熊本電気鉄道で活躍した車両200形が7月30日に運行最終日を迎えた。引退記念ヘッドマークを装着した200形はこの日、上熊本~北熊本間を往復する運用に就き、上熊本駅21時50分発、北熊本行の列車がラストランとなった。
同社の200形は、南海電鉄で「ズームカー」の愛称で親しまれた22000系の2両(1969年、東急車輌製)を譲り受け、片側3ドアとし、前照灯・尾灯を取り付けるなどの改造を行った上で、1998(平成10)年から導入された。普通鋼製の車体の上部にライトブルー、下部にブルーのカラーリングを施し、窓下にオレンジとホワイトの帯を配した「贅沢かつ鮮やかな伝統のくまでんカラーが残る唯一の車両」とのこと。
予備車として車庫に止まっていることが多かったものの、他の車両が検査等で入庫した際、代走として活躍することもあった。製造から約50年、熊本電気鉄道では20年以上にわたって活躍してきたが、老朽化などにともない引退が決まった。
200形の引退にあたり、7月から引退記念ヘッドマークが掲出された。デザインは車両ごとに異なるが、両方とも「50年間ありがとう」のメッセージが記されている。引退関連企画として「さよなら200形記念乗車券」「200形引退記念ヘッドマークシール」「ありがとう200形キーホルダー」が販売されたほか、7月7日に200形の運転体験会、7月28日には200形を展示しての撮影会が北熊本車庫で行われたという。
運行最終日の7月30日、200形は終日にわたり上熊本~北熊本間で運行。平日にもかかわらず、駅や沿道に鉄道ファンらが集まった。車内では200形のラストランを告げる中吊りポスターをはじめ、扉付近に200形への思い出メッセージも掲出された。この日は天気にも恵まれ、200形も日中時間帯から夜間まで順調に運行。ラストランとなった上熊本駅21時50分発の列車も、鉄道ファンらを乗せて定刻に発車した。