――今回、イベント『THE HENSHIN』で発売される「CSMダブルドライバー(ver.1.5)」(仮面ライダーW/ダブル)は、2013年に発売された第1弾「CSMダブルドライバー」と、どのようなところが変わっているのでしょう。

大きく3つ、変更点があります。

まず1つ目、以前のCSMダブルドライバーではバックル部分とベルトの片方が繋がっていて、バックル単独で手に持つことができなかったのですが、今回の「1.5」ではテレビ劇中の左翔太郎・フィリップがしているように、バックル部分だけを片手で持つことができます。

2つ目は、以前は革で出来ていたベルト部分が現在のCSMの主流であるナイロン製に変更されています。

3つ目はガイアメモリの精度です。以前はDX版と同じシールを貼っていたものが、プロップの細かなデザインをより忠実に再現できるよう新たに作成しています。メモリの押しボタンにも注目していただきたいのですが、以前は成型色のままだったのが、今回はプロップと同じく銀色に塗装されています。

――当時はまだCSMが購入できなかった仮面ライダーファンの方が、大人になって改めて「CSMダブルドライバー」を購入されるというケースもありそうですね。

2013年近辺は「バブル」と呼ばれるほど関連商品がヒットしたのですが、ターゲットは当然ながら子どもたちでした。

あれからもずっと平成仮面ライダーシリーズが続いていき、ついに昨年の『仮面ライダージオウ』(2018年)で20作目を数えましたね。シリーズを重ねるごとに新しいファンがどんどん入ってくる中、以前からファンだった方たちも仮面ライダーを好きだという思いを持ち続け、大人に成長して改めて「CSM」に始まる大人向け玩具を買ってくれるようになりました。

そう考えると、6年前に商品を発売したときよりも、年を経た分だけ単純にファンの方が手に取りやすい環境になっていると思います。

――本放送でDX版を親に買ってもらった子どもが、数年後には自分のお金でCSMを購入して楽しむ、といった現象もありそうですね。

実際、そんなお話をよく聞きます。大人向け玩具が世に受け入れられたのには、通販限定商品を扱う「プレミアムバンダイ」の存在が大きいですね。10年近く前からスタートしたのですが、通常の流通に乗りにくい高価格帯・コアファン向け(=販売数量に限りがある)商品をお客様の元へダイレクトに届けられるようになりました。

――通販限定商品や予約販売商品というものは、はっきり言って「こんな商品が発売される」という情報を逃さずユーザーがキャッチできないと成立しませんから、そういう意味ではSNSが普及したことも大きく影響しているのではないかと思います。

そうですね。CSMの前には「COMPLETE SELECTION」というシリーズがあり、『仮面ライダー』(1971年)の仮面ライダー新1号変身ベルトなどを販売していたのですが、そのときはネット販売という環境が弊社に整っていなかったので、流通の仕方としては店頭にディスプレイしてお客様に買っていただくという形しかできませんでした。

告知の手段としてインターネットや雑誌での紹介などはありましたが、全国に存在する玩具店さんの数にも限りがありますし、ほんとうに欲しい方のもとに必要な数の商品をお届けすることができなかった。その点、今の「大人向け玩具」ブームを支えてくれているのは、ネット上での情報共有が活発になったおかげでしょう。

――フナセンさんがCSM担当になってから、一番ヒットした商品は何でしょう?

第18弾の「CSMオーズドライバー コンプリートセット」(仮面ライダーOOO/オーズ)です。

CSMの開発は、テレビ映像のイメージを忠実再現することをコンセプトにしていますが、「オーズドライバー」のときはその「先」を行って、作品の中にも出てこない(設定にしか存在しない)メダルの組み合わせ(コンボ)を作って、串田アキラさんによる新規音声を収録するなど、規格外のことをやったおかげで、お客様により大きな驚きをお届けできたと思っています。

――仮面ライダーシリーズの俳優さんを新たにお呼びし、音声ギミックを収録するという試みを最初に行ったのは第何弾ですか。

2016年に発売した第11弾の「CSMファイズギア」(仮面ライダー555/ファイズ)です。 『仮面ライダー鎧武』が放送されているころ、コレクションアイテムの「ロックシード」に俳優さんの音声を入れる試みがスタートしていたんです。そこで大きな反響があったものですから、CSMにも「劇中セリフ」の再現を取り入れてみようと始まりました。