Twitterで「歯」が主人公の4コマ漫画を投稿している、歯のマンガ(@hanomanga)さん。シュールな絵に突飛な展開、「これは分かる……」と思わず共感してしまう内容が話題となっている。いいねの件数が10万を超える投稿もあり、絶賛バズり中の『歯のマンガ』。なぜ歯が主人公なのに共感を呼べるのか。人気の投稿からその秘密を探ってみよう。

  • 「歯のマンガ」がバズるわけ

これ身に覚えがあるわ……いろんな場面のあるあるネタが秀逸

シュール? あるある? "分かりみが深い"と話題の『歯のマンガ』。どこにその共感ポイントがあるのか、それは、日常生活で誰しも一度は経験したことがある"ちょっとした出来事"やそれに対する"価値観"が、とてもリアルに描かれているところだ。歯に対して「お前は俺か……?」と感じる人が少なくないのだろう。

たとえば、レジでポイントカードを出すタイミング、やる気が起きない理由、人との距離の測り方など、漫画に描かれるシーンはいちいちリアル。

  • 「すいませんでした」

レジでやってしまいがちな、ポイントカードの出し忘れ。実際はここまで店員さんがヒートアップすることは無いものの、おそらく内心はこうなんだろうなと、うっすら罪悪感を抱いたことがある人も少なくないはず……。

  • 「かまってほしいと言いつつ」

「かまってほしいと言いつつ」の回では、「わかる」というシンプルな共感コメントが数多く寄せられた。親しくしたい、と思いつつ、距離の詰め方はゆっくりお願いします、というどこか日本人らしい感覚に、コメント欄を見て安心する人も多かったのではないだろうか。

  • 「一番むずかしい」

また、「起き上がることができない」のこの投稿には、なんと14万ものいいねがつくほどの反響。コメントには「わかりみ」「みんなそうなんだ!」という共感や安心の声が多く寄せられ、中には"確定申告をやらねばならない歯の身の上"にも興味を持つ強者もいた。

こういった細かい設定も、この漫画が人気な理由の一つ。ちなみに歯が見ているテレビでは『バイキング』(フジテレビ)が放送されている。

  • 「毎日」

9.4万いいねがついた「毎日」というシンプルなタイトルのこの回。「1コマ目から既に帰りたいと思う」「朝起きての第一声が『帰りたい』なので、すごくわかりすぎる」といった、仕事への憂鬱さを感じている歯に自分を重ねたコメントが多く寄せられている。

ちなみにこの漫画にもミソがあり、よく見ると目覚まし時計がさしている時間は、なんと2時くらい。「時計止まってるのに起きれたのえらい!」と、歯を褒めるコメントもあった。

見習いたい! ときに優しく、ときに厳しい一面も

漫画の中では日常生活を切り取ったシーンだけではなく、ほっこりするような、ときにはハッとさせられるような場面も描かれいる。

  • 「説教、聞いてあげる時代へ」

  • 「叙々苑おまえ~」

  • 「やさしいパン屋さん」

「やさしいパン屋さん」と題されたこの回では、「道徳」というコメント共に投稿され、8.2万件ものいいねがついている。

「こんな歯に私はなりたい」「道徳の勉強は社会に出て1番役に立つ」といったコメントが多い中、「"いつも"パンを届けてくれるからそれが当たり前になって、感謝の気持ちがすぐに出てこなくなってしまったんだな。気をつけよう」という細かい考察と自戒コメントも。

"人の振り見て我が身を直せ"、いや、"歯の振り見て我が身を直せ"とはこのことだ。

すぐに逃亡する"吹奏楽部の顧問"の人気シリーズも

歯のマンガには、定期的に投稿される「吹奏楽部の顧問」という人気シリーズがある。特にこの「気に入らないことがあるとすぐ部室を飛び出す吹奏楽部顧問」は、顧問の先生が毎回飛びだしていく先が思いもよらない場所で笑ってしまう。

  • 「祭へ…」

  • 「サーカス」

そして、毎度飛び出した先にうまく馴染んでしまう吹奏楽部顧問の先生。ファンの多くは、なんでそんなに多彩なんだ! とつっこみながらも、憎めないキャラクターについ愛着を持ってしまう。また、いつも先生を呼びに行く生徒3人対しては、「自分も先生を呼び戻しにいったことがある」と、昔を回顧して懐かしむ読者の声も見られた。

まだまだ人気が止まらない!

今では単行本も発売されており、Tシャツやキーホルダーといったオリジナルグッズも発売されるほど人気な「歯のマンガ」。

ジワジワくるシュールさと、共感しかないあるあるネタは、日ごろ仕事や家事に追われ疲れている私たちに、ちょっとした笑いを提供してくれる。いつしか歯が身近な友達のような、また自分の分身のような存在に見えてくる不思議な感覚を、ぜひ味わってみて欲しい。

阿部仁美

1989年生まれ。求人広告の制作、IT企業の広報を経て、2018年よりフリーライター/エディター。ライティング、編集、SNS運用などWebメディアを中心に活動。オルタナティブなエンタメカルチャーが好きで万年チケット貧乏です。