国民の三大義務は「教育」、「勤労」、「納税」の3つであることは皆さんもよく知っていますよね。そして、年金への加入と保険料の納付も国民年金法という法律で定められている義務です。

三大義務ではないのに、年金保険料の支払いが義務となるのはなぜでしょう。今回は、年金の加入や納付が義務とされている理由について解説します。

  • 年金の加入や納付が義務とされている理由(写真:マイナビニュース)

    年金の加入や納付が義務とされている理由

年金が任意でなく義務なのはなぜ

日本では、原則20歳以上60歳未満のすべての人に公的年金への加入義務があり、この制度によって、安定的に保険料収入を確保することができ、社会全体で年金を受け取っている方の生活を支えることが可能となっています。

さらに、社会保険方式により、現役世代が納める保険料を基本の財源として、国庫負担金を組み合わせて安定的に年金を給付することができ、原則として保険料を納めなければ年金を受給できません。また、現行の年金制度は、現役世代が納める保険料をもとに、年金を支給する世代間扶養という「世代と世代の支え合い」によって成り立っています。

しかし、今後は少子高齢化に伴い、高齢者世代を支えていく現役世代の人口が減少していくと考えられており、若い世代の方は、保険料を支払ったにもかかわらず、それに見合う年金額を受給できないと考えられており、事実として、年々その受給額は減少傾向となっています。これは、少子高齢化により、保険料財源が減少して給付水準を維持することができなくなっているためです。

若年者の方であるなら、それなら保険料を支払わない方がよいと考える方も一定数おられるかもしれません。

しかし、これは危険な考えです。確かに世代間扶養により、現行の受給者と現役世代では、給付される年金額に差が生じるのは否定できませんが、年金制度には、生涯にわたって年金を受給できるという大きなメリットが存在しており、これは国民のセーフティーネットとして重要な役割を持つと考えられます。

なお、保険料の徴収について、国民年金法第87条において、「政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する」と定めており、政府が保険料徴収権者として保険料を徴収することを規定しています。

さらに、保険料の徴収に関しては、第1号被保険者本人に収入がない場合にも保険料を徴収できるよう、世帯主や被保険者の配偶者に対して連帯して納付する義務を課しています(国民年金法第88条)。

また、一方では保険料を納付することが困難な方に対しての配慮として、保険料を免除するという規定も整備されています。保険料を滞納した場合には、財産を強制徴収される恐れもあるので注意して下さい。

年金の保険料を支払わない場合は?

年金の保険料を納付していなければ、当然無年金者となってしまいます。年金制度は崩壊するという考えを持たれる方もいるとは思いますが、私見として、年金の支給額は減少したとしても、年金制度は世代間扶養による賦課方式を採用しているため、年金制度が崩壊するという考えはいささか極論ではないかと私は思います。

年金の保険料を納付していなければ、当然に老齢年金の他、障害や死亡に関する年金も受給することができません。安易な考えで保険料の納付をしないという選択は避けるべきでしょう。

厚生労働省が、近日中に厚生年金の対象拡大として弁護士や公認会計士、社会保険労務士等の個人経営事務所で働くスタッフも厚生年金の対象とする制度改正を検討しているとのことです。※参照:共同通信 令和1年11月9日

年金額を手厚くするための施策として厚生年金の加入者を増やそうとしているのでしょう。厚生年金の加入義務は、従業員5人以上の個人事務所では、16業種に限定されていたことからも、この改正案は私のような士業事務所に勤務している方にとっては画期的な改正であり、他業種との格差是正という点からも喜ばしく感じます。

見直し案では、弁護士・公認会計士・社会保険労務士の事務所を追加するとされていますが、その他の士業にも適用されるのかが気になるところです。

年金の支払いが義務となる年齢は何歳から?

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金への加入は義務とされています。国籍があるかないかは関係ありません。また、日本国籍をもつ者が、長期間海外に住むような場合でも、将来年金が受けられるように20歳以上65歳未満の間は、国民年金に任意加入することができます。

ただし、厚生年金の被保険者(会社員など)は20歳未満であっても第2号被保険者となり厚生年金の保険料を支払わなければならないので注意する必要があります。

さらに、厚生年金の被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、第2号被保険者期間・保険料納付済み期間とされますが、老齢基礎年金の年金額の計算については保険料納付済み期間とはされません。

これは、第1号・第3号被保険者期間(20歳以上60歳未満)との均衡を図るためです。この20歳前の期間及び60歳以後の期間は、保険料自体は納めているために厚生年金の経過的加算という形で反映されます(上限あり)。

また、保険料を納付していない20歳になる前に初診日のある病気やケガで1、2級の障害になっている人は、一定の要件を満たしていれば障害基礎年金を受け取ることができます(受給は原則20歳より)。年金制度は複雑で改正も多いことからも専門家であっても難解であると言えます。

分からないから放置するという行為は、自身のデメリットに繋がる恐れがあるので、疑問があれば放置せずに、最寄りの年金事務所等でご相談されることをお勧めします。