最近のテレビ界を席巻している“お笑い第7世代”。この4月改編で、日本テレビではEXIT、3時のヒロイン、霜降り明星、ハナコによる『第7キングダム』、TBSでも霜降り明星、ミキ、EXITが出演する『霜降りミキXIT』がスタートするなど、勢いが止まらない。

そんな中、先週からスタートした日本テレビ系『有吉の壁』(毎週水曜19:00~)にもハナコ、四千頭身、ぺこぱ、宮下草薙といった面々が初回から参戦しているが、この“第7世代”という現象を、番組スタッフはどのように捉えて制作しているのか。総合演出の橋本和明氏に聞いた――。

  • 『有吉の壁』の出演者たち (C)NTV

    『有吉の壁』の出演者たち (C)NTV

■“第7世代”という単語で遊んでいる

「“第7世代”というワードって、芸人さんたちは本気で受け止めてはいなくて、遊ぶ材料として使っていますよね。だから、“第7世代”という勢いに反応して『俺らのことを忘れるな!』って怒って出てくる旧世代や、“第7世代”の波に乗り遅れたけど『私たちも面白いんですよ』ってアピールする次の世代も出てきて、“第7世代”という単語を遊ぶことによっていろんな芸人さんが出てくるのが面白いと思います」という橋本氏。

そうした中で、『有吉の壁』で期待されるのは、世代間での化学反応だ。レギュラー初回の放送では「第7世代チーム」と「旧世代チーム」に分かれた大喜利対決が繰り広げられたが、「誰かがボケたりふざけるたびに、旧世代の皆さんは全員立ち上がって、ものすごい熱量で『おいおい!』って言うんですけど、第7世代は誰も立たない(笑)。でも、旧世代がずっとボケ続けて終盤になると、第7世代も立ち上がって『いい加減にしろ』と。これを続けていくことで、それぞれのキャラクターや芸風が変化する場にもなってくると思うんです」と予測する。

たしかに第7世代は特徴として、ネタにストイックであり、それゆえ学習能力も高い。「だから、芸人さんたちが、この番組でうまくいったり失敗したりしながら、自分の笑いの取り方のスタイルを確立して、どう変化していくのか…というドキュメントも見どころになると思います。そのために作家の皆さんも、毎週本当にワクワクする企画のアイデアを出してくださいます」。

いわゆるネタ番組が、芸人たちが自分たちの確立したスタイルを披露する場であるのに対し、『有吉の壁』は「有吉(弘行)さんや(佐藤)栞里ちゃんという要素もあって、世代を超えたつながりもできるし、化学反応を起こす触媒がいっぱいある」という。

「ハナコの岡部さんとか、宮下草薙の草薙さんとか、四千頭身の後藤さんとか、人間性がそのままキャラクターになって、コンビやトリオとして愛されている人が第7世代には多いですよね。だからいろんな企画を経験することで、さらに新しい面が見えてくるのではないかと思います。人間性が厚みを増すことによって、今まで見たことのないハナコや四千頭身、宮下草薙が、この番組で見られるのではないでしょうか」と期待を寄せる。

■旧世代も「社会がもっと愛していい」

一方で第7世代だけでなく、旧世代にも注目してほしいそうで、「ジャンポケの斉藤さんとか、(とにかく明るい)安村さんとか、(パンサーの)尾形さんとか、過剰なほど暑苦しさがあって一生懸命じゃないですか。だから、社会がもっと愛してくれてもいい気がするんです」と、こちらの訴求も忘れない。

「自分も年齢を重ねて、死にものぐるいでテレビを作っていると、一生懸命やってる人たちが素敵に思えてくるんですよ。だから、M1とかM2とか言われる20歳から49歳までの人たちにも、中間管理職の悲哀みたいなものを含めて、きっと共感してもらえるものがあるんじゃないかと思います」と、熱い思いを込めて制作している。