冬に大流行するインフルエンザ。ワクチン接種や手洗い・うがいの励行などで予防をしていても、100%罹患を防ぐことはできない。万一、ウイルスに感染してしまった場合、体調の回復には十分な栄養と休養が必要とされている。

栄養面はビタミンやたんぱく質を無理のない範囲で摂取するなどして対策できる一方、休養に関してはどのような点に注意したらいいか悩む人もいるのではないだろうか。そこで今回、インフルエンザや風邪の治療および予防における睡眠の重要性について、小児科医の竹中美恵子医師に話を伺った。

  • インフルエンザの予防と睡眠の関係

    インフルエンザの予防と睡眠の関係は?

睡眠不足が続くと体の抵抗力が落ちる

細菌やウイルスに対抗する力、いわゆる免疫力を高めるために睡眠が重要だということは一般的に広く知られている。睡眠中は免疫力アップにとって重要な成長ホルモンが分泌されているため、質のよい睡眠をいかに得るかが重要となってくる。

「良質な睡眠を取るためには、成長ホルモンが分泌されている時間に眠るのがベストです。成長ホルモンは成長期にしか関係がないように聞こえますが、実は大人でも美容や免疫を整えるうえで欠かせないホルモンなのです。そのホルモンが出ているのは22時から26時です。この時間にぐっすり眠れるように一日の計画を立てると良いですね」

もしも睡眠時間が短かったり細切れで眠るような状態が続いたりすると、体の抵抗力が落ちて風邪やインフルエンザにかかりやすくなり、かつ治りにくくなってしまうという。

また、睡眠不足はさまざまな悪影響を体におよぼす。「イライラする」「物事に集中できない」「食欲がなくなる」「便通が悪くなる」「試験中に実力を発揮できない」「ストレスに対するコントロールが弱くなる」などが悪影響の一部だ。

「子どもの場合には身長の伸びや体格、能力、精神力、性格まで変えてしまうと言われています。そして風邪にかかりやすくなってしまったり、風邪にかかったときに抵抗できずに重症化していったりするなど、とても効率が悪い状況になります。睡眠不足は人間の体にとって悪いことばかりで、良いことは思い浮かびません」

睡眠はレム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)の2種類で構成されており、睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れ、およそ90分で1サイクルとなっている。睡眠時間は常に浅いレム睡眠の状態となる90分の倍数が理想的だとされており、短くても翌朝に「スッキリ眠れた」と実感できるよう、90分サイクルでの睡眠時間を心がけるとよい。

インフルエンザ罹患時にはとにかく睡眠を

もしもインフルエンザや風邪に罹(かか)ってしまった場合、十分な睡眠が取れれば回復が早くなると竹中医師は強調する。

「免疫力を上げるためには、体が眠っている時間が大切です。風邪やインフルエンザになっても睡眠が十分に取れなければ症状は長引きますし、かえって医療費が高くなったり、仕事の効率を落としたりしてしまいます。『休めないから』と無理に仕事を一生懸命される方に限って、症状はどんどん悪化していく傾向にあります」

風邪やインフルエンザに罹ってしまったときには、とにかくしっかりと休むことが肝要だと覚えておこう。

質の良い睡眠のために役立つ寝具とは

最後に快眠のために役立つであろう寝具と寝巻きを選ぶポイントについて聞いてみた。

羽毛ぶとん……羽毛ぶとんの下に毛布などをかけている人もいるかもしれないが、羽毛ぶとんは体温を吸収して温めるため、体に直接かけるのが理想的だという。

「蒸発した汗も上手に逃がしてくれるので、羽毛ぶとんに通気性の良いカバーを使って使用するのがお勧めです。毛布をかける場合は、羽毛ぶとんの中に蓄えられた熱を逃がさないように羽毛ぶとんの上にかけるのが良いです」

マットレス……マットレスの上で寝る場合、ベッドパッドを使うと吸湿性が良く温かさが下へ向かって逃げるのを防いでくれるため、厚みのあるものを選ぶと良い。敷布団の場合も厚みのあるものを選び、体が冷えるのを防ごう。

パジャマ……「パジャマの素材として一番オススメなのはコットンです。冬といえども寝ているときはコップ1杯分の汗が出ていると言われます。汗を吸収して蒸れにくいコットン素材は、一年を通して快適で良質な睡眠時間の手助けになってくれます」

今年は暖冬傾向にあるとはいえ、まだまだインフルエンザに注意を払わないといけない時期。ウイルスを寄せつけないためにも、就寝直前のスマホいじりなどを減らし、日頃からきちんと睡眠時間を確保するようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

監修者:竹中美恵子(タケナカ・ミエコ)

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。「女医によるファミリークリニック」院長。

アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。

日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。