• 『有吉の壁』総合演出の日本テレビ・橋本和明氏

『有吉の壁』が特番からレギュラー化することによって、新たなスター誕生にも期待がかかる。チョコレートプラネットの“TT兄弟”は、この番組発のキャラクターだが、「最初にあれを見たときは、インパクトがすごかったですけど、誰もあそこまで流行ると思わなかったんですよ。まさか『紅白歌合戦』に出るなんて(笑)」と、想定外のブレイクにつながった。

「TT兄弟に、テレビにはこうやって何かを爆発させる力がまだあるんだって、教えてもらいましたね。だから、これからも“壁ドリーム”みたいに、ブレイクする人が出てくるとうれしいです」と語るが、そこには若手芸人の発掘だけでなく、やはり中堅芸人たちの魅力をもっと伝えたいという思いがあるようだ。

「シソンヌとか、パンサーとか、ジャングルポケットとか、さらば青春の光とか、タイムマシーン3号とか、三四郎とか、ものすごく面白いのに、ゴールデンではなかなかその面白さを披露する機会が少ないんです。舞台をこなしてきた人って、客前に出たときの強度、ネタをやりきる力がすごいんですよ。だから、有吉さんのフィルターを通して、若手だけじゃなくて『こんなに面白い芸人さんがいっぱいいるんだ』ということも知ってほしいんです」

■コント師が活躍できるフィールドに

その思いの背景には、「今のバラエティで求められるスキルが、ちょっと特殊なものになりすぎているんじゃないか」という意識がある橋本氏。

「振られているものに対して臨機応変に対応しながら、自分のポジションを見つけてトークを転がしていく…というのが今のバラエティに必要な能力だとしたら、コント師の人の“憑依”する技術が、そこで役立つことはまずないじゃないですか。だから『有吉の壁』では、そういう人たちが活躍できる新しいフィールドを作りたいという思いもあります」と決意を語っている。

●橋本和明
1978年生まれ、大分県出身。東京大学大学院修了後、03年に日本テレビ放送網入社。『不可思議探偵団』『ニノさん』『マツコとマツコ』『卒業バカメンタリー』『Sexy Zoneのたった3日間で人生は変わるのか!?』などで企画・演出、『24時間テレビ41』では総合演出を務める。現在は『有吉の壁』のほか、『有吉ゼミ』『マツコ会議』『寝ないの?小山内三兄弟』などを担当。