アニメーション映画『BLACK FOX』との連動企画として、WEB配信による単体作品となる実写版『BLACKFOX:Age of the Ninja』が製作された。10月5日より各動画配信サービスで配信がスタートしている。メガホンを取ったのは、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」という日本を代表する特撮アクションシリーズをすべて手がけた経験のある坂本浩一監督。そして主演を務めるのは、実際に中国武術の達人にしてアクション映画界の美しき俊英・山本千尋である。近未来における忍者の末裔を主役にしたアニメ版を受けて、実写版では本格的な「時代劇」として製作されており、アニメ版の主人公と同じ名前を持つヒロイン・石動律花(いするぎ・りっか)が己の信じる道を突き進むため、邪悪な敵に立ち向かっていく姿を描いている。

  • 山本千尋(やまもと・ちひろ)。1996年、兵庫県生まれ。3歳のころより中国武術を習い、武術太極拳選手として世界ジュニア武術選手権大会で金メダルを2度獲得した実績を持つ。2014年『太秦ライムライト』(2014年)で初出演にしてヒロイン役を演じ、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』(2016年)『BRAVE STORM ブレイブストーム』(2017年)やテレビドラマ『ウルトラマンジード』(2017年/鳥羽ライハ役)に出演し、得意の中国武術を中心とした激しいアクションを披露して注目を集める。撮影:大塚素久(SYASYA)

ここでは主演の石動律花を演じる山本千尋にインタビューを敢行。初主演となった本作にかける意気込みや、2014年の『太秦ライムライト』以来となる東映京都撮影所スタッフたちとの再会の喜び、アクション映画に情熱をかける坂本浩一監督の印象などを、大きな瞳を輝かせながら語ってくれた。

――まずは『BLACKFOX:Age of the Ninja』への主演が決まったときの心境から聞かせていただけますか。

最初にびっくりして、次に「嬉しい!」という喜びの気持ちが大きくなっていきました。いくつもの作品でお世話になっている坂本浩一監督とまたご一緒できるのと、女優デビューさせていただいた『太秦ライムライト』の東映京都撮影所作品だというのも、何か運命を感じるものがありましたね。また「特撮アクション時代劇」という、誰も聞いたことのない新しいジャンルの作品で主演をさせてもらえるということも、ありがたいと思いました。プレッシャーがなかったかというと、少しはあったんですけど、ぜったいにやり遂げるぞという"闘志"に満ちあふれていました。

――山本さんといえば実際に中国武術の達人として、多くの作品で剣術をはじめとする超絶アクションを披露されていました。今回の映画『BLACKFOX:Age of the Ninja』でもそれは変わらないと思いますが、主演ということでどのようなお気持ちで取り組まれていましたか。

アクションチームの方々、共演された俳優のみなさんも含め、とてもアクションのレベルが高い環境にずっと居させていただきましたので、自分ももっと頑張らないといけない、と刺激を受けながら取り組んでいました。今までにやったことのないアクションにもたくさん挑戦しましたし、自分がもともと持っているスキルも100パーセント以上出し切らないといけないという感覚でいました。素手での立ち回り、武器を使った立ち回りなど、ひと通りのアクションをやらせてもらったんじゃないかと思いますし、もうアクションじゃなくて取っ組み合いのような、綺麗な形だけじゃなくて気持ちでぶつかるようなシーンもこなしました。どのアクションシーンも一回一回集中して、思いを込めた作品でしたので、そういった"熱量"が観ているみなさんに届くことを願っています。

――東映京都撮影所のスタッフさんとは、お久しぶりの再会ということになるのでしょうか。

1年に一度くらい、みなさんとお会いする機会はありましたけれど、太秦でまた作品を撮らせていただくのは本当に久しぶりのことでした。上京してからも、いつか太秦のみなさんに"恩返し"がしたい、という気持ちを抱きながら頑張ってきたつもりでしたので、今回の映画ではちょっとだけ胸を張って「太秦に帰ってきた!」と思えましたね。逆に、太秦のスタッフのみなさん、剣会の方々から「千尋ちゃん、お帰り!」と言ってくださって、とても嬉しかったです。今回もみなさんに気持ちの面で支えていただいたので、こんどまた帰ってくるときはもっともっと成長していなくては、と自分の中で課題を出しました。

――京都の撮影所でお会いする坂本監督は、東京での雰囲気と違ったところがあったりしたでしょうか。

坂本監督はすごく明るくて、ムードメーカーで天真爛漫で……どこに行ってもみんなに愛されるんだな~って、改めて思いました。太秦でもスタッフさんたちから「面白いカントクやなあ」って、愛されていました(笑)。でも、東京にいらっしゃるときと違った部分もたくさんありましたよ。基本的に、明るく楽しい撮影現場には違いなかったんですが、私に監督が"喝"を入れてくださったことが、いくつかのシーンでありました。そのときは、今までの坂本監督じゃないって思えるくらい厳しい一面を感じて「ここはもっと集中!」とか「まだできる! もう一回!」とか、大きな声で言ってもらえたというのも、監督からの愛情だと思いましたね。後半の撮影はもう、ずっとアクションの連続だったこともあり、集中力が途切れてしまうときもありましたから、監督からの一言一言に救われた思いで、最後まで乗り切ることができたと思っています。