横浜市・放送ライブラリーにて現在開催されている企画展「スーパー戦隊レジェンドヒストリー」の関連イベントとして、トークショー「救急戦隊ゴーゴーファイブを語る!!」が1月25日に開催された。番組プロデューサーを務めた東映の日笠淳氏、そしてゴーレッド/巽マトイを演じた西岡竜一朗がステージに登場し、かけつけたファンから熱い視線を集めた。

  • 当日会場につめかけたファンとともに。左から中川素州、柴田かよこ、西岡竜一朗、日笠淳プロデューサー

『救急戦隊ゴーゴーファイブ』は、1999年2月21日から2000年2月6日まで、全50話を放送した連続テレビドラマである。世紀末と言われた1999年は「人類滅亡の予言」や「惑星直列現象(グランドクロス)」など、何か地球全体に大きな"災い"が起きるのではないかという不安が渦巻いていたころ。ゴーゴーファイブは、そのような不安や恐怖を吹き飛ばしてくれるような、力強いヒーローとして誕生した。

ゴーゴーファイブの特徴は、メンバー全員が「兄弟」であり、さらにそれぞれが"レスキューの専門家"であることが挙げられる。長男のゴーレッド/巽マトイは消防局レスキュー部隊隊長、次男のゴーブルー/巽ナガレは化学消防班、三男のゴーグリーン/巽ショウは航空隊ヘリコプターパイロット、四男の巽ダイモンは警察官、末っ子の長女・ゴーピンク/巽マツリは救急救命士と、いずれも人命救助のエキスパート。しかし突然、人知を超える巨大災害を巻き起こす怪物(マグマゴレム)が現れたことがきっかけとなり、父・巽モンド博士が10年かけて準備した「アンチハザードスーツ」や「99マシン」を用いて、救急戦隊ゴーゴーファイブを結成。人類を災厄に陥れようとする「災魔一族」から人々の命を救うべく、命を懸けた戦いに挑む。

今回のイベントはまず、第1話「救急戦士!起つ」がスクリーンにて上映された後、ゲストによるトークショーが始まるという流れであった。MCを務める東映・中舘充樹氏(企画展のプロデュースも手がけた)の呼び込みにより、『ゴーゴーファイブ』チーフプロデューサーであり、現在は東映テレビ・プロダクション代表取締役社長を務める日笠淳氏と、ゴーレッド/巽マトイ役の西岡竜一朗が登壇した。2人は番組で使用していたオレンジ色のレスキュージャケットを身に着けて登場し、ファンからの大きな拍手と歓声に迎えられた。

まずは今回の企画展「スーパー戦隊レジェンドヒストリー」についての感想が尋ねられた。西岡は「ファイブレイザー、Vランサーといった武器が展示されていて、懐かしかったですね。Vランサーには思い出があって、初めてこの武器が出てくる回(第18話)では中田島砂丘にマトイがずっとクモの巣に貼りつけにされていて、すごく辛い思いをしたこと(笑)。あとは、すべてのスーパー戦隊のパネル展示や、歴代レッドの立像がバーッと並んでいるのは壮観でした」と、展示アイテムを見て約20年前となる撮影当時の思い出がよみがえったことを明かした。

日笠氏もまた企画展について「撮影で使用したミニチュアの展示はとても珍しいこと。何より、"スーパー戦隊"でこんな豪華な、しかも無料のイベントを成立させたのが驚きです。まさに、スーパー戦隊シリーズが"文化"として語られるようになりつつあるのかな、と感慨深い思い」と、45年もの長きにわたって愛され続けてきた「スーパー戦隊」の長い歴史を一望できる今回のイベントを「画期的」だと評した。

『星雲仮面マシンマン』(1984年)、『宇宙刑事シャイダー』(1984年)、『超人機メタルダー』(1987年)、『美少女仮面ポワトリン』(1990年)『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993年)『ビーファイターカブト』(1996年)『ビーロボ カブタック』(1997年)などさまざまな特撮ヒーロー、キャラクター作品でプロデューサーを務めてきた日笠氏にとって、『ゴーゴーファイブ』は初めて取り組んだ「スーパー戦隊シリーズ」だったという。

改めて本作の第1話をふりかえった日笠氏は「出来上がったフィルムを観たとき、特撮シーンの凄さにびっくりしました。佛田(洋)特撮監督はじめ、特撮研究所スタッフのこだわりが見事に結実していました。第1話で目指したのは、敵の怪人をメインにするというよりも、レスキューメカを使って巨大災害の中から人命を救助する、イギリスの『サンダーバード』のような特撮レスキューもの。Aパートで巽兄弟のみんなが人の命を守る仕事のエキスパートだという"主人公の基本的なスタンス"を描写しつつ、それがBパートでの"未知なる災害に挑む救急戦士"へとうまくつながっていった。そしてヒーローの操るメカが"戦う"ためじゃなく"レスキュー"のためだということが、きちんと描けていました」と、物語の導入部である第1話を、満足いく内容にすることができた喜びを改めて噛みしめるようにコメントした。

西岡は第1話の印象を聞かれると、「当時はフィルム撮影で、オールアフレコ(映像を先に撮影し、声を後から吹き込む)だったんです。でも自分の芝居にセリフを収録するとき、口の動きにぜんぜん合わせられなくて大変でした。撮影現場ではテンションを上げてセリフを言いますが、後でフィルムを映写しながら自分の芝居に声を合わせないといけない。あまりにもうまく出来ないので、ジャケットに小型のテープレコーダーを入れて、芝居をするときに声を録音しておくようにしました」と、アフレコ時の苦労話を語ってくれた。

