ふんわりと澄んだ歌声は誰もが耳にしているはず。映画やTVアニメ、ゲームと幅広いメディアで展開している「リトルウィッチアカデミア」各作品やTVアニメ『からかい上手の高木さん』(TOKYO MXほか)1&2シーズン、TVアニメ『はなかっぱ』(NHK Eテレ)などの主題歌&テーマソングを担当。大の野球観戦好きでBCリーグの公式アンバサダーとして公式応援歌「リアライズ」も歌っている。そんな大原ゆい子が待望の1stアルバム『星に名前をつけるとき』をリリース。小さいころからヴァイオリンやピアノ、ギターを弾いてきた彼女ならではのバラエティ豊かな作品に仕上がっている。

1stアルバム『星に名前をつけるとき』をリリースした大原ゆい子

大原ゆい子
2月5日生まれ。千葉県出身。幼少期よりエレクトーン、ヴァイオリン、ギターなど様々な楽器に触れ音楽性を養い、高校時代に初めて参加したオーディションでオリジナル楽曲の魅力に惹き込まれ、シンガーソングライターへの道を歩みはじめる。2014年に劇場版アニメ『リトルウィッチアカデミア』の主題歌を担当。2015年10月7日には、映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』主題歌「Magic Parade」でメジャーデビュー。9月25日にはファーストアルバム『星に名前をつけるとき』をリリースした。また、10月12日には大阪で開催される音楽イベント「FM802 MINAMI WHEEL2019」への初出演も決定している

――アニメのテーマソングを数多く手がけられておりますが初めて曲を作ったときはアニメありきではなかったわけですよね。

「はい。作詞作曲を始めたときは自分の想いを中心に書いていました。でも、自分が観たり読んだりしたドラマや本をモチーフに書くことも多かったんです。それがけっこう楽しくて。デビューしてからアニメの主題歌を書かせていただくようになってからもアニメソングならではの面白さを実感しています」

――そのアニメソングならではの面白さ、楽しさとは?

そのアニメ作品に対して自分はどう表現できるか。具体的に言えばそのアニメの世界観をもとに書いていくんです。主人公や登場人物に成りきることも多くて、その役を演じるような面白さがあって。たとえば「からかい上手の高木さん」の「言わないけどね。」と「ゼロセンチメートル」はざっくりとした原作の世界観のなかで高木さん、西片くん両方の目線や心情を交えながら書いていったんです。"女のコがこんなことを言ったらカワイイだろうな"とか想像しつつ。自分では体験できないようなこと、非日常的なことを書くことができるのもアニメソングならではですね。「リトルウィッチアカデミア」のアッコちゃんみたいに魔法を使えるわけではないし、高木さんみたいに男子をからかったりできる女のコなんて現実にはそういません(笑)。

でも、アッコちゃんや高木さんの心情に自分の想いを寄せることはできる。スポーツ経験のない私が「はねバド!」の「ハイステッパー」を書いたときも、中学の管弦楽部でヴァイオリンを弾いていたころ猛練習してコンクールに出た経験とバドミントンで試合に臨む心境は重なるところがあるんじゃないか、と考えながら。アニメソングを書くことで、実生活とは違った角度から自分を引き出したり、新しい自分を発見することができるんです

大原ゆい子 1stアルバム『星に名前をつけるとき』
価格:3,000円(税抜き)

――1stアルバムにはこれまでリリースしたシングルの全表題曲8曲を含む16曲を収録。ベスト盤のようでもあり、バラエティにも富んだ作品になりましたね。

シングル曲8曲並べただけでにぎやかな感じですよね(笑)。アルバム曲はシングル曲たちと同じテイストにならないように選びました。私のいろんな面を知ってほしかったので。シングル曲やアニメから知っていただいた方には、私の新たな一面を聴いていただけると思います

――確かに大原さんのシングル曲は爽快でノリのいいナンバーが多いので、「205号室」の切なく陰影の濃いテイストには新たな魅力を感じました。

「205号室」は20歳のころに書いた曲なんです。デビュー前から応援してくださった方には"やっと音源化できました!"と(笑)。いまはギターを抱えて歌うイメージが強いと思いますが、当時はピアノ弾き語り中心で活動していたんです。このアルバムでもピアノ弾き語りに近い形でレコーディングしました。シングル曲ではカッチリとビートに合わせて歌うことが多かったんですけど、この曲ではピアノのグルーヴに合わせて想いのままに歌うことができましたね

――シングル曲はバンドサウンドや打ち込みビートを導入した曲が多いなか、「雨宿り」ではハープやアコーディオンを使ったり。サウンド面も幅広い。

ハープもアコーディオンも生なんですよ。ハープって楽器自体の形も優雅というか見ただけで感動しちゃいますよね。実際に弾いていただくと"天国の音がする!"と。この曲は「からっぽになりたい」「星が眠るまで踊ろうよ」などとともに今回書き下ろしたなかの1曲です。シングル曲はアップテンポが多いので、書き下ろした曲はミドルテンポ中心に。詞のテーマはフリーでいま書きたいことをそのまま。これまで外に出していなかった自分を出せた、という意味ではとても素の自分に近い曲たちだと思います

――活動初期のナンバーから最新の楽曲まで。"初めまして。大原ゆい子はこんなシンガー・ソングライターです"という名刺代わりの1枚ですね。

はい。いろんな時期の私が詰まっています。そういう意味では「夢の途中で」も大切な1曲ですね。この曲はデビューのきっかけになったオーディションを受けるために書いたんです。"描いた夢は私しか叶えられない"とか強い言葉や想いが歌にバシバシ入っていて。就職とか進学とか、人生の新たなスタートや次のステージに向かう方には想いを重ねて聴いていただけるかもしれません