JR東海は22日、同社発足前後に投入した211系、213系、311系が更新期を迎えることを受け、最新技術で安全性と安定性を向上させた新形式の在来線通勤型電車315系を新製投入し、これらの車両と置き換えると発表した。
新型車両315系は、停電時などに最寄りの駅まで自力走行できるように、JR東海の在来線車両として初めて非常走行用蓄電装置を搭載。車内防犯カメラは1両につき5カ所設置し、セキュリティも向上させる。主要機器(ATS-PT、モーターを駆動する電力変換装置)の二重系化により、信頼性も向上。車両と地上との間のデータ通信装置も導入してメンテナンスに役立てるほか、台車などの振動状態を常時監視する振動検知装置の導入により、異常発生の抑制や迅速な検知を実現する。
台車は試験走行中の次期特急車両HC85系と同じ構造を採用し、乗り心地を向上させる。車内には階段位置などの駅設備や運行情報を表示できるフルカラー液晶ディスプレイを設置し、利便性も向上。全車両に車いすスペースを設けるとともに、全編成に車いす対応トイレを設置し、バリアフリー設備の充実も図る。
環境負荷低減にも努め、モーターを駆動する電力変換装置にSiC素子を導入するなどの省エネルギー化により、従来車両(211系)と比べて消費電力量を約35%低減する。
315系は2021~2025年度にかけて計352両を新製し、名古屋・静岡都市圏を中心に、中央本線、東海道本線、関西本線などに順次投入する。付帯工事費を含む設備投資額は約720億円。315系の導入により、JR東海の発足前に製作した211系8両が引退することで、同社の全車両がJR発足以降に新製した車両となる。