ジャガー・ランドローバー・ジャパンは11月5日、新型「ディフェンダー」の展示イベントである「アフタヌーンパーティー」を東京・代官山の「代官山T-SITE」で開催した。そこでは、同社のチーフ・デザイン・オフィサーであるジェリー・マクガバン氏に話を聞くことができた。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    新型「ディフェンダー」のデザイン哲学とは(本稿の写真は原アキラが撮影)

伝承を継承しつつ、過去にとらわれない新型

ランドローバーのディフェンダーは、英ランドローバー社が第2次大戦直後の1948年に製造を開始した、タフな走破性を誇る四輪駆動車「ランドローバー・シリーズ」をルーツとする。このシリーズは進化を続け、「レンジローバー」や「ディスカバリー」といったクルマにつながっていくことになる。

「ディフェンダー」を名乗るクルマは、1990年に誕生した。車体構成は、ホイールベースのインチ数に合わせてディフェンダー「90」「110」「130」(トラック)の3種類となった。ディフェンダーは2016年1月、当時の衝突安全基準や環境規制への対応が難しくなったことから生産終了となっていたが、4年近くのブランクを経て今回、フルモデルチェンジを果たした新型が登場したというわけだ。

デザインチームは今回の新型を造形するにあたり、ユーザーの心を揺さぶるべく、これまでの伝統を継承しつつも過去にとらわれず、先代モデルの特徴を新たな形で取り入れ、21世紀の最新仕様に仕上げたという。マクガバン氏はこう語る。

「1948年に誕生した『シリーズⅠ』は、イギリスの農場向けに開発されました。その後は世界各国の山岳地帯やジャングルといった過酷な現場で活躍し、その走破性や耐久性が評価されました。現在では、そうした環境に加え、『アーバンジャングル』のような非常にグラマラスな場面でも使っていただける車両になっています」

  • ジャガー・ランドローバーのジェリー・マクガバン氏

    ジャガー・ランドローバーでチーフ・デザイン・オフィサーを務めるジェリー・マクガバン氏

ランドローバーは「レンジローバー」「ディスカバリー」「ディフェンダー」という3つのファミリーを持つ。素晴らしい耐久性と、どんなところにも行ける走破性を備えるモデルというのが、ディフェンダーの位置づけだ。

そのデザインは、モダニティ、デレガンス(時代に合っていること)、サステナビリティ(持続可能性)、デザイアビリティ(求められていること)の4つのエレメントからなっており、最も大事なのはデザイアビリティであるという。つまり、直感的で行動的、そして、リフレクティブ(内証性:高揚感を感じさせ続けてくれること)であることが必要なのだそうだ。

「長きにわたって待ち望まれていた」という新型ディフェンダーについては、「1948年の初代から大きく変わったというわけではなく、非凡でシンプルで、子供でも描けるような、また、うちのCEOでも描けるようなクルマだ」とマクガバン氏は語る。開発チームメンバーが念頭に置いたのは、「70年前に世に出たアイコニックなクルマの作り替えになってはいけない」ということ。「新しいクルマは次の世代のユーザーのもの」であり、「変化の激しいグローバル市場で時代に合うものを」と考えた結果、初代をオマージュしつつ、新しい時代を見据えたデザインのディフェンダーを作り出した。

展示してあったディフェンダーは、今回のラグビーW杯の会場に実際に登場したクルマだった。マクガバン氏によれば、ディフェンダーとラグビーは、勇気や忍耐といったコンセプトを共有しているという。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    展示されていた「ディフェンダー90」の試作車。ボンネットにラグビーW杯のロゴが入っている

具体的なデザインについてはショートオーバーハング、つまり、クルマの前後でタイヤよりも外側にくる部分を短くした。アプローチアングル(前輪の接地点とフロントバンパー前端を結んだ角度)とランプブレークオーバーアングル(前後タイヤの接地点とホイールベース中央の下部を結んだ角度)は広くし、最低地上高を高くすることにより、悪路走破性を高めている。

エクステリアでは力強い佇まいを獲得すべく、直線を際立たせるラインをルーフ、ウエストライン、下回りに入れた。マクガバン氏は、四角形となっているホイールアーチにも注目してほしいと話していた。流れるようなルーフラインとアルパインライトウィンドウ(ルーフ後方の窓)は、初代へのオマージュに見えた。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    悪路走破性の高さを感じさせる新型「ディフェンダー」のサイドシルエット

クルマの性格を表すフロントフェイスは、力強さと自信を表現している一方で、過度に攻撃的にならない親しみやすさも兼ね備える。最新のテクノロジーを投入したフェンダーラインやサイドのショルダーラインが特徴的で、「クラムシェル」ではない形のボンネットを初めて採用している点もニュースだ。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    力強くも親しみやすいフロントフェイス

リアはフロント同様に幾何学的な構成だ。垂直にレイアウトされたリアライトと真っ直ぐに切り立った側面が強調されている。外付けのスペアタイヤと横開きのリアドアは、初代から引き継いだポイントだという。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    幾何学的な構成のリアデザイン

インテリアはモジュラーアーキテクチャーデザイン(機能部品の組み合わせデザイン)を採用。機能部品はセンターに寄せ、乗員が乗り込みやすいポジショニングにしてある。マクガバン氏が最も気に入っているのはフロントのセンターシートで、「子供や犬を連れてドライブする際に最適なものになるはず」と話していた。

  • ランドローバーの新型「ディフェンダー」

    インテリアは機能性が高そう

マクガバン氏によれば、新型ディフェンダーでは総じて「無駄を省いた根源的なデザイン」を狙いつつも、これまで作り込んできたクルマの中で、最も精緻で洗練されたクルマに仕上がったという。さらに、アクセサリーも自社製で170点近くを展開し、デザインの一貫性を追求したとアピールした。

新型ディフェンダーは、先行予約モデルとして3ドアの「ディフェンダー90 ローンチエディション」と5ドアの「ディフェンダー110 ローンチエディション」を合計150台限定で販売する。いずれも2.0リッター直列4気筒INGENIUMガソリンエンジン(最高出力300ps、最大トルク400Nm)を搭載し、価格は489万円~767万5,000円になるという。成約記念品として、レゴブロック2,573ピースを使用した「LEGO テクニック ランドローバー ディフェンダー」を用意するので、2020年夏の納車までの時間を楽しんでもらいたいとのことだった。

  • 「LEGO テクニック ランドローバー ディフェンダー」

    本物のクルマが届くまでは「LEGO テクニック ランドローバー ディフェンダー」を組み立てて待とう

著者情報:原アキラ(ハラ・アキラ)

1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。