日本コカ・コーラは2月13日、東京2020大会と「綾鷹」を絡めたブランド戦略について説明会を開催。オリンピック・パラリンピック公式緑茶である綾鷹のブランド価値を向上すべく、聖火リレーに綾鷹ブランドアンバサダーの吉岡里帆さんを起用するなどして、積極的なマーケティング活動を行っていく方針だ。
「お茶といえば綾鷹」へ
登壇した日本コカ・コーラの助川公太氏によれば、綾鷹は12年連続でプラス成長を記録中。2019年には売り上げ数量が過去最高を記録したという。「綾鷹では一貫して、急須で淹れたような濁りとその旨みを訴求してきました。そのコンセプトが幅広い層に受けています」と助川氏。
一方、非助成ブランド認知度(選択肢から選ぶのではなく、記憶からブランドを想起する)においては、競合他社の緑茶製品に負けている現状について、「お茶ブランドと聞いて思い浮かべるものは?」という問いに対して、「消費者の5人に1人が『お茶といえば綾鷹』という答えが返ってくるよう、マインドシェア20%超を目指していきたい」とコメントした。ちなみに現在、競合他社も含めて業界で20%を超えている企業はないという。
伝統の緑茶文化を世界に
助川氏は「炭酸飲料やスポーツ飲料では実現できない、緑茶ならではの価値を訴求していきます」と話す。それが、綾鷹の認知度向上にもプラスに働くと考えているとのことだ。では具体的に、どのようなマーケティング戦略を想定しているのだろうか。
日本コカ・コーラでは、オリンピックを契機に国内の消費者に「日本の文化を誇りに思い、世界に発信したいと思う」気持ちが高まると想定している。そこで同社でも、日本伝統の緑茶文化の魅力を広く国内外に発信する活動に注力していくという。消費者が緑茶文化への親しみを強くすれば、市場の活性化につながり、綾鷹と消費者の絆も強化され、結果的にブランド力も向上するとの発想だ。
まず行うのが、商品デザインの変更。近年国内でも幅広い世代から人気が広がり、海外からも注目されている伝統の「和柄」をボトルデザインに採用し、日本人のアイデンティティをくすぐるという。なお、デザインの柄には見た目を彩り豊かにするだけでなく、「勝利」「吉兆」など、縁起の良い意味も込められている。
また、同社は綾鷹ブランドアンバサダーである野村萬斎さん、吉岡里帆さんを通して、和の世界観の中で「旨みのお茶で、この国のもてなしを」というメッセージを配信していくとし、2月24日からはテレビCMも放映すると発表した。
茶農家の想いを全国に
3月26日から行う五輪の聖火リレーにも綾鷹らしさが盛り込まれるという。お茶の産地の想いを全国に届けるべく、日本でも有数の茶どころにおいて、茶農家の一般ランナーに走ってもらうのだ。この日、実際に地元を走ることになった京都府の細井堅太さん、静岡県の戸塚彩子さんがゲストとして招かれた。
細井さんは「聖火ランナーに選ばれたと聞き、正直なところ驚きました。自分で申し込んでおきながら、なんか場違いなところに来てしまったのではないか、とドキドキが止まりません」と話しつつも、「オリンピックの聖火は昔から続いているもの。同じように、お茶の文化も先祖代々と受け継がれています。私らがつくって、みんなが飲んではる。これを未来につないでいけたら、という想いで走ります」と決意をあらたにした。
ちなみにひと昔前、ペットボトルのお茶は脅威だったという。しかし今では、ペットボトルのお茶をきっかけに、リーフのお茶に関心を持つ若者が増えていることについて「特に綾鷹は『急須の旨み』と言ってくれてはる。ありがたいですね」と笑顔で話した。
新製品「濃い緑茶」投入の狙い
なお、3月9日から発売される「濃い緑」についても商品。他の綾鷹シリーズとは異なるターゲット層について語られた。
綾鷹シリーズは、若年層において認知度が向上する一方で、シニア層には苦戦。その理由として「若年層はすっきりした味わいを求め、年配層はしっかりした濃い味を求めています。いま、味の二極化が進んでおり、綾鷹ではこれまですっきりした味わいに振っていたから」(助川氏)だと分析する。
そこで、同社は文字通り濃い緑茶で、新たな需要を掘り起こしていくという。「すでに綾鷹を飲んでいる人には、新たなニーズを満たしてくれる。また、味の好みが理由でこれまで綾鷹を飲まなかった人には、飲み始めるきっかけになる。すっきり派、しっかり派の両方にアピールしていきます」と助川氏。パッケージには、織部焼きをモチーフにした目を引くデザインが採用された。
最後に助川氏は、「炭酸といえばコカ・コーラ。綾鷹もそんなブランドにする。2020年はオリンピック×綾鷹を通じて、日本茶全体を盛り上げていく、ということをやっていきたい」と意気込みを語った。