米労働省が2020年3月6日に発表した2月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数27.3万人増、(2)失業率3.5%、(3)平均時給28.52ドル(前月比+0.3%、前年比+3.0%)という内容であった。

(1)2月の米非農業部門雇用者数は前月比27.3万人増となり、増加幅は市場予想の17.5万人を上回った。建設業や政府部門の雇用者増加が目立った他、新型コロナウイルス禍で減少が見込まれていた製造業でも1.5万人増加した。前2カ月分が合計で8.5万人分上方修正された事もあって3カ月平均の雇用者の増加幅は24.3万人に拡大した。

(2)2月の米失業率は3.5%となり、2019年9月に記録した50年ぶりの低水準に再び並んだ。前月から0.1ポイント低下して市場予想の3.6%も下回った。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は63.4%と2013年6月以来の高水準を記録した前月から変わらず。フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は前月から0.1ポイント上昇して7.0%となった。

(3)2月の米平均時給は28.52ドルとなり、前月から0.08ドル(8セント)増加して過去最高を更新。伸び率は、前月比+0.3%、前年比+3.0%と、いずれも予想に一致した。米国の平均時給は漸増基調が続いているが、前年比の伸び率はやや鈍化傾向となっている。

米2月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想を10万人近く上回った上に、失業率が50年ぶりの水準に低下するなど総じて良好だったが、発表直後のドルの上昇はきわめて限定的だった。今回の雇用統計は、新型コロナウイルスの感染拡大が加速する前のものであり、米2月雇用統計は先行きの不透明感を解消するものではないと受け止められたようだ。

なお、この日も米国株の下落や米長期金利の低下は止まらず、世界景気減速への懸念や米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測を払拭する事はできなかった。