2018年に結成され、唯一無二の個性を放ちながら疾走するアイドルグループ・ZOCのメンバー、香椎かてぃ。イベントやライブの延期・中止が相次ぐなど、新型コロナウイルスがアイドル業界にも多大な影響を及ぼす中、4月24日にスタイルブック『新あいどる聖書』(2200円 税抜き 扶桑社刊)を上梓した彼女に、アイドルとして、そして一人の人間としての今の思いを聞いた(※オンラインで取材を実施)。

スタイルブック『新あいどる聖書』を出版したアイドルグループ・ZOCの香椎かてぃ

香椎かてぃ

――今回のスタイルブックですが、リリースに至った経緯を聞かせてください。

昔、モデルをやりたかった時期があったんですが、憧れていたモデルさんがスタイルブックを出していたのを見て自分もいつか出せたらと思っていたんです。ZOCとして活動をスタートしてからも、メイクやファッションについて聞かれることが多かったんですけど、すぐに発信するのはもったいないと思ってて、いつか自分が本を出す時にまとめて紹介しようと思っていたところに話を頂いて。待ってた甲斐がありましたね(笑)。

――本人的な満足度はいかがですか?

当時自分が好きだったギャルのスタイルブックって、すっぴんとかバンバン載せて嘘がないなって思っていて、それを意識した部分はあります。普段、嘘をつくようなことは私もしてないけど、出せるだけ絞り出した感じですね。ピアス穴がいくつ空いてるかとか、そのあたりもしっかり載せてます。

――特にお気に入りの写真やページはどれでしょう。

表紙の写真です。一番最後に撮った写真なんですけでど、極寒で風ビュービューな中、カメラマンさんをはじめスタッフの皆さんがいい写真を撮ってくれて、大人の対応って素晴らしいなと思いました(笑)。表紙を見るとたくさんの人が自分に対して真剣に取り組んでくれたことを思い出して胸アツになります。

――今の香椎さんが最も大切にしている価値観は何ですか。

とにかく何でも適当にやって、自分に合ったものを永遠に続ける(笑)。昔から絶対出来ない習字を習いに行ったりとか無意味なことやったりもしましたけど、なんか……生きてるのはヒマじゃないですか。みんなカタいんですよ。

――鋭く尖ったルックスとは違って、考え方は柔軟なんですね。

ホントですか? そんなに頭良くないですよ。

――自身が「アイドル」と呼ばれることについてはどう思っていますか?

私の場合、逆に「え? アイドルやってたの?」って言われることが多いです。「ネットでなんか写真が回ってる女」とか思われがちアイドルというジャンルに私が入れてもらえてるのかな、って思うこともあるけど、もともとなりたかったものですし、そう呼ばれることは嬉しいです。

――では、香椎さんにとって「アイドル」の定義とは。

人それぞれですけど、私は「嘘」をつきたくないんです。私生活では嘘つきますよ(笑)。しょうもない嘘とか。でも、応援してくれる人たちには嘘をつきたくないですね。

――男らしさ、女らしさ、アイドルらしさといった「○○らしさ」というレッテル貼りについてはどう思いますか。

「ZOCを『アイドル』の枠に入れるな」って言う人もいますけど、私たちのような存在がアイドルとして受け入れられてきている時代のような気がするんですよ、今って。

――香椎さんにとってファンはどのような存在ですか?

ファンの中には私と同じ経験をしたっていう方が割と多いんですよね。そんな人たちには、もう少しだけ我慢すれば幸せになれるんだよ、っていうのを伝えたいし、こんなゴミ汚ねえ女を応援してくれるだけでもありがたい。告白されたこともないし、友だちしか愛してくれてなかった私を応援してくれるだけで嬉しいです。ファンの皆さんにとって、私は跳び箱の踏み台(※ロイター板)になりたいです。

今はみんな同じ状況。自分一人で抱え込まないで欲しい

――現在、新型コロナウイルスの影響で多くの人が自粛生活を余儀なくされています。家での過ごし方に変化はありますか?

