• アクションコーディネーターの藤井祐伍氏

横山との出会いは、バラエティ番組『関ジャニ特命捜査班7係』(16年、日本テレビ)。横山が、アクション事務所のジャパンアクションエンタープライズを取材し、横山のアクションをスタントマンが演じるという設定だったため、連続ドラマでアクションを指導するのは『絶対零度』が初めてだ。

そんな横山のアクションは、柔道をベースにしたもので、前作(18年)では打撃を使わなかったが、「今回は横山さんがやっているボクシングの要素を取り入れることにして、相手のお腹に掌底で打ち込むという感じですね」と進化。「打撃が増えたことで、前作より格段にやりやすくなっていると思います。普段やっている動きが入っているので、リズムがすごく作りやすいんでしょうね」と分析した。

スタッフ側で作った動きの難易度が高く、役者がどうしてもこなせない場合は、練習の段階で変更することも。その中で、「横山さんは『これやりづらいなあ』って言いながら、毎回『いや、このままやります』って自分に動きを染み込ませて、そのままちゃんとやってくれるんです」と、壁を乗り越えているそうだ。

■プロにない引き出しを見せる本田翼

そして、運動経験がほとんどなかったにもかかわらず、前作で予想外のキレあるアクションを見せてくれた本田については、「何より素晴らしいのは、思い切りが良いこと。前作では、相手が殴りかかってくるだけで『怖い!』って言ってたんですけど、実際に現場に入ったらすごく思い切りが良いんです」と評価。

特に、「人を引っ張るときに、自分の顔を動かしながら引っ張るっていう彼女にしかできない動きをするんです。男性より力が弱い女性ならではだと思うんですが、体全身を使ってやってる感じが僕らにはない引き出しで、面白いんですよ。だから、僕らが作った以上の動きを本番でやってくれる期待がありますね」と話し、運動経験のない彼女だからこそ、全く違うアプローチで生み出されたのではないかと推測する。

今作では、ジムに通って体幹のトレーニングもしているそうで、「前作は『ケガだけはしないように…』と心配しながら見ていたんですが、今作は全体の体の軸がブレなくなって、アクションも慣れたきたのか、すごく安心して見ていられます」と成長を実感。「『ここは吹き替えかな…』と思っていた動きも、実際にやってもらったらいけるので、『じゃあ本人でいきましょう!』ということもありますね」と明かし、撮影の合間には、本田が体幹トレーニングを周囲に教えている様子も見るそうだ。

  • 本田翼 (C)フジテレビ

前作に比べ、3人のアクションは「手数が多くなっているので、すごく難しくなっていると思います。その分パワーアップしています」とのこと。きょう10日に放送される第6話では、恒例になりつつある小田切(本田)のアノ攻撃のほか、インドア系の印象が強かったキャリア警察官・吉岡(森永悠希)が思わぬ奮闘を見せており、「必死に頑張ってくれているので、ぜひ見てほしいです」と予告している。

  • (左から)森永悠希、柄本明、沢村一樹=2月10日放送の第6話より (C)フジテレビ

●藤井祐伍
1986年生まれ、福島県出身。ジャッキー・チェンに憧れ、ジャパンアクションエンタープライズの養成所に入所。『スーパー戦隊』シリーズや『仮面ライダー』シリーズなどでスーツアクター・出演を務めるほか、『MOZU』『奥様は、取扱い注意』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』などのドラマに出演。『ルパンの娘』『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』などのドラマ、『仮面ライダーアマゾンズ』などの映画でアクションコーディネーターを担当する。