無駄遣いの傾向があるのは重々わかっているのだけど、なかなか節約ができないという方は少なくないでしょう。反対に、それほど無駄遣いしているつもりはないけど、なぜか貯金ができないという方もいると思います。
飛び切りのお金持ちになる方法の伝授はできませんが、これからの人生、自分の夢の実現、子供の教育、病気やケガの際にも何とか乗り切れること、老後は贅沢できないまでも安心して生活できる……など、「ささやかな安心」を獲得するための「節約」について考えてみましょう。
自分の「浪費癖」を知ろう
きちんと家計簿をつけている方は、自分の無駄遣いの理由を理解できていると思います。しかし、きちんと家計簿をつけることは、節約下手の方にはかなりハードルが高いものです。自分の浪費癖を把握する簡単な方法は、「レシート赤マーク方式」です。
20年位前に、私が執筆していたメルマガでご紹介した方法ですが、1週間だけ必ずレシートを受け取ります。できれば毎日夜に、不可能であれば1週間後にレシートをチェックして「買わなくて済んだのではないかと思うも」「もう少し節約できたと思うもの」「無駄遣いしてしまったと思うもの」に赤ペンでマークします。
それだけで、かなり自分の傾向が把握できるはずです。できれば金額も集計してみてください。その分を貯蓄に回せば、相当貯蓄できると実感できます。さらに、無駄遣いの種類別に集計するともっと明確に把握できます。もう1週間続けると、より具体的に見えてくるものがあるはずです。
私もこの方法を応用したことが有ります。以前にもご紹介しましたが、30代のころに住宅の営業職に就いていたことがあり、その際の売り上げに対する報奨金の額を、もし値引きせずに販売したらどの程度報奨金が増えるかを計算したことがあります。ある程度営業担当には多少の値引きの裁量は許されていたのですが、実際に計算した報奨金の違いは想像以上でした。全く値引き体質というわけではなかったのですが、それでも金額は相当なものだったので、それ以来値引きなしで契約できるように営業スタイルを見直しました。
自分の傾向はうすうすわかっているとは思いますが、数字で把握することによって、改善行動に移しやすくできるのです。
自分の浪費癖の種類を知る
浪費癖にはいろいろあります。上記のレシート赤丸方式の結果も考え合わせて書き出してみると、さらに是正しやすくなるから不思議です。下記の一例を参考に、とりあえず自分でもわかる範囲で、自分自身の傾向を書き出してみましょう。後で違うと感じれば、訂正線で修正し、新たに書き加えながら、精度を高めていきます。
・資産とならないものを月賦で購入する
住宅ローンの場合は、購入する物件にも寄りますが、原則住まいという不動産が残ります。それ以外の資産とならない消費財の購入の基本は資金を貯めてからが正解です。
・キャッシングをする
あれもこれもと収入に比較して生活が広がってしまっているケースです。
・ギャンブルをする
ギャンブルにお金を使ってしまうケースです。OKなのは、後で紹介ご褒美金額の時だけにしましょう。
・道具や教材を完璧にそろえようとする
趣味やスキルアップなどを始めようとすると、まず道具や教材をあれこれそろえてしまうケースです
・ついで買いをする
何に無駄遣いしたがよくわからないケースには、このタイプが多いです。スーパーへ買い物に行くときは食後が良いと言われています。
・新機種がでると、つい欲しくなる
車やスマホ、PCやゲーム、最新版や、いろいろな機能が付いた最高杞憂なものにこだわるタイプです。
自分へのご褒美を工夫する
例えば毎月2万円の貯蓄目標が達成できたとします。過去記事でも紹介しましたが、月々2万円という数値は、4年で100万円の大台に近づくという、大いに意味がある数値です。2万円の貯蓄が達成できたら、その金額の5%程度を自分のご褒美にします。2万円の5%は1,000円です。
そしてその時々で1,000円分を何に使ったら最も楽しいかを真剣に考えます。わずか1,000円ですが、自分を喜ばすために、精いっぱい考えるのがポイントです。スイーツの材料を買って腕を振るい、友人とお茶会でもよいですし、デパ地下でおいしいものを買ってもよいでしょう。いつも買うお酒に1,000円をプラスして贅沢したり、少しリッチなツマミを買ったりしてもよいでしょう。
私はボーナスはすべて貯金していました。そのご褒美として、端数を貯蓄せず自由に使えるようにしました。端数の設定はボーナスの額によって決定するとよいでしょう。50万円程度であれば5万円以下としたり、20万円程度であれば1万円以下の端数としたりします。端数は多い時も極端に少ない時もありますが、それはそれで、何に使うかを精一杯考えます。
とにかく、金額が多かろうが少なかろうが、その中で大いに楽しむことが大切なのです。それが新たな節約の原動力につながります。ささやかな金額でも精いっぱい楽しむことが「節約」にも通じるのです。
必要金額を把握しよう
もし病気やケガになったら、どのくらい必要でしょうか。最悪のケースは障害年金や生活保護などの社会保障制度があるので、その手前の段階を考えます。収入が無くても、また働けるようになるまでの期間、治療費や生活費、住宅ローン等の支払いができる金額を見積もります。ただし、万が一の場合は障害年金をもらえるように、自営業等の国民年金の第1号被保険者は保険料をしっかり払い続けなければなりません。
子供の教育費については、子供の人数や年齢に合わせてそれぞれ計算します。私立か公立か、学部はどこかなどによっても違います。また老後の生活費については、加入している年金の種類、老後を過ごす場所など、様々な要件でそれぞれ大きく異なります。最後に必要となる時期までの年数を考え、今準備すべき金額の目処をつけましょう。
給与引落しなどで、先に貯蓄分を取り除いておこう
「財形貯蓄」「学資保険」「国民年金基金や確定拠出年金などの+αの年金」「毎月生活費に使っている通帳から引き落とされる積立商品」などに加入し、強制的に保険料や積立金を支払っていく仕組みを作れば確実に貯蓄はできます。「学資保険」のメリットに関しては賛否両論ありますが、貯蓄がなかなかできない体質の場合は、デメリットも理解した上で検討の余地があるでしょう。
「数値化→書き出し→可視化」で節約体質に
体重を毎日計り、記録すると、それだけで痩せられると言います。ファイナンシャルプランニングは数値化することと、書き出すことを重視します。書き出すのは以下の項目です。
・自分の癖
細かく分析したものもあればベストです。
・将来必要な金額と今準備する額
万一の生活費、教育費、老後の資金等を計算します。本当は詳細の生涯収支表を作るとよいのですが、簡単にできることも重要なので、とりあえずおおよその金額を把握しましょう。
・節約して貯金できた金額
前述した自分へのご褒美も大切ですが、結果の成績表も大いにさらなる節約につながります。
書き出せたら、さらにそれを張り出して可視化すると一層効果的です。アメリカでのビックビジネスの成功者は、自分の目標を自室の壁に張っていたそうです。いつも目に付く所に張り出して可視化することは大いに意味があります。その他、節約に関するレポートはたくさんありますのでぜひ参考にしてください。