寒い冬は手足が冷えるため、なかなか寝付けないという人が少なくない。特に女性は「冷え性」である場合が多く、ベッドに入ってからもなかなか眠れず、結果的に睡眠不足に陥ってしまうこともあるだろう。冬は毎年訪れるだけに、きちんと冷え対策を講じておくことがQOLの維持・向上につながると言っても過言ではない。

そこで今回、効率的に体を温め、冷えを解消する簡単な方法を竹中美恵子医師に伺ってみた。

  • 簡単に実践可能な冷え対策とは

手足が冷える原因

足元や指先、肩などが冷えて仕事に集中できなかったり、夜になかなか眠れなかったりした経験を持つ人も多いはずだ。足や手などが冷たくなる理由は、血液が手足に行き届いてないことにある。

ストレスで緊張した状態がずっと続くと血液が脳に集中し、末端に行き届いていない状態になることが多く、そのために手足が冷えやすくなる。要はリラックスできていない状態のときに手足が冷えるのだ。

このような際、ストレッチやマッサージで効率的に手足を温められると竹中医師は話す。

「すぐに体を温めるには、冷えている部位にカイロを当てたりすることもいいですが、その場合は太い動脈が皮膚のすぐ下を通っている首、手首、足首を温めると、全身を効率よく温めることができます。足首や手首、首のストレッチやマッサージをしても血行が良くなり、冷えが解消されます」

冷え対策アイテムは湯たんぽが有効

ストレッチやマッサージで一時的に手足を温められても、就寝時に結局冷えてしまっていたら快眠につなげにくい。そのような際に役立つのが体を温めるアイテムだ。代表的なものに湯たんぽや電気毛布があるが、この2つを使用するとなれば湯たんぽの方が好ましいという。

「湯たんぽは中のお湯の温度が徐々に下がっていく一方、電気毛布はずっと温かいです。人間は、体の中心部の『深部体温』が下がることで眠気が深くなります。ところが電気毛布を同じ温度でずっとつけっぱなしにしていると、体温が下がらず、眠りの質が悪くなってしまいます。眠るときには電気毛布は切ってしまうか、タイマー付きの電気毛布なら1時間後に切れるようにしておくといいですね」

湯たんぽを使うとなったら、寝る前に腰の部分、体の中心部を温める位置に置いておくとよい。お尻やお腹、太ももの前などにある大きな筋肉を温めるようにすると、そこで温まった血液が手足の先まで運ばれ、深い眠りを誘ってくれるため、冷えによる睡眠障害が改善されやすくなるメリットがある。

冷え対策に知っておきたい入浴ポイント

睡眠の質を向上させるには、入浴方法の工夫も有効手段の一つ。以下にポイントをまとめたので参考にしてほしい。

38~40度のぬるめのお湯に10~20分つかる……入浴により体の中心の深部体温が上がり、その熱が血液で手足に運ばれて血行がよくなり、効率的に温かくなる。

お風呂に入るタイミングは寝る1時間ほど前がベスト……寝つくときにちょうど深部体温が下がると眠気が強くなり、入眠しやすくなる。

「20分以上浴槽に入っていると、のぼせてしまうことがありますので、長湯はあまりお勧めできません。また、真冬など浴室内と室外が気温差の大きいと心臓に負担がかかるので、なるべく温度差を作らないようにしておく工夫も必要です」

冷え対策のために食べたい食材

風呂や湯たんぽなど、体の外側からのケア同様、体の内側からのケアも冷え対策には重要となってくる。そのために不可欠となるのが、毎日の食事。医食同源と言われるぐらい、日々の食事は病気の予防や治療にとって肝要なのだ。

「食事をするうえで気をつけてほしいのは、体温より温かい食べ物・飲み物を摂取すること。魚ならばお刺身よりも煮魚、野菜ならばサラダよりも温野菜や蒸し野菜といった具合に、温度の高い食べ物を食べることで体を温められます」

また、「もち米」「にんじん」「くるみ」「鶏肉」「にら」「しそ」「玉ねぎ」「紅茶」「にんにく」「しょうが」「シナモン」などの体を温めると考えられている食材を積極的に摂取するのもいいだろう。

冷えを解消するには入浴や食事のほか、日常的な習慣や運動も大切。体に緊張をためないためにストレッチをしたり、適度に大きな筋肉を使うために階段を使用したりするなど、普段から体を動かすことを習慣づけておこう。

※写真と本文は関係ありません

監修者:竹中美恵子(タケナカ・ミエコ)

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。「女医によるファミリークリニック」院長。

アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。

日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。