銀行のスマホアプリが充実してきたおかげで、普段の銀行取引の多くがスマホで済ませられるようになっています。どんな取引ができて、使い勝手はどうなのか、注意しなければならないことはどんなこと? 銀行取引をサクッと済ませる強力な味方となる銀行アプリの活用法を解説します。

入出金以外の多くの銀行取引がスマホで済ませられる!

お給料日にお金をおろそうと銀行ATM足を運ぶとそこには長蛇の列が……。限られた昼休憩に長い列に並ばなくてはならないのは大変ですよね。でもそんな話はすでに昔となりつつある今日この頃。

今やATMで行っていたお金の振替や振り込み、残高確認など、多くのことは手元のスマホで簡単に行えるようになっています。「パソコンを開くのは面倒だしちょっと苦手だ……」とインターネットバンキングを敬遠していたという人も、スマホならもっと手軽に利用できるはず。

それでは、具体的にスマホでどんな取引ができるのでしょうか。各銀行により細かい取り扱い内容は異なりますが、一例として住信SBIネット銀行で見ていきましょう。

住信SBIネット銀行は、そもそも店舗を持たないネット銀行なので、オンラインでの取引が充実している銀行の一つと言えるでしょう。アプリによる取引も残高照会から振込・振替、新規の口座開設や外貨預金取引等一通りの取引を手元のスマホで行えるようになっています。

  • 一通りの銀行取引を手元のスマホで行える

銀行アプリを使うには、最初に登録画面でオンラインでの取引に必要なログインIDやパスワードなどを入力して口座にログインできるよう設定します。スマホアプリが便利な点は、顔認証や指紋認証などの生体認証を登録しておくと銀行アプリを立ち上げるたびにパスワードなどを入力する必要がないので、素早く残高や入出金の確認などができることです。

マメに銀行に立ち寄らなくても、いつでも手元で残高がワンタップで確認できるのがスマホアプリの最大のメリットです。

振込の設定は初回の認証に手間がかかるので、最初だけ時間が取れるときに余裕をもって設定したほうがいいでしょう。口座へのログインIDやパスワード、登録電話番号など取引を行うのに必要な情報をすべてそろえてから始めましょう。

振込など他人名義の口座への資金の移動が伴う取引には、通常の取引アプリとは別の認証を行うアプリを使うなど、セキュリティが厳重になっているため、2段階認証が必要であったりと手続きが多少面倒です。ただ、毎月ATMに出向いて手続きを行うことを考えれば、時間やATMの混雑も気にせず、いつでも銀行取引ができるようになるスマホアプリは大変便利なツールです。

各銀行のスマホアプリ。何が便利?手数料は必要?

取引メニュー画面では振込などのほかにもさまざまな取引ができるように表示されていても、取引内容によってはアプリ内での取引ではなく、ブラウザに飛ばされてブラウザ上で手続きを行うようになっている銀行アプリもあります。この点は、銀行によって大きく異なり、アプリ内でさまざまな取引が完結するように設計されているほうが使い勝手良いです。

細かい機能は銀行アプリによって異なりますが、あると便利な機能の一つに「入出金の予定を通知する機能」が挙げられます。この機能は口座引き落としの予定をスマホに通知してくれ、その場ですぐにスマホアプリで残高が確認できるので、「引き落としがあったのにうっかり入金し忘れて残高不足だった」ということも避けられます。

また、目的別に口座の資金を分けて管理ができるなど、銀行によってさまざまな独自サービスが用意されているので、普段利用している銀行ではアプリで何ができるのか一度チェックしてみるといいでしょう。メインバンクを検討し直しているという人は、アプリの使い勝手と同時にサービスの充実度も比較しながら銀行を選んでみてもいいかもしれません。

さらに振込手数料など各種手数料も、銀行窓口やATMを利用するよりもアプリで行ったほうが安くなる銀行が増えています。ゼロ金利で銀行に預けただけでは全くお金を増やすことができない現在、各種手数料はなるべく負担が軽くなる方法を選択したいものです。

その点、ネット銀行はオンラインでの取引がメインなので振込をはじめとした手数料が割安に設定されているケースが多数。都市銀行や地方銀行などをメインで利用しているという人は、アプリを活用することで手数料負担を減らせるか検討するといいでしょう。

お金の管理にどのように活用できるの?ほかのアプリとの連携は?

何でもできてしまう便利な銀行アプリですが、残念ながら現金の引き出しだけはできません。ただ、それもデビットカードや銀行口座に紐づけされた電子マネーなどを使うことによって、現金の引き出しを最小限に抑えることは可能です。

普段使いの銀行口座をスマホアプリで管理し、その口座から利用代金が即座に引き落とされるデビットカードで買い物をするような流れをつくれば、スマホをお財布代わりにすることができます。デビットカードの利用明細をスマホアプリで確認できるようにしておけば、銀行口座がお財布になり、そこからお金を出すようにカードでお買い物ができます。

さらに一歩進んで利用明細のデータをMoneyTreeやMoney Forwardなどの資産管理アプリに取り込むようにすると、家計管理もスマホで完結できます。複数の銀行口座を使っている人などはこうした家計管理アプリを使うと一元管理がしやすくなります。

このように今後の銀行取引は、キャッシュレス決済の浸透に伴ってスマホ取引がメインになっていくと予想されます。まだ使ったことがないという人は、現在使っている口座のスマホアプリをチェックしてみることからはじめてみましょう。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。