• 美奈子(左)と夫の義人さん (C)フジテレビ

――前回の放送の際にお話を伺ったとき、東さんは、美奈子さん&義人さんを「お似合いのカップル」とおっしゃっていましたが、その印象は変わりませんか?

そうですね。2人とも自己主張が強すぎるんですけど(笑)、本心では本当に親身になって子供たちのことを考えているし、お互いリスペクトし合っている部分もあったりするんです。美奈子さんも義人さんに言われたことで感情的な性格が徐々に思慮深く変わってきましたし、義人さんも美奈子さんに影響されて「これじゃいけないな」って変わってきたところもあって、持ちつ持たれつの良いバランスというか、ケンカすればするほどお互いの仲が深まっていくような夫婦なのかな?って、客観的に見てそう思います。

――今回の前編で、義人さんが家出を繰り返していると紹介されましたが、それが良いガス抜きになっているんですかね?

あの2人は本当にケンカをしてストレスを発散する夫婦なんですよ。それも原因は全て子どもの教育に関すること。美奈子さんはどんどん我慢強くはなっているんですけど、やっぱり引かないし、義人さんも引かない。ケンカになるとその場ではもう収拾がつかない状態なんですけど、1日経つとケロッとしてる(笑)。「てめぇ!」とか「もう離婚だ!」なんて毎回言うんですけど、翌日になるとラブラブで公園に行ったり、ご飯食べに行ったりしてるんです。夜中に私の携帯に美奈子さんから「また義人とケンカして家出てった! 離婚届け取ってくる!」って…今回の撮影中にも何度も何度も似たような連絡があったんですけど、その都度翌日に「ごめん、仲直りした」って連絡が来て、「またかよ!」みたいな(笑)。正直、最近どこまで本気なのか?私にも分からない状態です…(笑)

■義人さんに“父性”を感じる

――18日放送の後編は、美奈子さん、義人さん、星音さんの修羅場が予告されていますが、見どころをお願いします。

星音が家出から10カ月ぶりに帰ってきて、そこから怒涛の展開になっていきます。彼が実際にバイトを探しだすんですけど、その中で彼自身の甘さや足りない部分が明るみに出てきて、最終的に“事件”を起こしてしまう…。その時、義人さんと美奈子さんは…というような展開が後編の見どころですね。これまで本心をさらけ出さなかった星音が、初めて両親に対して今まで溜めていたことを全て吐き出す場面があるんですが、それは今回僕も撮影しながらちょっと手が震えて泣きながら撮りました。「星音がこんなこと言うようになったんだ…」って。でも、ちょっとうれしかったんです。

――成長しているんですね。

そうですね。彼が本心を言ったことで家族が1つにまとまっていく姿が後編で表現されていますので、ぜひご覧いただき、「家族ってこうなんだ」とか「こういう生き方もあるんだ」と、家族のあり方を再認識していただきたいです。

東信幸氏

――でも、今の時代にあそこまで本気で息子を怒るお父さんも、ある意味貴重な存在ですよね。

義人さんは真正面から子供たちとぶつかり、本音で思っていることを言うんです。それに対して、子供たちも感情をぶつけるっていう…昭和の家族のあり方っていうか、決して今風ではないかもしれないけど、それが今の時代、心に響くのでは?って、私は正直うらやましいなって思うんですよね。こういう父親がいたら…親子の関係って、本当はそうあるべきなんじゃないかなって、いつも撮りながら感じています。義人さんに、僕は“父性”を感じるんです。

――今後も引き続き、この一家を追っていく予定ですか?

そうですね。星音もまた新たにバイトを探しだしましたけど、それが続くのか続かないのか。乃愛琉も高校中退した後、家を出たいって言ってるし、まだまだこれから波乱の展開がこの家族には起きていくと思うので…。それに、長男・長女以外にも、下の子供たちがこれからどんどん大きくなって巣立って行きますから、それぞれに新しいドラマが生まれてくると思います。

――ナレーションは、前回に続いて野村宏伸さんですが、いかがでしたか?

格段に前回よりも上手くなっていて、俳優さんってすごいなって思いました(笑)。野村さんのあのハートフルで温かい声が、家族を表現するのにものすごく重要なポジションだと思っているんです。野村さんは自分の家族もあり、これまで離婚経験もあるので、そのフィルターでナレーションを読んでくれることが、番組をさらに深い内容にしてくれていると思います。

●東 信幸
1975年生まれ、愛知県出身。京都産業大学卒業後、テレビ制作会社に入社。その後、制作会社・ゼロクリエイトに入社し、『痛快!ビッグダディ』『イチから住~前略、移住しました~』(いずれもテレビ朝日)など、ドキュメンタリー番組を中心に手がける。