歌手で俳優のディーン・フジオカが主演するフジテレビ系月9ドラマ『シャーロック』(毎週月曜21:00~)。令和の東京という舞台をスタイリッシュに描いているが、その世界観を作る大きな要素の1つが、スタジオセットだ。
このデザインを手掛けるのは、ディーンが主演した『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』のほか、『ショムニ』『ガリレオ』などの作品でセットを担当してきた柳川和央氏。今作のセットに込めた思いや裏側などを聞いた――。
■シャーロック&ワトソンの性格を反映
原作の“シャーロック”にあたる誉獅子雄(ディーン)と“ワトソン”にあたる若宮潤一(岩田剛典)が共同生活を送るマンションは、西谷弘監督から、「獅子雄の部屋はクラシックな雰囲気、若宮の部屋は清潔感を重視したい」というオーダーがあったそう。
そこで、奥にある獅子雄の部屋には、茶系の暗い色合いを投入。獅子雄は、若宮の家に転がり込んできた居候の設定だが、生活スペースは徐々に拡大し、今や3分の2を占拠している。
こうして追い込まれてしまった若宮のスペースは、白と明るい木目を基調にして対照的な雰囲気に。さらに、自由奔放なシャーロックをフォローする性格を表現するために、清潔感に加えて“優しさ”も反映させた。
それが、キッチンのカウンターや、ガラスブロックの仕切り壁に施された曲線。「若宮のマンションの外観は普通のビルで、四角いスペースが多いんですよ。その中で、どうやったらいいのかなと考えて、そういう部分に丸みをつけることを思いつきました」と話す。
また、「90年代のファッションやアイテムが、1周回って斬新に捉えられている今、セットに“懐かしい要素”を“新しい要素”として取り入れてます」とも。その1つが、トレンディドラマでも多用されたガラスブロック。「あの時代のドラマでは頻繁に使われていましたね。今回は当時とは違う使い方をしているので、今の時代のセットデザインに一石を投じることができたんじゃないかと思います」と胸を張る。
■役者のモチベーションも向上
獅子雄が若宮の部屋に住み着くことになったのは、前に使っていた事務所兼住居が上の階からの水漏れにより宿無しになったためだ。このセットは第1話にしか登場しないが、セットを設営した。
当初は建物でロケ撮影するという話もあったが、柳川氏の提案でセットを建てることに。「水漏れをさせるというのは、ロケではどうしても難しくて。だからセットを作ったんですけれど、やっぱり正解でしたね。本格的に装飾も飾ったので役者さんのモチベーションも上がったと思います」と手応えを語り、ドラマの制作発表会見で、佐々木蔵之介は「見たことのない画で印象的でした」と驚いていた。
第1話では、事件が起きたクルーザー「クレオパトラ」の内部もセットで作っている。ディーンは「気合の入り方がすごい」と話し、制作側の姿勢に刺激を受けてるようだ。