職場に行って仕事をし、家に帰っても家事という名の仕事をし……私はいつ休めばいいの!? と悲鳴をあげているワーママ・ワーパパは多いことだろう。筆者もそんな1人だが、このほど、家事負担を軽減する工夫にあふれた、"1日1時間のゆとりをうむ家"が体験できるというので、行ってきた。

  • 「1時間のゆとりをうむ家」を体験してみた

「家事動線」と「家事負担」を意識した設備の数々

筆者が参加したのは、へーベルハウスの「ゆとりうむハウス体験会」。普通に生活するだけで、毎日1時間のゆとりをうむ工夫がされているというモデルハウスが会場だ。

会場では、家事負担を軽減してくれる設備の数々を見学することができた。例えば「ランドリークローク」と呼ばれるコーナーは、洗う→干す→たたむ→しまうが1カ所で完結するスペース。洗濯機置き場のすぐ横に干し場、収納があるので洗濯にまつわる家事がスムーズになるという。

洗濯する場所、乾かす場所、収納する場所がバラバラだと、その間を行き来するだけで、手間と時間がかかる。このコーナーにはハンガーかけも充実しているので、乾いたものをそのまま収納に移行でき、もはやたたむ手間もいらないという素晴らしい仕組みだ。

  • 洗う→干す→たたむ→しまうが1カ所で完結する「ランドリークローク」

洗濯の時短に関しては「脱いだらその場で各自が色柄物、おしゃれ着、その他を仕分けできるように、脱衣所に仕分け用の洗濯ネットをセットしておく」というアイデアも紹介されていた。これなら、ネットをそのまま洗濯機へ放り込んで洗えるし、干し場へ運ぶのも楽ちん。試してみてはいかがだろうか。

またお風呂場には、スイッチ1つでお風呂の床を自動洗浄してくれる「床ワイパー洗浄」という機能も搭載されていた。ワイパーのように水を散布し汚れを洗浄した後は、「きれい除菌水」という特別な液体を塗布してくれる。これにより、1カ月は床掃除をしなくて済むそうだ。

「酸素系漂白剤のオキシクリーンを残り湯に溶かして、汚れが気になるものを放り込んでおくだけで汚れが落ちる『オキシ漬け』も試してみてください」と担当者。もちろん浴槽などの掃除は毎日必要かもしれないが、本格的な掃除が月1回で完結するとなれば、負担はグンと軽減されるだろう。

  • オキシ漬けならすぐにでも実践できそう!

調理時短の工夫も無限大!

また体験会では、料理の負担軽減にまつわる工夫も教えていただいた。その1つが「下味冷凍」。ジップロックに糀甘酒と醤油を入れ、鶏肉を漬け込み冷凍。食べたい当日の朝に冷蔵庫へ入れ解凍したら、夕食前に焼くだけで鶏肉のメイン料理が完成する。既に味付けが済んでいるので、平日夜の忙しい時間、料理の時短につながるというわけだ。

  • 「下味冷凍」の例

実際に試食させていただいたのだが、一度冷凍したとは思えないやわらかさとしっとりとした食感にびっくり。糀の効果で肉質が変わるのだという。味付けを変えればバリエーションも増えるので、週末にまとめて作っておけば便利だろう。

  • 味もしっかりしみ込んでいておいしかった

他にも調理の時短テクとして「顆粒のフリーズドライみそ汁」「ウォーターサーバー」が展示されていた。今までも固形のフリーズドライみそ汁は販売されていたが、湿気にくく簡単に溶ける顆粒タイプは新発売とのこと。調理を早く、楽にする商品は、日々進化しているようだ。

  • フリーズドライ味噌汁は顆粒タイプに進化していた

設備の工夫としては、できあがったらそのまま食卓に出せるコンロ下のグリルや、汚れにくさが魅力のタッチレス水栓(※体験会では現物なし)などが紹介されていた。こういった一つひとつの小さな工夫が積み重なって、生活にゆとりをうんでくれるのかもしれない。

ゆとりをうみだし、家族との会話時間を作ろう

家族に関しての研究をしている社会学者で、ゆとりうむプロジェクトの理事長も務める筒井淳也氏(立命館大学 産業社会学部教授)は、「日本の家事の品質は世界一高いと思う。そして、効率化はしたいけれど、クオリティを下げたくないという方が多いのが現状だ。成果は落とさず効率的に仕事を進める工夫が職場ではたくさんなされてきたのだから、家庭にだって工夫の余地はたくさんある」とコメントしている。

また筒井氏によれば、結婚後年月を重ねても、配偶者に対する満足度を高いままキープできている夫婦は「会話時間が多い」ということが、分かっているという。

「生活にゆとりをうみだして、家族と会話する時間をうみだしてほしい」と筒井氏。パートナーや子どもたちから愛想を尽かされる前に、ぜひできるところから実践してみてはいかがだろうか。