もともとキッチンにタバコを吸う以外、用がなかったんですけど、最近ついに料理というか、お菓子作りというか、タバコ以外に火を使うようになりました。よくキッチンの上で自撮りもしてましたが、ついに来ました(笑)。

――ちなみにどんなものを作ったんですか。

イチゴ飴、白玉……先日はたこ焼きパーティーを朝7時からやりました。白玉はきな粉で食べました。キッチンいらないんじゃね? って思ってましたけど、キッチンは必要ですね。

――他に変化は?

ワンちゃんを飼い始めました。男の子のマルチーズで名前は「ハヤン」。運命的な出会いなので聞いて下さいね(笑)、去年の12月にショップで初めて見かけて、何度も飼おうと思ったんですけど、決心できずに諦めてて。そうしているうちに2月ごろに家族が決まっちゃったんですよ。あー、運命じゃなかったんだなって思って。でも、先月ホームページを見たら、同じワンちゃんが載っていて。おや? って思って電話したら、お迎えに来なかったらしくて。それを聞いてその日に行きました。というわけで私は今、母をしております。

――母性に目覚めたんですね。

愛おしいです。世界はこんなに広いんだよっていうのを見せてあげたくて。めちゃくちゃ愛情を注いでます。

――新型コロナウイルスの影響で社会が変化しつつありますが、香椎さんが最も感じることは何でしょう。

今までニュースとか見てても、すべて異世界のことだと思ってましたけど、ここまで自分たちに影響が及ぶ出来事は初めてなので、ニュースをちゃんと見るようにしてますし、架空の出来事じゃなかったんだ、というのが大きいですね。税金とかも全然分かってなくて、タバコにめちゃくちゃ税金がかかってるくらいしか理解してなかったんですけど、社会が自分にすごい影響を与えていることを実感してます。

――そんな状況の中、どう生きていきたいですか?

アイドルとしては早く収まって欲しいですし、今の期間はなるべくネットでつながっていたいというか、ライブが出来ない分、仕事や学校に出かける人を応援したいです。私、外のパリピ集団だったので(笑)、家にずっといることがけっこうキツくて。元の生活に戻るまでポジティブに我慢します! 私けっこうネガティブなんですけど、今こそポジティブになる時期だと思って、今日は前髪を上げて顔にそばかすを書きました(笑)。

――その他には?

自分に飽きてしまわないよう、毎日髪を染めてます。あと、黒ギャルやニートの友だち、マネージャーと一緒に住んでいるんですが、いつメンみんな金髪なんですよ。家では一日中『ハウルの動く城』を延々流してます(笑)。改めてジブリの素晴らしさを知りました。ほかにも自分のブランドのデザインを考えるのも楽しいし、出来ることをやってますね。もう気持ちは夏に向いてます。

――もし夏までに緊急事態宣言が解除されたら、何をしたいですか?

海に行く。バーベキューをする。キャンプをする。今のことより未来を考えていかないと。たとえ夏までに収まらなくても、来年の夏だってありますし。

――では、5年後、10年後の香椎さんは何をしてるでしょう。

美容師になっているかも。あと今のいつメンと、お店を開く。私は古着屋、ニートはクレープ屋、黒ギャルはアパレル、それぞれのやりたいことを1つの店にギュッと詰めて、部屋ごとにインスタ映えスポット作って……って、夢みたいな話ですけど、想像するだけで楽しいです。

――最後に改めてファンの方々にメッセージをお願いします。

楽しいことを考えて乗り越えて欲しい。みんな同じ状況だから自分一人で抱え込まないで欲しい。病んじゃうこともあるから、友だちと電話したりしながら沈黙しない時間を作って欲しい。せっかくだから新しい趣味なんて見つけちゃったりして(笑)、新しい自分を探してみるのもポジティブなのではないでしょうか。(力強く)みんなで乗り越えましょう!