日本シャルフはこのほど、従業員100名以下の中小企業経営者を対象に、「新型コロナウイルスへの対策」に関する調査を実施した。

  • 「新型コロナウイルスへの対策」に関する調査、さまざまな業種の経営者から回答が寄せられた

新型コロナウイルスの影響により、大手企業を中心に、 時差出勤を導入したりクラウドサービスやシステムを利用したりしながら、在宅勤務やテレワークなどの対策を講じている。しかしながら、新型コロナウイルスの脅威は終息するどころかさらに拡大しており、中小や零細企業の中には、倒産や事業停止に陥るといったケースも出始めている。

それでは実際に、中小企業はこの状況に対してどのような対策を講じているのだろうか。

まずは経営する企業の業種について質問したところ、「製造」(18.7%)、「卸売・小売」(15.1%)、「建築・土木・建設」(11.2%)、「IT・コンピュータ」(8.1%)、「不動産」(7.9%)、「医療・介護・福祉」(6.1%)、「専門職」(5.6%)、「運輸・物流」(5.1%)、「宿泊・飲食サービス」(3.3%)、「教育・学習支援」(3.0%)、「金融・保険」(2.8%)、「レジャー・エンタメ」(2.5%)、「電気・ガス・水道」(2.2%)、「マスコミ・出版」(1.7%)という結果になった。

「現在、会社ではコロナ対策を行っていますか?」と質問したところ、7割以上が「している」(75.4%)と回答。「具体的にどのようなコロナ対策を行っていますか?」に対しては、「マスクや消毒用アルコールなどの設置」(49.4%)という回答が最も多く、次いで「時差出勤」(15.6%)、「在宅・テレワーク」(15.2%)、「外出や対面の会議を避ける」(9.6%)、「来訪者管理の徹底」(7.5%)、「休業」(1.6%)と続いた。感染リスクを抑えるために、さまざまな対策を講じていることがうかがえる。

  • コロナ対策、7割以上が「している」(75.4%)と回答

今回の新型コロナウイルスは、過去のSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスとは異なり、世界保健機関(WHO)がパンデミック宣言を行うほどに感染が拡大している。このような事態は過去にないレベルであり、対策を講じる上で課題に直面したという人も多いかもしれない。

そこで、「コロナ対策を行うにあたって、どのような点が課題でしたか?」と質問したところ、「マスクや消毒用アルコールの不足」(59.0%)という回答が最も多く、次いで「業務計画の見直し」(18.2%)、「テレワーク用のシステム導入」(13.8%)、「労務管理」(7.8%)と続いた。マスクや消毒用アルコールは、依然として品薄状態が続いているので、やはり確保は難しいようだ。

また、急遽導入せざるを得なくなったテレワークシステム、そしてそれに伴う労務管理などの対応に追われている企業も少なくない。

■テレワーク用のシステム導入で課題が生じた理由

・「個人用ノートPCの確保やテレワークの方法確定(40代/男性/千葉県)」
・「在宅勤務でのセキュリティ問題」(50代/男性/東京都)
・「テレワークを導入したのが初めてだったので分からないことばかり」<(60代/男性/大阪府)br> ・「意思疎通が難しくなった」(60代/女性/神奈川県)

■労務管理で課題が生じた理由

・「在宅勤務を初めて活用したので少し混乱を招いた」(30代/女性/東京都)
・「作業が順調に進まない」(40代/女性/埼玉県)
・「出勤管理をどのように行えばいいか」(50代/男性/愛知県)
・「人数が多く管理が難しい」(50代/男性/東京都)

さまざまな課題に直面する中で、どのようにしてそれらの課題を解決していったのか。その問いに対しての回答は、なんと最も多かったのは「解決できていない」(36.6%)だった。以降、「テレワーク用のシステム導入」(29.3%)、「追加融資」(9.8%)、「労務管理システムの導入」(9.8%)、「社労士への相談」(8.5%)と続く。

  • コロナ対策の課題、なんと最多の36.6%が「解決できていない」

今回の新型コロナウイルスの感染拡大を機に、想定外の事態に備えてテレワーク用のシステムを導入した企業、労務管理システムを導入した企業、プロの専門家である社労士に相談した企業も少なくない。

今回の新型コロナウイルスへの対策として在宅勤務やテレワークを導入した企業とその課題が見えてきたが、柔軟な対応ができるように、就業規則の変更や追加を行った企業の割合はどのくらいなのだろうか? 「コロナ対策を行うにあたり、就業規則の変更や追加などは行いましたか?」との設問には、3割以上が「はい」(35.4%)と回答した。「いいえ」(54.9%)という回答が上回る結果とはなったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、就業規則から見直す企業も少なくないことが判明した。

  • 就業規則の変更や追加などは、3分の1以上の35.4%が行っている

就業規則の変更や追加などを行う場合、それが法に則ったものであるかなどの確認が必要となる。人事担当者が労働法関連の知識に長けていれば問題ないが、法律も不定期に改定されているので、社労士などの専門家に依頼するという選択肢もある。そこで、「就業規則の変更や追加について、社労士に相談しましたか?」と聞いたところ、4割が「はい」(41.5%)と回答した。

  • 就業規則の変更や追加について、社労士に相談した経営者は4割超の41.5%に

では、社労士に相談することのメリットはどこにあるのか?「社労士に相談して良かったことは何ですか?」との質問では、「迅速な対応ができた」(48.5%)という回答が最も多く、次いで「プロだからこそ把握している情報を得ることができた」(42.7%)、「手続きまで一任できた」(8.8%)と続いた。

今回の新型コロナウイルスのような想定外の事態への対応には速さと確実さが求められる。今回の調査で同社は、「プロである社労士に相談することで、その両方が叶えられると言えそうだ」とまとめている。