ちなみに、ゴーゴーファイブのメンバーの中で、アフレコで一番苦労した人は?という質問に西岡は「あの人ですよ。第1話でも『ビルドディスチャージャー!』って叫んでいた人(笑) 第1話の段階で、あのセリフ100回くらい言ってるんじゃないですかね~」と、ゴーピンク/巽マツリ役の坂口望二香(現:柴田かよこ)がヒーロー作品の定番たる"武器の名前を叫ぶ"セリフをカッコよく言えずに困ったというエピソードを明かした。

続いて、西岡も「まったく聞いてない」というサプライズ演出で、ゴーブルー/巽ナガレを演じた谷口賢志からのビデオメッセージがスクリーンに流され、ファンをどよめかせた。

谷口は「アマゾンアルファ、鷹山仁を演じた……あっ、『ゴーゴーファイブ』だったか! 人の命は地球の未来!」と『仮面ライダーアマゾンズ』ネタで笑いを取ったのち「いま、舞台の本番中でして、残念ながらそちらに顔を出せないので動画を撮らせていただきました。昨年の20周年イベントでも感じたことですが、ファンの方々が作品や僕たちキャラクターへ持ち続けてくれた"愛"、僕らからみなさんへ向けた"愛"。もう愛しかない環境で、なんて幸せな世界なんだと思いました。ゴーゴーファイブという作品に出会えたこと、そしてみなさんに出会えたこと、すべての感謝しております」と、ナガレという役に出会えた感謝や、応援してくれるファンの方々への感謝のメッセージを送った。

まさかの谷口からのメッセージに興奮気味の会場内で、さらなるサプライズが仕掛けられた。こんどはゴーピンク/巽マツリ役の柴田かよこが、映像メッセージではなく直接ステージに"出場"したのであった。

昨年開催された「ゴーゴーファイブ20周年記念イベント」以来、約半年ぶりに再会した西岡に、柴田は「竜ちゃんの(自分への)イジり方がひどい! 1のことを100にして言うな!」と、先ほどの「ビルドディスチャージャー」のアフレコのテイク数が実際よりも「多すぎる」と文句をつけた。MCから「実際は何回くらい?」と尋ねられた柴田が「うーん、5回くらい?」と笑顔で答えると西岡は「ウソだあ!」と爆笑していた。

そして、柴田の登場に合わせて、それまで客席に座ってイベントを観ていたゴーピンクスーツアクター・中川素州もステージに登壇。ゴーピンクの着装前、着装後がそろったビジュアルに、ファンの興奮も最高に盛り上がった。

その後、西岡、柴田による「巽兄弟がジャケットをはおって災害現場に"出場"するシーン」や「アンチハザードスーツ"着装"から、中川による"ゴーピンク"名乗り」のアクション再現や、劇中でマトイが叫ぶ印象的なセリフ「気合いだ!」が、最初は西岡のアドリブから始まったという裏話、そして中川からの『ゴーゴーファイブ』には着装前の俳優に「透け面(ゴーグル部分から俳優の目が透けて見えるマスクでの演技)」があるため、常に着装後のスーツアクターと行動を共にしていたため、俳優・スーツアクターとのシンクロ度がひときわ高かったという、現場サイドならではのとっておきの秘話が明かされた。

最後の挨拶で中川は「『ゴーゴーファイブ』をやっていた1年間は今でも忘れられない、とても楽しい日々でした。これからもDVDなどでずっと『ゴーゴーファイブ』を応援してほしい」と、作品作りにかけた人々の熱い思いをふりかえりながらコメントした。

柴田は「これからもファンのみなさんの強い"ゴーゴーファイブ愛"に支えられながら、活動していけたら幸せです。しっかり者のマツリは私にとっても憧れの存在。演じる私がマツリのイメージを壊しちゃってないか心配ですけど、マツリのように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします」と、20年前とまったく変わらない明るさでファンに応援を呼びかけた。

日笠氏は「スーパー戦隊の歴史でいうと、2000年『未来戦隊タイムレンジャー』から2001年『百獣戦隊ガオレンジャー』にかけて、社会におけるヒーロー番組の位置づけなどが"変わっていった"ころなんですね。その直前にあたる『ゴーゴーファイブ』は、20世紀スーパー戦隊の"良さ"が凝縮しているんじゃないかと思っています。この作品から"スーパー戦隊シリーズ"に関わることができて幸せだなと、改めて感じています。こ『ゴーゴーファイブ』、ならびにスーパー戦隊シリーズを応援してください」とスーパー戦隊シリーズの長い歴史をふりかえりつつ、『ゴーゴーファイブ』への強い思いを語った。

西岡は「またゴーレッド/巽マトイとしてみなさんの前に立つことができて感謝しています。20年前、子どもだった人たちが立派な大人になり、ここで再会できたのも多くの方たちが愛してくれた『ゴーゴーファイブ』という作品のおかげ。今日一番強く思ったのは『ゴーゴーファイブ』の持つ"真面目さ""優しさ"はプロデューサー日笠さんの持っている要素なんだなってことです。日笠さんの人柄がちゃんと作品に出ている。僕は"日笠作品"に出演できてよかったと思っています!」と、「人の命は地球の未来」のフレーズに代表されるように、家族の絆の強さや人命救助の尊さなど、ヒューマニズムを強く打ち出した『ゴーゴーファイブ』への深い愛情を今一度確認しつつ、熱い声援を送り続けるファンに感謝の気持ちを示した。