アデコはこのほど、「子育て世代男性会社員の家事・育児分担に関する意識調査」に関する調査結果を明らかにした。同調査は2019年11月14日~18日、子育て中の30代の男性会社員500名と、子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職500名を対象にインターネットで実施したもの。

  • 平日の家事負担時間:家事を全くしていない50代は18.6%、30代は3.6%

    平日の家事負担時間:家事を全くしていない50代は18.6%、30代は3.6%

30代の男性会社員に「平日の家事分担時間」について、自分と妻の合計時間を100%とした際の負担割合について尋ねた。その結果、自分が30%は担当しているという回答が最も多く、「自分の方が負担は少ない(0から40%の負担)」と回答した30代男性社員は66.0%だった。妻よりも家事を負担していると回答した人は10%超だった。

子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職にも同様の質問をしたところ、自分の家事時間が0%(=全て妻が行っている)と回答した人が18.6%見られた。30代の男性会社員では「0%(=全て妻が行っている)」は3.6%にとどまっていることから、世代によって家事分担に偏りがあることがわかった。

30代の男性会社員に「子どもの出生後における家事分担の変化」を聞いたところ、67.4%が「自分の担当量を増やした」と回答した。子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職にも、子どもの出生による家事分担の変化について尋ねた結果、「自分の分担量を増やした」という回答も多かったが、「一貫して分担せず、妻に一任」と回答した人も18.8%いた。30代で「一貫して分担せず、妻に一任」(8.0%)とは10ポイント以上の差があった。

  • 子どもの出生による家事分担の変化:50代の18.0%は、「妻に一任のまま」で、30代の2倍以上

    子どもの出生による家事分担の変化:50代の18.0%は、「妻に一任のまま」で、30代の2倍以上

30代の男性会社員に「妻がもっと仕事へ比重を置くこと」についてどのように思うか聞くと、44.2%が「比重を置いても構わない」と回答した。「育児・家事の分担に対する自分の取り組み度合い」については、約6割が「自分は周囲よりも分担をしている方だ」と回答している。しかし、前述の家事分担比率では妻の負荷の方が高いことから、自己肯定感が強い可能性があることがわかった。

30代の男性会社員に「育児のために生じた仕事上の変化」について質問したところ、最も多い回答は「変わらない」(41.2%)だった。次いで「妻が忙しい時は早めに帰宅」(27.2%)、「全体的な残業量を減らした」(24.8%)となっている。さらに「子どもの出生後の生活の変化のなかでも負担に感じること」を聞くと、「自分だけの時間が減ったこと」(50.2%)が最も多かった。次いで「妻と2人の時間が減ったこと」(37.6%)となっている。

  • 子どもの出生後の生活の変化の中で、最も負担に感じることは「自分時間の減少」(50.2%)

    子どもの出生後の生活の変化の中で、最も負担に感じることは「自分時間の減少」(50.2%)

社内の育児支援制度について尋ねると、育休制度は74.2%が「導入されている」と回答した。そのうちの23.5%が「利用した」と答えている。時短勤務についても、会社に「導入されている」と回答した人は63.8%だが、利用者はそのうちのわずか9.0%だった。

子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職に「男性の部下が育休(育児休業や育児休暇)を取得することを、積極的に推進するか」と聞くと、76.2%が「推進する」と回答した。

  • 管理職は、男性部下の育休取得に対して約8割が推進

    管理職は、男性部下の育休取得に対して約8割が推進

さらに、家事育児の理由による部下の行動に対する理解を聞いたところ、「子どもの看護のため休む」「残業をしない」「飲み会に来ない」については、ほとんどの管理職が理解を示していることがわかった。その一方で、「異動を受け入れない」「仕事・業務を選ぶ」といった仕事・業務に直接的に関わることを拒否することには寛容度が低かった。

転勤のある会社に勤める30代の男性会社員に対し、「会社から転勤を打診された際の受け入れ度合い」について質問したところ、40.8%が「転勤には消極的で辞退したい」と答えた。26.3%が「転勤には前向きで、家族の同意が得られれば受け入れる」、21.5%が「転勤には前向きだが、家族の反対があったら断りたい」、9.5%が「積極的に受け入れる」と答えている。

30代の男性会社員に「家事・育児が理由で、昇進評価に影響があると感じることはあるか」について質問したところ、61.8%が「あまりないと思う」「まったくないと思う」と答えた。38.2%は「とてもあると思う」「ややあると思う」と答えている。

  • 約4割の30代男性が家事・育児が昇格や昇給に影響すると回答

    約4割の30代男性が家事・育児が昇格や昇給に影響すると回答