政策シンクタンクPHP総研はこのほど、日本が注視すべきグローバルなリスクを展望するレポート「2020年版PHPグローバル・リスク分析」を発表した。同レポートの発刊は今回で9回目。国際政治、地域研究、国際金融、国際経済、軍事、エネルギー、サイバー等の専門家が、グローバルなリスク要因を検討した結果をまとめた。

リスク要因にトランプ外交や習近平政権

  • 「2020年版PHPグローバル・リスク分析」表紙

    「2020年版PHPグローバル・リスク分析」表紙

「Global Risks 2020」の内容は下記の通り。

1.トランプ「再選ファースト」外交で揺らぐ米国の同盟関係
2.高まる圧力に強硬姿勢で応じる習近平政権
3.ドル覇権に挑戦する中国デジタル通貨
4.ビッグディール・サイクルに振り回される朝鮮半島
5.大国間競争激化の中で中露は「同盟的な関係」へ
6.イラン「増長」で動揺する中東親米陣営の「暴発」
7.「低金利の宴」長期化が引き起こす債務バブル
8.国家支援を受けたサイバー攻撃の活性化と多様化
9.激甚災害多発で政治化する環境問題
10.宇宙システムの信頼性を低下させる妨害事象の頻発

世界1位と2位の経済大国である米国と中国の間で貿易摩擦がエスカレートするなど、国家間関係において協調より競争や対立の側面が目立つようになった。また主要国では自国中心主義が台頭し、経済手段を政治的目的の為に利用する動きも顕著になっている。

同レポートでは、環境問題の政治化、デジタル通貨、長期化する超金利経済、急拡大する宇宙空間利用などを取り上げており、これらのような「国家間の力関係や国際政治の前提そのものを変えうる事象にも留意が必要」と指摘。その上で、「政府関係者だけでなく、企業関係者にとっても、政治リスクや地政学リスクから目が離せない状況は、しばらく続く」と予想している。