帝国データバンクは2月25日、新型コロナウイルスによる肺炎が日本経済に及ぼす影響(1)についてまとめたものを発表した。

インバウンド消費は約1,422億円減

  • 上:中国からの訪日客減少によるインバウンド需要への影響試算、下:新型肺炎にともなう(負の)経済波及効果の算出

中国に進出している日本企業は2019年5月時点で1万3,685社。このうち製造業が4割超を占めるほか、中国・武漢市進出の日本企業は199社となっている。

このような中、中国に進出している日本企業の景況感は急速に悪化。中国進出企業の景気DIは2018年まで全体を上回って推移していたが、米中貿易摩擦の悪化などもあり2019年以降に急激に減速。2020年1月の景気DIは直近のピーク(2018年1月、54.1)から13.7ポイント減少の40.4と、反日デモから上向きはじめた2013年3月頃の水準まで落ち込んでいる。

企業からは「新型肺炎により商品供給の不安定化が懸念される」(繊維・繊維製品・服飾品卸売)など、影響の拡大を懸念する声が多く寄せられているほか、中国経済の一段の減速を想定している様子もあるという。

一方、中国政府は国内の旅行会社に対し、海外旅行の団体およびパック商品の販売中止を決定した(個人が個別手配する旅行は規制の対象外)。これを受け、帝国データバンクは今回の措置に伴うインバウンド需要への影響を試算。その結果、2020年1~3月期の中国人訪日客による日本国内での消費額は、直接的に約1,422億円減少すると推計している。加えて関連産業への波及を推計すると、約2,846億円の売上が減少すると見込んでいる。

また、粗付加価値額は約1,491億円減少する見通しで、名目GDP(国内総生産)成長率を0.1%程度下押しする要因となると予想。ただし、今回の措置が4月以降も継続した場合は「さらに増大する可能性がある」(帝国データバンク)。