2020年の導入が予定されている「マイナポイント」。マイナンバーカードを持っている人が、キャッシュ決済を行った際に付与されるポイント制度です。制度の利用にはマイナンバーカードの取得が必須。今のうちから、どのような制度なのか把握したうえで取得の準備をし、直前であわてないようにしたいものです。

2020年9月以降はマイナポイント

2019年10月から消費税が10%へと引き上げられました。増税に伴う消費の落ち込みを緩和する対策の一つとして導入されたのが、キャッシュレス決済によるポイント還元です。

当初は利用方法がわからずに戸惑う人も多かったものの、コンビニでは決済額から2%還元、中小の店舗なら5%還元なので、消費増税前と変わらなかったり、むしろお得な場合もあることもあることから、消費増税負担をあまり感じていないという声も多いはず。

ただし、忘れはいけないのが、この制度は2020年6月までの期間限定の措置であるということ。この制度が終了すれば、消費増税の負担を感じる可能性が高くなります。もちろん、その影響で消費が冷え込むことも考えられます。

そうした消費の冷え込みをカバーする次の策として位置づけられているのが「マイナポイント」です。2020年9月から2021年3月末までの制度となっています。

最大で5000円分還元される

マイナポイントは、交通系ICカードやPaypay・LINE Payなどの〇〇Payといった事前にチャージをして使う支払い手段にチャージし、マイナンバーカードと連携させると、それにプラスしてプレミアム分が付与されるという仕組みです。

このプレミアム分は国がまかなうことになっており、最大2万円までのチャージに対して、25%の5000円分のマイナポイントが付与される予定。例えば、Suicaに2万円のチャージをすると、5000円分のポイントが付与され、2万5000円分の買い物ができるというイメージです。

その他、ポイントの購入条件や購入対象者、ポイントの使途や有効期限など、より具体的な内容については検討中でいまのところ発表されていません。

マイナンバーカードの普及という目的も

マイナポイントの導入の背景には、前述の景気対策に加えてマイナンバーカードの普及を進めていきたいという意図があります。マイナンバーカードは、利用が始まってから3年以上経っているにも関わらず、普及率は14.3%と低水準(総務省「マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和元年11月1日現在)」)。

身分証や職員証としての利用のほかに、コンビニで住民票を受け取ったり、自宅のパソコンで確定申告ができるといったメリットはあったものの、実際のところ利用できる範囲が狭かったということが、こうした普及率の低さの原因でした。

そのため、マイナポイントには、マイナンバーカードの普及率を高めるための呼び水として役割もあるというわけです。2021年3月以降は健康保険証としての利用も可能になる予定なので、使える範囲はますます広がっていくでしょう。政府は、2022年までにはほぼすべての住民がマイナンバーカードを保有している状態にすることを目標としています。

ポイントを使うための手続きは?

このマイナポイントですが、制度を活用するためには一定の手続きを行わなければなりません。この手続きは大きく二つに分かれます。

1. マイナンバーカードの取得

当然ですが、マイナンバーカードを持っていない人は、まず取得しなければなりません。「マイナンバー(個人番号)」自体はすでに国民全員に付与されていますが、マイナンバーカードを取得するためには自分で手続きをする必要があります。

現在、マイナンバーカード通知カードを使っているという人も、マイナポイントを利用するのであればマイナンバーカードを取得する必要があります。

パソコンやスマートフォン、郵送、街の証明写真機から取得申請が可能です。

2. マイキーIDの取得

マイナンバーカードを取得したら、次に「マイキーID」という専用のIDを設定する必要があります。この手続きには、公的個人認証サービス対応のスマートフォンでの登録に加え、パソコンと公的個人認証サービス対応のICカードリーダーライタでの登録の2パターンがあります。

実際にマイナポイント制度の施行時期が近づいてくると、マイナンバーカードの交付申請が混み合い、申請から交付まで通常(約1カ月)よりも時間がかかってしまうことが予想されます。スケジュールに余裕をもって、なるべく早めに手続きを行い、もらえるポイントは取り逃さないようにしましょう。

  • 回遊舎

株式会社回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。 お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術、」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。