

紙とハンコが必要な業務の現状を尋ねると、「物理的なハンコを使っての捺印を実施している」が55%で半数を超えた。

また、会社の都合による紙・ハンコ業務の割合は54%と、法律上の理由(36%)を上回っている。

テレワークの実施による生産性の変化を聞いたところ、「オフィスで働く以上に生産性が高まっているとは感じていない」との回答が65%に上った。

  • テレワークによる生産性の変化

テレワーク導入の時期という観点から見ると、「生産性が高まっていない」と感じる割合は、テレワークを以前から導入していた企業では59%だったのに対して、コロナ感染拡大を機に2月または3月にテレワークを導入した企業では70%、4月7日の緊急事態宣言を受けテレワークを導入した企業では73%と、導入時期が遅い企業ほど生産性の向上を感じていない従業員の割合が高くなっている。

勤務先企業におけるワークフローシステムの導入状況を見ると、導入率は67%だった半面、そのうち81%に紙業務が残っている。

その理由では「既存のワークフローシステムでは処理できないため」(48%)が最も多く、ワークフローシステムが業務におけるペーパーレス化の障壁となっていると同社は指摘する。

テレワークの実施におけるITインフラについて、既に導入済みで利用しているものとしてはWeb会議システムやチャットシステムの割合が最も高く、ノートPCの支給やBYOD(従業員が個人保有のPCを業務に使用すること)が続く。

一方で、将来的に求めるものとしてはワークフローシステムの導入が最も多く、ペーパーレス化や業務フローの電子化・可視化がテレワーク遂行には重要だという。

  • テレワークで利用中または必要なITインフラ

コロナウイルスの感染が収束して通常勤務に戻った場合もテレワークを実施したか尋ねたところ、実施したいという回答者は66%に上った。

  • 平常時のテレワーク実施意向

今回のコロナ禍をきっかけにテレワークの導入・遂行が進み、日本企業における働き方が変わっていくことになるかも知れないと同社は推測している。